【詳細レポ】SuG、今立ち向かわなければならない夢への挑戦。「やります。日本武道館!」
SuGがメジャー初となる1st ミニアルバム『VIRGIN』を掲げて行なっていた全国ツアー<SuG TOUR 2016 SLVS>のファイナル公演<SuG LIVE 「VIRGIN」>を5月5日、東京・ EX シアター六本木にて開催。この日、 BARKSでも速報で取り上げると同時に、大きな注目を集めた武瑠( Vo )の「 SuG、やります。日本武道館!」発言。その詳細も含め、当日のレポートをお届けしよう。
◆SuG 画像
「さっき武道館やるっていったけど、まだ日にちも何も決まってないから(笑)。ライブ前、昨日から俺は眠れなくて。どうしてもこの( SLVS ツアー最終日の)「VIRGIN」で(武道館をやると)いわなきゃいけないなって思ったから、ライブ直前にスタッフとメンバーに伝えて。みんなでやろうと決めました」と、武道館発表に至るまでの流れを MC で説明して、そこにいたみんなをさらに驚愕させた武瑠。終演後、関係者に話を聞いたところ、武瑠の話に嘘はなかった。当日彼から武道館の話を聞かされた各部署のスタッフのトップ数名が「分かった。なんとかしよう」と覚悟を決め、そうして他のメンバーとも話し、武道館をやろうと決まったのが本番わずか20分前。ほとんどのスタッフは、観客と同時に彼らが武道館をやることを知ったという。こんなこと、いまの時代にありえるんだろうか。SuGのメンバーも事務所もスタッフも立派な大人なのに、なんて無謀なチャレンジャーなのだろう。失敗したらどうしようという考えから芽生える恐怖心、震え、過呼吸。それでも、チャレンジして今立ち向かわなきゃいけない夢があり、これからそれと対峙しようとしている彼らが、この日は死ぬほど羨ましくて眩しい存在に見えた。こんなにキラキラした瞬間に立ち会えて、本当に幸せだった。
すべては、SuGが作り出した『VIRGIN』という作品が内包する音楽に、恋に、青春に、夢に夢中になっていたときに感じた“初期衝動”、これが原因。彼らはみんな、また“音楽”に“バンド”に、“SuG”に“夢”に恋しちゃっているのだ。
ステージに、場内に、かつてないほどフレッシュで衝動的なエネルギーが満ち溢れていたこの日のライブ。ファイナルということもあって、舞台には大きなスクリーンが設置された。今回のツアーで訪れた各地の名前を刻み込んだオープニング映像をバックにメンバーが登場すると、華やかな雰囲気のなか、「SICK’S」でライブは幕開け。masato(Gt)が頭上でハンドクラップを求めれば、会場は一斉にそれに応える。初っ端から各々エンジン全開だ。
キャッチーなサビが弾む「不完全 Beautyfool Days」で勢いを加速させた後は、yuji(Gt)が腰を限界まで落とし、髪を振り乱してリフを刻む変拍子チューン「overflow」で、楽器隊が息のあったプレイで会場の空気を揺らす。ハンドクラップをするオーディエンスの手がラインティングを浴びて美しく浮かび上がる「 MISSING 」のラストで、shinpei(Dr)が2バスをバーストさせて、冒頭4曲を一気に駆け抜けると「今回のツアーは地方の熱量が半端なかったんで、東京はどこよりも盛り上がる義務があります」と、武瑠が観客を煽る。
そうして、yujiのカッティングに合わせて横揺れが始まる「sweeToxic」へ。頭の上でSOSマーク、「 DEAD or DEAD 」は“ 3.2.1. ”のカウントコールと観客も一緒になって曲を盛り上げ始めたところで「JUICY」が始まると、yuji、 Chiyu(Ba) 、masatoが勢いよくフロントに出てきて観客に猛アピール。スクリーンにメンバーの顔が映し出され、観客のボルテージがさらに上がった「FRIDAY!!」では、武瑠が“ゴールデンウィークを俺たちにくれよ”と歌詞を変えて届けるという粋な計らいを見せた。
こうして、体がいい感じにほぐれたところで、ライブ中盤からはいよいよ『VIRGIN』の収録曲たちでオーディエンスのなかにある“初期衝動”をじょじょに呼び起こしていく。桜の花びらが雨のように舞うライティングと、MVの花火などを散りばめたスクリーンの映像が重なって、新しいMVを見ているかのようにドラマチックだったバラード「桜雨」に「純・不純異性交遊」、ミラーボールが回るなか、イントロでフロアから悲鳴が上がった「0 song 」と、ラブソングを3曲立て続けにパフォーマンスしたこのパートでは、胸が締め付けられるほどせつなくて甘酸っぱくてキュンキュンする恋したときの、あの“好き”を誰にも止められない衝動、感覚を呼び覚ます。
この後は、shinpeiのドラムに Chiyu 、yuji、masatoが次々と加わっていった楽器隊のセッションを挟み、「In the shadow」からライブは後半戦へ突入。「さあ、どこで火を着ける? ここだろ」という武瑠の放った言葉で「HELLYEAH」からフロアは一体感ある盛り上がりをみせながら、耳に飛び込んでくるメッセージが刻み込まれた歌詞をシンガロングしながら、どんどん気持ちを高ぶらせていく。“容易く手には入らない そうだからこそ飽き果てない”、何度も挫折するたびに“寄り道? むしろ Bonus stage ”と思って、“ hellyeah ”と叫ぶだけで、また無敵になれる。
