【インタビュー】chay、ニューSGは「幸せについて書くという挑戦」
chayが、CX系ドラマ『早子先生、結婚するって本当ですか?』の主題歌である「それでしあわせ」を表題曲とした3曲入りシングルを5月25日にリリースした。同曲は、chayの代表曲「あなたに恋をしてみました」も手がけた多保孝一が作曲を、“幸せ”という普遍的かつ壮大なテーマと向き合った作詞はchayとjamによる共作、そしてアレンジャーとして本間昭光を迎え、人を選ばない前向きな王道ポップソングとなった。
◆chay 画像
さらに、カップリング曲である「ずるいひと」もDes'reeの弾き語りカバー「YOU GOTTA BE」も、挑戦と新機軸を提示する同シングル。chayは今回のシングルの発売発表とともに、これまでのポップで可愛いいイメージを一新し、大人の女性として成長していく姿を写しだした新アーティスト写真を公開している。間違いなく変化の時にある彼女の今に、ライターの山田邦子女史が迫った。
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■ デビューしてから、自分なりに辛い思いや悔しい思いも経ていくうちに
■ 幸せに対する価値観が変わってきたんです
▲シングル「それでしあわせ」 |
chay:驚きの声もたくさんいただきました。いい意味で変わったね、新鮮だねって。
──その変化について、ご自身はどう捉えているんですか?
chay:今回も多保孝一さんに作曲していただきましたが、私もメロディをいただいた時点で今までの楽曲と全然違うなと思ったし、自分の音楽人生のターニングポイントになる曲に違いないって思ったんです。そこから歌詞を書き始めたんですが、今回のテーマは(ドラマでも描かれている)「しあわせ」という壮大なもの。今までは自分が経験してきたことや、等身大な恋愛などをテーマにした歌詞を書くことが多かったんですが、幸せは男女も年齢も問わずみんなが感じる普遍的なものですから、その点も、これまでとは全く違うなと思いました。
──そういうテーマと向き合う時って、自分自身とも向き合うことになりますよね。
chay:正直、幸せについてこんなに考えることはなかなかないので、色々なことに気付かされました。歌詞にもある通り、私自身、数年前までは夢を追いかけることにがむしゃら過ぎて、夢を叶えることだけが幸せだと思っていました。視野も狭く、他のことに目を向ける余裕もなかった。幸せって「ものすごく大きなもの」っていう漠然とした捉え方をしていたんですが、デビューをして、月日を重ねながら色々な人と出会って様々な経験をし、自分なりに辛い思いや悔しい思いもたくさん経ていくうちに、幸せに対する価値観や感じ方が変わってきたんです。
──例えばどんな風にですか?
chay:何気ない瞬間とか、今まで当たり前だと思っていたこととか、よりプライスレスなものに対して、幸せだなと思う瞬間が多くなってきたんです。同級生の友達にも色々な話を聞きました。立場や職種がバラバラなように、幸せの形もそれぞれだったけれど、共通していたのは「些細なこと」に幸せを感じてるということ。他の人からはそう見えなくても、自分が幸せだと思えばそれは幸せ。幸せって誰かが決めることでもないし、誰かがくれるものでもないし、大小があるわけでもない。結局自分の心の中にあるもので、自分が決めることなんだっていうのはみんなと話しても感じたことだったので、そういうことをサビに持っていきたいなと思いました。
──だから「“これが”しあわせ」と決めつけるんじゃなく、「それはそれでしあわせ」と歌ってるんですね。
chay:そうなんです。完璧じゃなかったり、何かが劣ったりしていても、自分が幸せだと思うんだったらそれはそれで幸せ。その思いをタイトルとしても表してみました。色々な人の幸せに寄り添える、幸せだなって感じる瞬間に重ね合わせながら聴いていただける曲になれるとうれしいです。そして、夢を叶えること以外に幸せを見出せなかったと言ったら大げさですけど、自分に余裕がなくて、空が青ければ幸せなんて思えなかった数年前の自分にも伝えたいなと思っています。
──ちなみにドラマの主人公である早子さんは34歳。chayさんより10近く年上ですね。
chay:はい。年齢もそうだし、私の同級生が結婚をし始めたくらいで、真剣に考えたこともなかった。おまけに彼女はすごくポジティブ・シンキングで、私は少しネガティブなところがあります。考え込んだら抜けられなくなったり、物事をマイナスに捉えてしまうところがあるんです。だからこそ、途中で流されたりすることもあるけど、自分を信じて自分らしく生きていく早子先生の姿が羨ましくもあり、素敵だなと思ったんです。最初は共通点が見出せなくて、どうしようと思っちゃいましたけどね(笑)。
──そうでしたか。
chay:ドラマがあって、そこに歌が寄り添って初めてひとつの作品になると思うので、寄り添うということはとても大切なことですが、そこに自分らしさとか自分の思いをいかに入れられるかといういう事もすごく大事だと思います。「あなたに恋をしてみました」が主題歌になったドラマ『デート~恋とはどんなものかしら~』に関しては、主人公と私のキャラクターは違うにしろものすごく共感して、“そのまんま”だったから書きやすかったのですが、今回は性格も真逆で難しかったので、いい経験になりました。幸せについて書くという挑戦が出来たのも、こういう素敵なきっかけをいただけたからだと思っています。
──なるほど。ではchayさん自身は、最近どんな幸せを感じてるんですか?
chay:今、犬を飼っているんです。小次郎っていう2歳半のトイプードルなんですけど、私がどんなに疲れて帰ってきても、どんなに悲しいことがあっても、小次郎の愛くるしい姿があればそれで幸せ(笑)。姉が犬アレルギーなので飼う事をずっと反対されていたんですけど(笑)、小次郎がやってきて、世界の色がガラッと変わったんです。人生そのものが変わったようです。家族の絆も強くなったし、ちっちゃなことでイライラもしなくなった。何気ない幸せとか、日常の中にある小さな輝きみたいなものに気付かせてくれたのも、小次郎がきっかけなんじゃないかなと思うくらいです。すごい力を持っているなと思って、いつも本当に感謝してます。
──作曲の多保さん、アレンジャーの本間昭光さんなど、この曲に関わった人たちもきっとそれぞれの幸せを感じながらレコーディングされたんでしょうね。
chay:まさに! 今回、いつも以上にチームのグルーヴ感を感じました。この1曲にみんなの愛が溢れていたように思います。歌詞を共作したjamさんも、みなさん、ご自分の作業とは関係ない日までわざわざスタジオに来てくださったんです。歌入れの時も自然と笑顔になって、本当に楽しみながらレコーディングすることが出来ました。
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