【ライヴレポート】the god and death stars、オルタナティヴの回帰
ゴールデンウィークも終盤の5月6日、the god and death starsが下北沢SHELTERにて<the god and death stars ONEMAN「recovery of god」>と題した約1年ぶりのワンマンライヴを開催した。
◆the god and death stars 画像
お馴染みのSEが鳴り響くなか、aie (Vo&G)、kazu (B)、大嵩潤 (Dr)がステージに現れた。2015年に下北沢SHELTERで活動休止を発表してから一年。待ちに待った“復帰”を意味するライヴが、今まさに始まろうとしている。
静寂を突き破るかのごとくかき鳴らされたaieのギターから復活ワンマンがスタート。オープニングナンバーは、先立ってリリースされた作品『after the addle apple』からインストゥルメンタル「into the filtration」だった。アルバム同様にシームレスで「濾過」へと繋げると、ライヴ序盤の様子見などせず、いきなり深淵にオーディエンスを引きずり込んでいく。
「焼失」曲中のギタートラブルで予定外のMCがあり、和みが一瞬生まれたものの、立て続けに「cannnabis」「半分人」を披露。フロアへ熱気が徐々に立ち込め始めたところで「プール」「千年樹」「エドワード・スミス」「damned」などのミディアムチューンにてthe god and death starsワールドのさらなる深みへ。
「ここからちょっと久しぶりの曲をやります」
とaieの語りから始まったのは、アンニュイで不思議なリズムが印象的な「ハッピーJ」だ。次曲の「canine」とあわせて、1年前の活動休止ライヴでも演奏されていなかった楽曲が繰り出されると、オーディエンスからはこれぞthe god and death starsといった納得の表情がうかがえる。大嵩潤とkazuとのリズムコンビ―ネーションも健在で、これらの楽曲に彩りと艶を与えて久しぶりの演目とは感じさせない。
最新作『after the addle apple』の特徴的ともいえるビートにフロアが揺れるなか、演奏されたのはaieの前身バンド“the studs”の同名曲を昇華させた名曲「tonight is the night」だ。枯れたトーンで歌い上げるブルージーなバラードは彼らの真骨頂でもある。ここまで、息をすることのみ許されたようなテンションの空気が渦巻き、「群盲象を評す」から「elephant in the room」への展開でライヴ後半がスタートした。
後半は“すれ違いざまに噛みつかれて…”というリリックが印象的な「ザゾンビ」から緊張感高まるスリリングな「love hole」へ。無機質な透明感をまとう「出来事と偶然の為の媒体」、絶妙なリズムチェンジが施された「賑やかな食卓」、疾走感あふれる「殆ど腐敗」といったライヴマスト曲で本編が終了する……が、メンバーはステージに居残ったままだ。
普段から予定調和のアンコールは行わない彼らは、一度ステージから立ち去るということはなく、そのままaieのMCへ。
「3ヶ月連続ワンマンが決まりました。18歳未満は入場無料にします」
2016年がバンドにとって様々な意味でアニバーサリーイヤーであることを明かすと、大きな拍手が巻き起こった。ラストはバンド史上一番といってもいい程キャッチーな「真っ赤な雪」から、「dawn of the god」で壮絶なインプロヴァイズが展開され、この日の全セット22曲が終了となった。
ホームグラウンドの池袋手刀公演に次ぎ、節目節目でワンマンを行ってきたここ下北沢SHELTERにて、2015年の活動の穴埋めをするかのごとく開催された<recovery of the god>は実に濃度の高いもの。また、活動休止期間がthe god and death starsに養分を蓄える時間になり、今回のワンマンや新たにリリースされた作品へ昇華されたことが改めて確認できるなど、the god and death starsが1年かけてオルタナティヴバンドとして帰ってきた記念すべきステージだった。
取材・文◎Masanao Sakurai (Field Arrow)
撮影◎Reiko Arakawa(zoesite)
■<the god and death stars ONEMAN「recovery of the god」>
2016.5.6@下北沢SHELTERセットリスト
01.into the filtration
02.濾過
03.焼失
04.cannnabis
05.半分人
06.プール
07.千年樹
08.エドワード・スミス
09.damned
10.ハッピーJ
11.canine
12.after the addle apple
13.tonight is the night
14.群盲象を評す
15.elephant in the room
16.ザゾンビ
17.love hole
18.出来事と偶然の為の媒体
19.賑やかな食卓
20.殆ど腐敗
21.真っ赤な雪
22.dawn of the god
■『after the addle apple』
DSGD-010 ¥2,500(税別)
01.into the filtration
02.濾過
03.cannabis
04.damned
05.after the addle apple
06.elephant in the room
■3ヶ月連続ワンマンライブスケジュール
2016年7月23日(土) 渋谷Lamama
OPEN 17:30 / START 18:00
▼チケット
前売¥3,500 当日¥4,000(D別)
先行受付:イープラスにて5/14より
http://sort.eplus.jp/sys/T1U14P0010843P006001P002191048P0030001
一般発売:6月4日
(問)渋谷Lamama 03-3464-0801
■<the god and death stars 3ヶ月連続ワンマン「anniversary’s ~decade of the god~」>
2016年8月14日(日) 池袋手刀
OPEN 17:30 / START 18:00
▼チケット
前売¥3,500 当日¥4,000(D別)
先行受付:イープラスにて5/14より
http://sort.eplus.jp/sys/T1U14P0010843P006001P002191106P0030001
一般発売:6月4日
(問)池袋手刀 03-5951-1127
■<the god and death stars 3ヶ月連続ワンマン「anniversary’s ~god of the shock age~」>
2016年9日25日(日) CHELSEA HOTEL
OPEN 17:30 / START 18:00
▼チケット
前売¥3,500 当日¥4,000(D別)
先行受付:イープラスにて5/14より
一般発売:6月4日
(問)CHELSEA HOTEL 03-3770-1567
◆the god and death stars オフィシャルサイト
◆the god and death stars オフィシャルTwitter
◆the god and death stars オフィシャルYouTubeチャンネル
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