【インタビュー】ファンキー加藤、「ライブの熱量を持ってレコーディングしたいと思って汗をかこうとブースの空調を切りました(笑)」
■「勇者のうた」は近年稀に見るくらい疲れました。汗だくになって
■栄養ドリンクを飲みながら歌って、俺は何をやっているんだろう…みたいな(笑)
――話を「ブラザー」に戻しますが、カップリングの「勇者のうた」は、TBS系列プロ野球中継『SAMURAI BASEBALL』のテーマ曲ですね。
加藤:これも、テーマ曲というお話をいただいてから作った曲です。相手サイドからの要望は、「ファンキー加藤らしい、応援歌をお願いします」という一言だけでした(笑)。僕は元々野球少年だったので、プロ野球中継のテーマソングというのは、すごく嬉しかったです。野球に携わるのは、FUNKY MONKEY BABYS時代に出した「あとひとつ」という楽曲以来になるのかな。なので、曲を作るにあたって、まずはYouTubeで“好プレイ特集”を沢山見ることから始めました(笑)。それを見ながら、思い浮かんだ言葉を書いていったんです。そうしたら自分が野球をやっていた頃の思い出とかがどんどん蘇ってきて、ペン先が止まらなくなってしまって。これは、想いが溢れすぎて、とっ散らかってきたなと思って。それで、韻を踏むという制限を設けて、歌詞を書くことにしたんです。
――“明るい明日を実現させるために戦い続けろ”というメッセージにふさわしい、パワフルかつ爽やかな曲調も絶妙です。
加藤:この曲は、バンド・サウンドを意識しました。曲を詰めていく中で、土の匂いというか、土臭さが欲しくなったんですよ。それで、シンセサイザーの音色ではなくて、ギターの音でいきたいとプロデューサーに伝えました。
――それに、Aメロのドラムの音が、すごくカッコ良いいですね。
加藤:めっちゃカッコいい(笑)。魂を鼓舞するようなドラムになっていますよね。それがテーマに合っているし、純粋にドラムの音としてもカッコ良い。あの音はプロデューサーが作ってくれて、すごく気に入っています。
――リスナーの気持ちを上げる力を持ったドラムになっています。この曲の歌に関しては、いかがでしたか?
加藤:この曲の歌を録った時は、まずレコーディング・ブースの空調を切りました(笑)。要は、僕はライブ中の自分が一番好きなんです。ライブではすごくエモーショナルに歌えるのに、ブースで歌う時は勝手が違っていて。レコーディングする時は、「じゃあ、Aメロいきましょうか」「じゃあ、ちょっとここパンチングしましょうか」みたいな感じなんです。ずっと、そういう空気に対して若干苦手意識があって。でも、ある時のレコーディングで、空調を切ってライブさながらの状態で歌うのが自分には合うことに気づいて。それから多用するようになりました。
――シンガーというのは繊細な人が多くて、レコーディングする時にコンソール・ルームからブースが見えないようにしたり、ブースを真っ暗にしたりするというような話をよく聞きます。
加藤:そうみたいですね。僕は、空調を切るのが合うんです。ただ、あまりにも自分から出る汗で湿気がこもり過ぎて、何度かマイクを替えたことがある(笑)。マイクは湿度に弱くて、乾燥させていないといけないんですよね。歌録りをしていたらエンジニアさんが、「加藤さん、すいません。ちょっとマイクの感度が悪くなってきたので、マイク替えていいですか?」みたいな(笑)。“マジか?”と思ってブースの湿度計を見たら、湿度70%とかになっているんですよ(笑)。我ながら熱いなと思いました(笑)。「勇者のうた」もそうやって録ったんですけど、近年稀に見るくらい疲れました。汗だくになって、栄養ドリンクを飲みながら歌って、俺は何をやっているんだろう…みたいな(笑)。
――でも、だからこそ歌にこもるものがあるような気がします。
加藤:うん、言霊みたいなものがね。特に、「勇者のうた」はYouTubeで好プレイ特集を見たことで気づいたことだけど、プロ野球の選手は好プレイをすると、必ずユニフォームが汚れるんです。素晴らしいプレイというのは美しいだけじゃなくて、土埃が舞う。僕自身も野球をしていた頃は、真っ新なユニフォームよりも汚れたユニフォームを着ている時のほうがテンションが上がるような暑苦しい少年だったから。だから、この曲はサラッとは歌えなかったですね。
――加藤さんの応援歌を求めている人が沢山いることが納得できます。
加藤:少なくとも僕のファンの方達は、そうですね(笑)。何かしら大変なことを背負っている方達が多いので。それに、ライブの時にみんなで合唱すると僕自身も励まされるというのがあって。それが本当に嬉しいんです。だから、応援歌はずっと作り続けていきたいという気持ちはありますね。
――頼もしいです。シングルの3曲目に入っている「あの夏のカクテル」はテイストが全く違って、ウォームなスロー・チューンです。
加藤:これね、もう疲れちゃったんです(笑)。「ブラザー」と「勇者のうた」で、あまりに熱量を持って歌ったから、いい加減ブースのクーラーをガンガン効かせたいと(笑)。空調が効いた状態でレコーディングしたいといって作ったのが「あの夏のカクテル」です(笑)。みんなも「ブラザー」と「勇者のうた」を聴いたら疲れると思うんですよ。だから、3曲目は、ちょっと肩の力を抜いたものにしたいなと思って。それに、新しい自分の切り口を見せたいなという想いもあって。僕は前からジャック・ジョンソンとかもよく聴いていたし、元々夏の情景を描いた歌が大好きなんですよ。そういうテイストを取り込んだ曲を作って、それをアンプラグドっぽいサウンドで聴かせることにしました。
――新しい顔を見せつつ、Aメロで加藤さんらしさを出しているのも良いですね。その結果、独自のものになっています。
加藤:ありがとうございます。言われた通り、誰かと同じような音楽をやる気はなくて、自分の音楽を創りたいという気持ちがあるので。だから、そう感じてもらえたなら嬉しいです。
――感じました。思惑通り、「あの夏のカクテル」は涼しい環境で歌えましたか?
