【インタビュー】がんばれ！Victory、バンドルが繰り広げるオールドロックの真髄『十代発表』

■自分たちはシブいところがルーツだったりするんで
■少し感覚がズレてるのかもしれない(笑)

──初めてオリジナル曲を作ったのは？

まゆこ：中学2年の終わりくらいでした。

れな：インディーズ時代の曲で、今はあまりライヴでもやらなくなっちゃったんですけど、それをやると、“シブいね”って言われるんです(笑)。

──なるほどね。今回のアルバム『十代発表』の中で、1番古い曲は？

あやき：れなが作った「scarred」なんです。

れな：高校生の頃に作った曲です。

──本当に!? びっくり……。「scarred」とか「booing!」とか、今作の中でも特にいなたい楽曲で、すごいシブいなぁって思った曲だったからびっくり。「三三七拍子」とかも、歌詞が乗って通して聴くとキャッチーなロックに変化するけど、オケだけ聴いたらスキル炸裂のハードロックだからね。

れな：そうですね。そのあたりの楽曲はアルバムだから出来た曲だったかなって思います。どうしてもシングルだともうちょっとポップさが前に出ちゃうというか。シングルでは表現出来ないことが出来たかな。

まゆこ：でも、中では「三三七拍子」とか「パレット」とかは、ちょっとシングル意識というか、ポップさとかキャッチーさを意識してる気がするんですけどね。でも、やっぱり自分たちはちょっとシブいところがルーツだったりするんで、少し感覚がズレてるのかもしれない(笑)。



──そうだね。「三三七拍子」とか「パレット」は、充分シブいからね。「booing!」だって、あのルーズ感は若い人では、なかなか出せないよ。

みなみ：たしかにそうかも(笑)。「パレット」はキャッチーなんですけど、コード的にはジミヘン(ジミ・ヘンドリックス)入ってるんですよ(笑)。

──ベースの音色も尖ってていいよね。

しのぶ：はい。主張してます(笑)。

──今回アルバムを作る上で考えたことはあった？

れな：とにかく、“やれること全部やっちゃおう”と思って作りました。アルバムの流れとして、アップテンポの曲が欲しいなって思えばアップテンポの曲を作ってみたし、ミディアムなナンバーが欲しいなと思えば、ミディアムなナンバーも作ってみたし。曲順も基本的には5人で決めたんです。

──本当に今の5人の想いが詰め込まれた1枚になったんだね。それぞれ、お気に入りの曲は？

みなみ：私は、れなが書き下ろしてくれた「サヨナラ」っていう曲が好きです。アップテンポの曲が多くてギターを弾くのが大変だったんですけど、この曲はプレイ的にも余裕を持って弾けるし、ビブラートとか使って、泣かせるギターを弾けたのが、すごく嬉しかったので、そんなところに注目してもらえたらと思います。

あやき：私は14曲目の「また明日」っていう曲。この曲はいままでもライヴで何度かやってきてるんです。でも、途中でアレンジが変わって、今回アルバムに収録されることになったんです。アレンジが変わる前も好きだったんですけど、今回アレンジが変わって、メロディーとギターのフレーズのハモリ具合がすごく良くなったんです。切ないような、あたたかいような歌詞にすごく寄り添えてるなぁって思うので、アルバムの最後の曲としてもすごくいいなって思えるし、がんばれ！Victoryっぽいし、ぽくない一面も覗けるイチオシ曲です。

まゆこ：私は13曲目の「Go my way!!」。この曲は私が作詞作曲をしているんですけど、初めてちゃんと作詞に向き合った曲でもあるんです。2ndシングルだった「ラリラリラ」の投票曲の1位曲なんですけど、とにかく歌詞を書くのが苦手で。何を書こうか迷っていたときに、自分のことを書こうって思って書いた歌詞。ギターのフレーズとかもカッコイイし、いままでなかったシャッフルのリズムも入ってるし、ベースラインもジャズっぽい感じも入っているので、そこに注目して聴いてもらえたらと思います。




──そうそう、がんばれ! Victoryのシングルには、毎回“投票曲”っていうのがカップリングに入るんだよね？

れな：そうなんです。初回盤と通常盤と、プラスそれぞれの投票曲が入った5形態でリリースされているんです。

まゆこ：それぞれが作詞作曲した曲がデモ曲状態で入るんです。それをお客さんが、盤に入っている投票用紙で投票してくれて、1位を決めるっていうシステムなんです。

──なるほど、面白いね!