そんな最強の合言葉をみんなで叫んだ後は、 Chiyu の「タオル出せ」を合図に「無限 Style 」で一点突破! 最前列の観客からタオルを借りて、勢いよくタオルを回し出したmasatoに続いて、武瑠の歌にラップで応戦するyujiと Chiyu 。最後方から笑顔パワーでみんなを支えるshinpei。フロアからは“ oh oeo ”と軽快な歌声が上がり、みんなが“音楽、楽しい!”という初期衝動でどこまでも舞い上がる。そこに、言葉までも音としてコミカルに楽しんじゃったユーモアあふれる「上海ハニー」をダメ押しで投入。騒ぐだけじゃない、暴れるだけじゃない。『VIRGIN』を出して以降行なったこのツアーで、言葉でさらにオーディエンスの内側へと入り込み、気持ちを共鳴させながらステージ上とフロアが一つになる。そんなライブ空間を作れるようになったところを証明してみせた彼ら。
ラストスパートは「B.A.B.Y.」で夏を軽やかに先取り。“ OK OK OK ”と合図を送るオーディエンスに「さあ隣りの人と手を繋げ」と武瑠が叫び、みんなが手を取り合ったところでshinpei以外のメンバーと観客が一斉にジャンプを決きめる。そして「ラストまでこのまま派手にいこうぜ」という武瑠の言葉に続いて、始まったのはオープニングの「SICK’S」。この日2度目の演奏が始まると、MVに登場するキッズダンサーが登場 ! 武瑠と一緒にゾンビダンスを披露して場内を大いに盛り上げた。
そうして、本編ラスト1曲となったところで、「このツアーを回って気づいたことがある」と、突然武瑠が切り出した。『VIRGIN』で初期衝動が目覚めても、そのパッションを向ける夢を見つけられずにいる人たちへ向けて、「俺も最初、何もやりたいことがなかった。音楽もやりたくてしょうがないってところから始めた訳じゃないから。でも、 10 年前よりいまの方が音楽と向き合ってると思います。いまみんなも、やりたいことがないとか夢がないとかあると思うけど、夢がないのは当たり前だから。でもさ、そこで何年もやれてるものがあれば、それを“夢”と呼べばいいんじゃないかな」と夢にたどり着く方法を分かりやすくアドバイス。masatoが弾いていたアルペジオがだんだんボリュームを増し、それがラストの「Smells Like Virgin Spirit」へとつながっていき、オーディエンスの盛大なシンガロングが場内いっぱいに響いたところで、本編は終了。「お前らと俺らで、SuGでした」という、いままでにない武瑠の締めの言葉に、フロアは大感動に包まれていった。
会場からの熱烈なアンコールに応えて、再び登場したメンバーは静かに「teenAge dream」の演奏をスタート。“こっちの景色は最高だぜ”という最後の一節を、とびきりのキメ顔で歌いきった武瑠。その表情が今回のツアー、今日のライブの達成感を表していた。そのあとは、メンバーそれぞれのトークコーナーへ。
「このツアーを回ってる最中に自分の仲間たちの活休、解散発表もありました。こういうライブができることは本当にありがたいなと思ってます」── Chiyu
「まだまだ俺らは活動していきたいからさ。そのためにはみんなのパワーが必要。だから、本編で気合入れすぎて燃え尽きちゃいそうな俺に、みんなのパワーを下さーい」──shinpei
「なんだバカ野郎(笑)。俺らに元気を分けてくれー !! 」── yuji
「『VIRGIN』出して、初期衝動がテーマだからがむしゃらに楽しむライブをしようと思ってたら、ツアーの最初からみんなすごい声が出てて。“ライブってこんなに楽しいんだ”ってみんなに教えてもらいました」── masato
そしてこの流れのなかで、武瑠が来年、武道館をやることを宣言した。
「いまの音楽シーン、CDも売れなくて、俺らが出てきたジャンルも終わりだといわれてる。だけど、俺たちは9年前、初ライブは10人だった。だけど1年後、それを300人にするという奇跡を起こせた。こんな逆境だから、来年10周年に挑戦します。SuGやります、日本武道館。いまの俺たちには悔しいけど(目が潤み、体が震えだす)“絶対に無理だ”と笑われるはずです。でも、こんな時代だからこそ、ありえない奇跡を起こそうと思います」── 武瑠
嬉し涙を流し、声を出せずにいるフロアに向けて「gr8 story」が放たれると、 Chiyu がセンターにいき「歌えるか?」というように武瑠の側に寄り添った。そのChiyuがお立ち台の上でベースソロを弾き、ネックにキスをする「LOVE SCREAM PARTY」で高揚感を掻き立てた後の「CRY OUT」は、この瞬間最高に力強いエールソングとして、みんなの気持ちを奇跡に向けて圧倒的パワーで駆り立てていった。
