【インタビュー】THE NEATBEATS、「ロックンロール」っていう言葉は選ばれし者だけが使えるワード

ポスト

── MR.PANさんは前回のインタビューで「音作りは自分に対する挑戦。ステレオは右と左だけど、自分の作るモノラルは前と後ろのステレオだと思っていて、定位を前と後ろに作るのが課題。それはまだまだ研究の余地がある」とおっしゃっていました。その研究はその後どうなんでしょうか?

MR.PAN:まだ終わらないですね。

一同:(笑)。

MR.PAN:STAP細胞が見つかるまで終わらないですね(笑)。

MR.LAWDY:どっちが先に見つかるんやろう?

── 音の研究はずっと続いているわけですね。

MR.PAN:でもやっぱり今でもわからへん。バンド側がどんなプレイ状況だったかもあるし。楽器の強弱はプレイヤーが決めることだし、やり方が何千通りもあるから。そこはプレイヤーあってのものもあるし偶然の産物もあるし。毎回同じセッティングでやったからといって同じことを録れるわけでもないしね。それは不思議だけど、なぜかね。

MR.LAWDY:最初の頃とか、ライヴのセットの状態に機材を組んで録ってたけど、それはそれで奥行きが上手く録れへんしね。

── スマホから聴いても他と比べて音が良いなというのはわかるんですけど、それはモノラル録音だからなんでしょうか?

MR.PAN:どうかなあ。でもイヤホンをして聴くことはみんなしているだろうから、なるべくデータとして圧縮されたとしても、良い音がしているようにというのは、ミックスのときに思ったりするけどね。ただ、自分はそういう状況で聴かへんし、今のスタジオ環境の音に自分の耳が慣れているから、他の音を聴いたことがないから。今の音楽のサウンドを研究したことがないから、まったく参考になってないというか。

MR.GULLY:する気もないしな?(笑)

MR.PAN:昔のビートルズのアルバムがリマスターされたとかはチェックするけど。やっぱり俺はPro Toolsの音が好きじゃなくて、もうイントロが始まった瞬間に消すからね。俺の聴く音楽じゃないというか、聴くとゲンナリする。それに、聴いてしまってそこで何かを得てしまったら自分の中のこだわりが下がるなって。

MR.GULLY:30年後にやっと触るんちゃう? ヴィンテージになってから(笑)。

MR.PAN:まあ優れているとは思うけどね。そこの優れた部分を俺は別に必要としてないから。

── HPの方に「今年はリリースラッシュイヤー!」とありますね。ご自分たちの作品だけでなく『MR.PANによる世界のガレージ/ビート・グループ発掘仕事集』も出ていたり、そういうものも含めてリリースしていくわけですか?

MR.PAN:やりたいですね。1990年代中期から後半のガレージバブル時代を懐かしむじゃないけど(笑)。海外ではレコードがギリギリ良かった時代というか、ローファイという言葉がものすごくオシャレだった時代というか。あれはでも、チープにしすぎたよね。ローファイというもの自体を。

MR.GULLY:なんか、ジャンクなイメージがついたよな。

MR.PAN:安かろう、悪かろうみたいになっちゃったのが良くないなって。安いけど質が良いのがローファイなので。でもまあ、「ロックンロール」ってみんなが使える言葉になってしまったけど、自分の中では選ばれし者だけが使えるワードというか。だから現存しているそういう人をなるべくリリースしたいなと思ってます。

── 「カンパニースリーブシリーズ」をやっていく、とツイートしていましたけど、これは?

MR.PAN:これはね、「レコードストアデイ」で今年から新しいやつを出そうかなと思っていて。そのときにシングルをカンパニースリーブで出そうかなと。当時はジャケット付きというのはレアで、売れているバンド以外はカンパニースリーブというレーベルのロゴとか裏面に「他にこんなの出てますよ」みたいな広告が入った紙袋で発売していて。袋をそういう風にするシリーズをやろうと思って。

MR.LAWDY:もうね、変態ですよね、こうなると(笑)。

MR.PAN:それに共感できる人が何人くらい出てくるのか楽しみなんですよ。全員はわからないと思うけど、「うわ~それやってくれたか!」という人も少なからずいると思う。

MR.GULLY:お客さんでも、レコードプレーヤーを買って、僕らからレコードを知ってくれたりしていますからね。でも「ニートビーツのレコードが波打って聴こえるんです」って言うからよくよく訊いたら、真ん中のアダプターをつけんと聴いてたらしくて(笑)。たまたまセンターに行ったときはちゃんと鳴ってるけど、つけてないからそりゃあレコード振り回されるよ。

MR.LAWDY:さすがにそれはわかるやろ(笑)。

MR.GULLY:いや本当に、B面とか知らない子もいますからね。だから面白いですよね。新たに気に入ってもらえるツールになってくれたらね。
この記事をポスト

この記事の関連情報