【インタビュー】LUNKHEAD、「決戦前夜」に注いだ『うしおととら』への愛と自分たちらしさ

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LUNKHEADが、5月11日にニューシングル「決戦前夜」をリリースする。表題曲はメンバーが青春時代に愛読していた漫画『うしおととら』のアニメ版エンディングテーマ(第3クール)に起用されたナンバーだ。今回BARKSでは小高芳太朗(Vo&G)へのソロインタビューを実施した。

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タイアップが決定した際、小高は「俺は随分大人になってしまったけど、またうしおととらと一緒に戦える事が本当に嬉しいです。」というコメントを発表している。うしおの武器が“獣の槍”ならば、LUNKHEADの武器は“音楽”だろう。いかに自分たちらしさを表現するか模索して完成した「決戦前夜」、両A面のつもりで制作したというカップリング曲「ユキシズク」を携え、LUNKHEADは勝負に出る。

  ◆  ◆  ◆

■作品の一部として、ちゃんとそこにいられるような曲にしたいと思ったんですよ
■LUNKHEADっぽいって何だろうって

――まずはテレビアニメ『うしおととら』のエンディングテーマを、LUNKHEADが担当することになった経緯からお話をお願いします。

小高:それはやっぱり、(所属レコード会社の)徳間のみんなが、LUNKHEADでどうしてもやりたいって言ってくれたからじゃないですかね。まず、すでに曲があったんですよ。それでよければっていう大前提の話で。昔だったら、俺も嫌だと言ってたと思うんですよ。自分で曲を書けないんだったらね。だけど、『うしおととら』はものすごく好きだったんですよ。ホントに青春時代に読んでた漫画だし。だから、「『うしおととら』のエンディングをやれるんですか!?」みたいな感覚ですよね。だったら、勝負したいなと。

――その話が寄せられたときには、曲も同時に聴いたんですか?

小高:聴きました。最初はピンとこなかったんですよ。でも、今となっては、逆にそこで制限があったのがよかったなって思うんですよね。ゼロから、「はい、やって」って言われてたら、結構、迷ってたかもしれないですけど、これで勝負しなきゃいけないとなったら、いろんなものがクリアになったんですよ。

――バンドとして、そのデモ曲に対してやるべきことが明確に見えたと?

小高:うん。どうやったらこれがLUNKHEADの曲になるか、それだけを考えればよかったんで。だから歌詞もすぐに書けたんですよね。

――それはこの作品に対する小高くんの愛情があったからこそですよね。

小高:そうですね。何か暗喩っていうよりは、めちゃめちゃ露骨に『うしおととら』にしてやろうと思って。いきなり、<獣の槍>って言ってますからね。“うしお”も“とら”も出てくるし。オトナの世界では、よくあるじゃないですか、売れてる人たちの曲がタイアップになったりって。でも、俺らはそうじゃないですからね。こういうチャンスをもらって、しかも自分がホントに好きな漫画の(アニメ版)主題歌を歌える……俺らにとっちゃ、特別なことだから、とにかく作品の一部として、ちゃんとそこにいられるような曲にしたいと思ったんですよ。ここに携わる人、全員を納得させる自信はありましたね。

▲小高芳太朗(Vo&G)

――「どうやったらこれがLUNKHEADの曲になるか」という話がありましたが、デモとなる原曲自体は、どのような状態だったんですか?

小高:元々は元UNDER THE COUNTERの大隅(知宇)君が作ったデモなんですけど、アニメが放映されるときに流れる90秒サイズのもので、わりとアレンジされてましたね。歌(のメロディ)はシーケンサーで入ってて。

――誰しもパッと聴いたときに感じると思いますが、これまでのLUNKHEADにはない曲なんですよね。ところが、随所にLUNKHEADらしさが盛り込まれている。だからこそ、どのような詰め方をしていったのかなと思ったんですよ。

小高:そうですね。構成にしても何にしても、とにかくメロディとテンポさえ変えなければ、自由にやっていいよって言ってもらってたんですよ。だから、いろいろ考えましたね。LUNKHEADっぽいって何だろうって。たとえば、最初は桜井(雄一)さんも、アニメの世界観に合わせて、スネアとかもドスを利かせた音のほうがいいのかなって言うから、いやいや、“This is 桜井雄一”っていうドラムでいきましょうと。それに、やっぱあのヘンテコなベースだなとか、今どきあまりないようなネチネチしたギターだなとかね。その意味では、あまり迷いはなかったかもしれないですね、アレンジしていくことに関しては。

ただ、特に(合田)悟のベース・ラインは……LUNKHEADが好きな人はあれが好きじゃないですか。パクチー好きな人と一緒だと思うんですよね。病みつきになっちゃうとやめられないっていう。いや、ドリアンっぽいのかな? 食ったことないけど(笑)。まぁ、それがLUNKHEADのカラーの一つだけど、初めて俺らの曲を聴く人たちに対して、合田悟らしいベースなんだけど、間口が広いフレーズっていうところは、いつもよりは意識してましたね。ギターもお互いの立ち位置とか、サビのギターのフレージングとかも、だいぶ気にしましたし。関わる人も多いから、いつもとやり方が違うんですよ。エンジニアさんも指定された人で、レコーディングもこういうやり方でみたいな。初めてのことだらけで、わりと不安というか、謎でしたね。

――先方がどういうやり方をするかわからないと?

小高:うん。でも、エンジニアさんはめちゃめちゃウマが合ったんですよ。年齢も近いし、もともとバンドをやってた人なので、こっちの気持ちもよくわかってくれるんですよね。タイアップでイヤな思いをしたことがあるらしくて、人の曲っていうのもあるし、絶対にLUNKHEADがライヴでやりたくないって曲にだけはしたくない、いいものを一緒に作ろうって言ってくれて。それはすごく救われましたね。結構、プリプロもいっぱいしたんですよ、エンジニアさん込みで。そんな中で、LUNKHEADらしさのキーワードとして、やっぱベース・ソロは入れたいなと思ったんですよ。悟も『うしおととら』が大好きだから、彼なりに自分の思いを込めて作ってきて。(他の制作スタッフから)いろいろ言われそうだなって話にもなったんですけど、すごくカッコよかったから、エンジニアさんも「俺、闘うよ」って、間に入って制作委員会とかとやりとりをしてくれて。

――あのベース・ソロが始まったときは、思わず笑みがこぼれましたよ(笑)。

小高:でも、毎度そうなんですけど、さっくん(合田)は技術的にできないことを考えてくるんですよね。でも、思いついちゃったんだもん、みたいな(笑)。誰かも言ってたけど、できることのちょっと上のことをやるっていう繰り返しで、技術が伸びていくんだなって思うんですよ。そういうベース・ソロです(笑)。

――そこでもLUNKHEADの主張が出ているし、その後を引き継ぐギター・ソロも、LUNKHEADを10数年やってきた山下壮の今を見せつけるかのような熱さがありますよね。

小高:あれはみんな笑いましたね、泣いてるねぇって(笑)。何なら、この4人の中で、壮だけが『うしおととら』を読んでないですからね(笑)。ここは白面の者、最後のボスといよいよ最終章で闘う、クライマックスに入っていくところなんですよ。エンジニアさんも『うしおととら』が大好きだから、ギター・ソロをプレイバックしながら、全員で(闘っている光景が)めちゃめちゃ見えるわぁって言ってたんですけど、壮だけはポカーンと(笑)。でも、期待以上のギター・ソロでしたね。

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