【インタビュー】安田レイ、新曲は「ある出来事について書いた感謝の“メッセージ”」
安田レイが5月18日、8thシングル「Message」をリリースする。TVアニメ『逆転裁判~その「真実」、異議あり!~』エンディングテーマに起用されている同作は、シングル曲としては初めて安田レイ本人が作詞を手がけたナンバーだ。「夢に向かって頑張っている大切な人を想った1曲になっています。家族、友達、恋人、周りにいる大切な人へのみなさんの想いをこの曲と一緒に届けることが出来たら嬉しい」とは本人の弁だが、それを伝えるリリックは“ある出来事”が元になったもの。時めきと煌めきに溢れた前向きな歌詞がリリース前から共感を呼んでいる。
◆「Message」ミュージックビデオ 動画
また、爽やかな草原やカラフルなリボンが鮮やかなジャケット写真や、50万本の黄色い花畑の中で本人が歌唱するミュージックビデオなど、ヴィジュアル面ではモデルとしても活動する彼女の魅力が引き出された仕上がり。ジャケット写真のリボンはピンク、パープル、エメラルドグリーン、イエローの4色が用意されており、どれも本人が普段からファッションにも取り入れているカラーだ。「夢へとつながる道の途中にはきっと色んな選択肢があるけれど、どれが正解でどれが間違いというのはないと思うんです。だから目の前に広がる色んな可能性をカラフルなリボンで表現出来ればと思いました」とのこと。楽曲的にもヴィジュアル的にも、“夢”がキーワードとなった同作について、安田レイに訊いたロングインタビューをお届けしたい。
◆ ◆ ◆
■今こうして頑張っていることを伝えたい
■みんなをハッピーに出来る存在でずっといてほしい
──アルバム『PRISM』のインタビューをした時に、実はもう新曲の制作中だとうかがって驚いたのですが、それが今回のシングル「Message」だったんですね。
安田:早いですね(笑)。アルバムが完成したってホッとしたところに、またこうしてシングルのリリースで。
──しかも今回の「Message」は、シングルの表題曲としては初めて、安田さん自身が作詞を手がけた曲でもありますね。
安田:そうなんです。共作ではありますけど、私自身の言葉もたくさん入っている曲で。自分の言葉で発信をしたい思いはもともと強くあったので、それがちょっとずつちょっとずつできているのが、すごく嬉しいですね。
▲アニメ『逆転裁判~その「真実」、意義あり!~』 |
安田:アニメ『逆転裁判~その「真実」、意義あり!~』エンディングテーマの書き下ろしというところから曲作りが始まったんですが、アニメの世界観もありつつ、でも私がずっと歌詞にしたかった“ある出来事”について書きたいと思っていたんです。それは、私が中学生の時、夢に向かって進んでいくようにプッシュしてくれた先生がいて。その先生に向けてのメッセージを込めた1曲になっているんです。
──どんな先生だったんですか?
安田:中学生の時に通っていた学校は芸能活動が禁止だったんです。そのなかで、元気ロケッツの活動をこっそりやっていたんですね。でもレコーディングとかが、学校の時間に合わせてできなかったりして、どうしても休む日も増えてしまって。そういうところから、いろんな噂が立って、音楽活動をしているのがばれてしまった。中学1年生の時だったんですが、学校から「芸能活動を選ぶか、学業を選ぶか、どちらかにしていただかないと困ります」と言われてしまったんです。
──中学1年生には難しい選択です。
安田:そう。当時は幼かったし、すごくセンシティヴな年齢でもあったので、悩んでしまって。学校も大好きだし、友だちともこれから一緒にがんばっていきたいと思っていたところだったから、そんな時に言われてもな、という感じだったんです。悩んで、ひとりでどんどん内に籠ってしまった時に、当時いろいろ相談にのってもらっていた先生がいて。その先生に相談した時に、「レイちゃんが今やりたいことを選ぶべきだよ」って迷わずに言ってくれて、ハッとしたんです。「学校の勉強はいくつになってもできるけど、こうしていい波がきている今、その波に乗っておいたほうがいいから。レイちゃんがやりたい道を選んだほうがいいよ」と。
──とても力強い言葉ですね。
安田:そうなんです。それで、勇気を振り絞って転校して、新しい環境で頑張ろうって思えたのはその先生のおかげなんです。この「Message」では、先生に対しての感謝の気持ちはもちろん、今、先生のおかげで今こうやって頑張っているよっていうことを伝えたいというか。頑張ってる姿を先生に見てほしいし、また先生が誰かの夢を後押しして、まわりのみんなをハッピーにできる存在でずっといてほしくて。これからも私は、先生のことを応援しているよっていうメッセージも込めているんです。
──なるほど。
安田:今回、ジャケットのアートワークでリボンを持っているんですけど、誰かと誰かの気持ちを結ぶ意味合いをリボンを使って表現しているんですね。その先にいるのは、私の場合はその先生で、たとえ遠くにいたとしても思い続けることで、いつまでも近くに感じられるし。あれから何年も経っていますけど、先生からもらった言葉にはずっと励まされ続けているんですよ。そうやって、いつでも、たとえ遠くにいたとしても繋がっているんだっていうことを表現したかったんです。
──まだ子供といえる13歳で、大きな決断をしなければいけない難しさ、酷なところもあったと思うんですが、学校の先生として、夢のほうを後押ししてくれるって、なかなかできることではないですし、いい出会いですね。
安田:はい。先生としての立場だったら、「今は勉強を頑張ろう」と言うのが普通だと思うんです。でもその時は、先生としてでなく、ひとりの人間として私のために考えてくれて。私自身、「あれだけ小さい頃からシンガーになりたかったのに、ここで諦めてどうするんだ!」って思えたんですね。本当に数か月間、毎日のように放課後、先生とふたりで涙流しながら、「先生、私もうどうしていいかわからないよ」って話を聞いてもらっていたところ、前向きな気持ちになるような、いろんな言葉を与えてくれた先生には感謝感謝で。
──自分が自信をもって送り出した人が、今も夢だった仕事を続けて活躍しているなんて、先生冥利に尽きるし、先生自身も嬉しいと思いますよ。
安田:その先生とは今でも連絡はとっているんです。2015年末の『レコード大賞』新人賞の時も、本来なら親を誘うべきなんですけど(笑)、私は先生にどうしても観てほしくて。先生を誘って観てもらったんです。当日は会えなかったんですけど、後でメールで、「先生をやっていてよかったと思うし、あの時にレイちゃんに出会えたのはちゃんと意味があったなと、レイちゃんが頑張っている姿を見て感じるから。これからも人生いろんなことがあるけど、頑張ってね」って、逆に感謝のメールをいただいて。こういう関係って、素敵だなって思いましたね。
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