まゆこ：面白いんですけど、すっごい毎回大変なんですよ。表題曲とカップリング曲プラス、投票曲を作らなくちゃいけないので。

あやき：そう、毎回シングルをリリースする度に計7曲レコーディングしているんです。


──毎回ミニアルバムを作ってるみたいだね。

みなみ：でも、みんなの個性が出せる場所でもあるし、絶対に作らなくちゃいけないから、いい勉強になるというか。

しのぶ：毎回すごく鍛えられています。私のお気に入りは1曲目の「WONDER JOURNEY」っていう曲なんですけど、アルバムの曲順をみんなで決めようってなったときに、わりとすんなり1曲目に落ち着いたのが、この「WONDER JOURNEY」だったんです。これから新らしい冒険をもっともっと続けていこうっていうことを歌った曲なので、アルバムの始まりに相応しい曲だなっていうのと、すごく難しい曲だったなっていう思い出があるんです。結構テンポが速い上に、それぞれのパートが全編通してフレーズを弾きまくってる感じなので、そんな疾走感を楽しんでもらえたらと思っています。

れな：私はさっきも話が出ていた6曲目の「scarred」なんですけど、ライヴで何度もやっている中でも、ファンのみなさんがギャップを感じてくれてる1曲なので、アルバムの中でも、ちょっと雰囲気の違う曲として、アルバムを違う方向に引っ張ってくれる1曲になったらいいなと思っています。サウンドがとにかくゴリゴリだし、ギターソロで、ユニゾンというかハモリで渋みのあるギターを弾けたのも気に入っているので、そんなところもじっくり聴いてもらえたらと思います。

──メジャーアルバムがリリースされたということで、この先、どんな活動を目標としていきたいと思ってる？

れな：アルバムを出すごとにバンドって色が少しずつ変化するみたいなところがあると思うので、バンドがどんな方向にいくのか自分たちでも楽しみにしながら、修正しながら、成長していけたらいいなと思ってます。アルバム発売を記念したイベントや、7月からはツアーもあるので、ちょっとずつがんばれ！Victoryを広めていけたらいいなと思っています。上京してからいままでの2年間は、無謀というか、とにかくガムシャラに気合いだけで頑張ってきたんですけど、ちょっとずつ見つかって来てるものも多いので、それを確実な力にして、全国ツアーが出来るようなバンドになっていけたらと思います。そして、今年はフェスなんかも出て行きたい。

──いやぁ、ホント、恐れ入りました。がんばれ！Victory……。

一同：(爆笑)

──5人を育てた先生にお礼を言いたいくらい。

まゆこ：あははは。ありがとうございます! 先生は今も佐賀で後輩を育ててくれています(笑)。最近の話なんですけど、後輩ががんばれ！Victoryの曲をカバーしたいって言ったら、先生が、“がんばれ！Victoryの曲は難しいからやめとけ”って言ったってのを聞いて、あぁ、そんなふうに言ってもらえるようになったなんて、成長出来てるんだなって思えてすごく嬉しかったんです。教えてもらった先生にそんなふうに言ってもらえるのは、成長してる証拠なのかなって思ったら、本当に嬉しかったんです。

れな：よく叱られてたもんね(笑)。

みなみ：そう。特に私(笑)。“練習して来いっ！”って(笑)。だから、簡単にコピーされたら必死で頑張ってきたのに悲しいから、もっともっと頑張らなくちゃって思ってます。

あやき：でも、あんまり難し過ぎて誰もコピーしてくれないってなったら、それはそれで寂しいけどね(笑)。

しのぶ：私たち自身ももっともっと頑張って、後輩がいっぱい出て来てくれたら、佐賀県がちょっと有名になるんじゃないかなって思っているんです。佐賀って何も有名じゃないから、がんばれ！Victoryが頑張って盛り上げていきたいなって思います。

取材・文●武市尚子








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