ダブルアンコールは「dot.0」から始まった。演奏前に「もともと熱い人間じゃない自分を、こんなに音楽と向き合わせてくれて感謝しています」と話していた武瑠は、『VIRGIN』を作り、このツアーから音楽、ライブ、オーディエンス、SuG、夢に対するパッション、熱い思いをそのままストレートに言葉で伝えるフロントマンへと急激に変わっていった。その言葉が観客の初期衝動を引き起こすきっかけに何度もなっていったこのツアー。その最後の締めくくりとして、銀テープがキラキラ降り注ぐなか「ときどきすてきなこのせかい」をフロアと一丸となって大合唱して、彼らはファイナル公演を終えた。
メンバーが去った後はスクリーンを通して <SuG TOUR 2016 VIRGIN>の追加公演を6月に台湾、7月にメキシコとタイで行なうこと。そして、今年も恒例の<VersuS>ライブを 11月の大阪IMPホールより開催すること。さらに、なんと『VIRGIN』に続く2nd ミニアルバムを今秋リリースするという嬉しいニュースを立て続けに発表したSuG。まだまだ初期衝動に突き動かされている彼らの、次の作品を期待して待っていてほしい。そして、SuGとともに、こんな逆境だからこそ、ありえない奇跡を一緒に起こそう。
取材・文◎東條祥恵
撮影:近澤幸司
セットリスト<SuG LIVE「VIRGIN」> ※<SLVS>ツアーファイナル
M01: SICK’ S
M02: 不完全 Beautyfool Days
M03: overflow
M04: MISSING
M05: sweeToxic
M06: DEAD or DEAD
M07: JUICY
M08: FRIDAY!!
M09: 桜雨
M10: 純・不純異性交遊
M11: 0 song ~ソロセッション
M12: In the shadow
M13: HELLYEAH
M14: 無限 Style
M15: 上海ハニー
M16: B.A.B.Y.
M17: SICK’ S
M18: Smells Like Virgin Spirit
EN01: teenAge dream
EN02: gr8 story
EN03: LOVE SCREAM PARTY
EN04: CRY OUT
WEN01: dot.0
WEN02: ときどきすてきなこのせかい
ライブ情報
2016年6月26日 台湾 The Wall
2016年7月3日 メキシコ Lunario Auditorio Nacional
2016年7月9日 タイ MUSE thonglor
2016年7月10日 タイ MUSE thonglor
■VersuS 2016 ※詳細は後日発表
2016年11月12日 大阪・IMPホール
2016年11月13日 大阪・IMPホール
and more…
AbemaTV「SPECIALな金曜The NIGHT SuG編」
#2:5月13日(金)25:00-27:00
#3:5月20日(金)25:00-27:00
#4:5月27日(金)25:00-27:00
https://abema.tv/channels/abema-special/slots/PMW2iAsaTAB
商品情報
■1st ミニアルバム『VIRGIN』
2016年3月9日発売
[収録楽曲]
1. teenAge ream
2. SICK’S
3. 桜雨
4. 純・不純異性交遊
5. 無限Styles
6. In the shadow
7. Smells Like Virgin Spirit
■LIMITED A(CD+DVD)/PCCA-04344/\4,500+tax
[特典DVD収録内容]
・ヨーロッパツアードキュメンタリー(約49分収録)
・ライブ「VersuS 2015」ドキュメンタリー(約43分収録)
[初回封入特典]
・SuG TOUR 2016 SLVS スペシャル握手会参加券
■LIMITED B(CD+DVD)/PCCA-04345/\3,000+tax
[特典DVD収録内容]
・「桜雨」Music Video
・「Smells Like Virgin Spirit」Music Video
・「SICK'S」Music Video
・「teenAge dream」Music Video
・「桜雨」Music Video Shooting OFFSHOT
■STANDARD(CD only)/PCCA-04346/\1,852+tax
[初回封入特典]
・メンバー直筆レタープレゼント応募券
・対戦型・SuGマスターズカード(全10種のうち2枚封入)
■SuG「VIRGIN」iTunes/Apple Music配信
iTunes
https://itunes.apple.com/jp/album/virgin-standard-edition/id1085570480
■Apple Music
https://itun.es/jp/W2hTab
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