加藤:歌えました(笑)。全然汗をかかなかったですから。ただ、なにせ10年間拳を握って歌ってきたので、力を抜くことが出来なくて。逆に、それが難しかった。プロデューサーに、もっとリラックスして歌ったほうが良いと散々言われて、分かっているけど、それが難しい…みたいな(笑)。常にフル・スイングして来たから、軽打というものができないという(笑)。そういうところで、この曲はすごく勉強になりました。
――「あの夏のカクテル」で新たな一面も見せつつ、「ブラザー」は加藤さんらしさに溢れた一作になりました。6月8日に「ブラザー」がリリースされて、6月11日に『サブイボマスク』が全国公開、7月23・24日に横浜アリーナで2デイズ・ライブ開催ということで、2016年は充実した夏になりますね。
加藤:そうですね。ただ、映画がね……まだ、妙なプレッシャーがあるんですよ(笑)。撮影はもう終わったけど、舞台挨拶があったり、また大分県に行ったり、『サブイボマスク』に関するキャンペーンがあったりという風に、いろんなことが予定されていて。一人でも多くの人に劇場に足を運んでいただくために、そういうことをしっかりやろうと思っています。「ブラザー」が沢山の人に聴いてもらえれば映画も観てもらえるし、映画が広まれば「ブラザー」も聴いてもらえるという相乗効果を、自分の両手に持っているわけじゃないですか。なので、とにかく頑張らないと…と思っています。横浜アリーナのライブに関しては、4月16日に名古屋の日本ガイシホールという大きい会場でライブをやらせていただいたんです。FUNKY MONKEY BABYSの後期には普通にアリーナ・ツアーとかをしていて、その後ソロになって一から積み上げていった結果、またアリーナに戻って来れたというのは自分的にはすごく意義があるんです。やっぱりFUNKY MONKEY BABYSという巨大な思い出と、今なお自分はどこかで戦っている部分があって。ちゃんと思い出を更新しないといけないと思っている自分がいるので、横浜アリーナ2デイズは過去と今と未来という全部との戦いになる気がする。そういう風に、今でも戦い続けている自分の姿を見せるライブになると思います。
――来場されたファンの皆さんに力を与えるライブになると思います。横浜アリーナという広大な会場でも、加藤さんはきっと汗だくで歌うんでしょうね。
加藤:それは間違いない。もう1曲目から汗まみれだと思います(笑)。
取材・文●村上孝之
6thシングル「ブラザー」
◆通常盤(CD)MUCD-5329 ¥1,000+税
1.ブラザー(映画『サブイボマスク』主題歌)
2.勇者のうた(2016 TBS系列プロ野球中継“SAMURAI BASEBALL”テーマ曲)
3.あの夏のカクテル
映画『サブイボマスク』
出演:ファンキー加藤
小池徹平、平 愛梨、温水洋一、斉木しげる、いとうあさこ、小林龍二(DISH//)、武藤敬司(特別出演)、大和田伸也/泉谷しげる
監督:門馬直人 脚本:一雫ライオン 制作:DLE/andpictures
主題歌:『ブラザー』ファンキー加藤(ドリーミュージック・)作詞・作曲:ファンキー加藤/田中隼人 編曲:田中隼人
劇中歌:『春雄の唄』サブイボマスク(ドリーミュージック・)作詞・作曲:甚平春雄/田中隼人 編曲:田中隼人
『かけがえのない人』サブイボマスク(ドリーミュージック・)作詞・作曲:甚平春雄/川村結花 編曲:soundbreakers
配給:東映
製作幹事:DLE
(c)サブイボマスク製作委員会
公式サイト:sabuibomask.com
ライブ・イベント情報
2016年5月5日(木・祝)TSUTAYA O-WEST
http://emtg.jp/feature/funkykato_matsutakematsuri/
<JOIN ALIVE 2016>
2016年7月16日(土)・17日(日)
※ファンキー加藤の出演は17日(日)のみ
【会場】
いわみざわ公園<野外音楽堂キタオン&北海道グリーンランド遊園地>
http://www.joinalive.jp/2016/
<I LIVE YOU 2016 in 横浜アリーナ>
■2016年7月23日(土)横浜アリーナ
■2016年7月24日(日)横浜アリーナ
http://funkykato.com/iliveyou2016yokohama/
◆インタビュー(1)へ戻る
◆インタビュー(2)へ戻る
この記事の関連情報
ファンキー加藤、ソロデビュー10周年記念イベント<熱唱戦隊ジュウネンジャー>開催
ファンキー加藤、ベストアルバム発売に先駆け7/3より収録楽曲「吼えろ」の先行配信が決定
ファンキー加藤、10th Anniversaryアルバム『My BEST』リリース記念フリーライブ開催決定
ファンキー加藤、ソロ10周年記念ワンマンを日比谷野音で開催
【インタビュー】「DAM CHANNEL」20代目MCに森 香澄、サポートMCにチャンカワイが就任「プライベートな部分も引き出せたら」
2024年3月のDAM HOT!アーティストはアーバンギャルド、フジタカコら4組
【イベントレポート】<ビッグエコー35周年記念カラオケグランプリ>決勝大会が大盛況。応募4,061件の頂点決定
【インタビュー】ファンキー加藤、いつも近くで⾒守ってくれる母への感謝「10周年というタイミングがベストかなと思ったんです」
2024年2月のDAM HOT!アーティストはOHTORA、我生ら4組