【ライブレポート】FAKE?、最強の布陣で挑んだ2016年初ワンマン
KEN LLOYDのソロプロジェクト、FAKE?による2016年最初の単独ライブ『Clockwork』が2月28日、東京・新宿BLAZEで行われた。
◆ライブ画像(全9枚)
昨年9月4日に同会場で実施された『HARLEQUINADE Act.2』以来、約半年ぶりのワンマンライブとなる今回は、前回同様にKEN(Vo)、峰正典(G)、PABLO(G)、JOE(B)、ZAX(Dr)、DJ BASS(Turntable)、d-kiku(Manipulator)という現時点で最強の布陣で敢行。しかも今回から映像チームも加わり、聴覚・視覚・触覚など五感に響くライブが繰り広げられた。
ステージの前には暗幕がかかり、その前方に白いスクリーンが設置されるという、これまでのライブとは少し異なる雰囲気の中、会場が暗転するとスクリーンには壁をモチーフにしたCG映像が映し出される。さらにウサギ型ロボットが月から地上に降りたところで映像は終わると、爆音でSEが流れ始める。そして会場両サイドの壁にレーザー光線が放たれ、ステージの暗幕が開くと、そこには全身白い衣装を身にまとったバンドメンバーの姿が。KENのみウサギのマスクを付けており、映像との関連性を強く感じさせた。バンドはそこから勢いよく「Serial Killa」でライブを開始。ライブタイトルどおり映画『時計じかけのオレンジ』に登場する不良グループ「Droog」を彷彿とさせるその姿からは、白ならではのさわやかさと同時に内に秘められた狂気性すら感じられる。KENをはじめとするメンバーは、デジタル色の強いバンドサウンドに乗せて早くもアグレッシブなパフォーマンスで観客を魅力していく。
ミディアムテンポの「Serial Killa」が終わると、続くアップテンポの「Utopia」で会場の空気は一変。マスクを外したKENがフロアを煽ると、これに応えるように観客も高らかと拳を上げる。さらにリズムに合わせてジャンプを繰り返すなどして、会場の一体感は急速に高まっていった。そして3曲目「Taste It」ではZAX&JOEのリズムセクションが織りなす心地良いグルーヴ感と、その上に乗るDJ BASSのスクラッチ、峰とPABLOが構築する絶妙なギターアンサンブルがさらなる高みを生み出した。
最初のMCで「新宿、元気ですか?」と挨拶したKENは開演が少し遅れたことを詫びつつ、早々と次の曲へと移っていく。「New Skin」では「ガスマスクをしたウサギのキャラクター」が描かれたステージ後方のバックドロップにカラフルな照明が当てられ、まるで教会のステンドグラスのような不思議な雰囲気が作り上げられる。また「F.U.C.K.」ではKENがガスマスク型マイクを使って、ラジオボイス風にエフェクトされたボーカルを披露。バンドメンバーはどの曲でもタイトな演奏を聞かせ、観客もこの気持ち良いサウンドに身を委ねて歌い踊る。ライブ中盤ではKENの「ちょっとメルヘンなブロックに入ります」の言葉どおり、メランコリックなポップチューン「Candy」、シャボン玉が会場中に舞う演出が用意された「Novocaine」など、曲の雰囲気と照明などさまざまな演出によりサイケデリックな空間が作り上げられた。
ライブ後半のMCではThe BONEZの岩手公演を終え、当日に東京入りしたZAXがお土産になぜか青森産のリンゴチップスを買ってきたことにKENが触れる。これまでなら途中でグダグダになってしまうトークも、この日はオチを付けて最後まで話すことができたKENに対して、初期からFAKE?に参加しているPABLOが「成長したね!」と思わず漏らす一幕も。そんな微笑ましいやり取りを経てライブに戻ると、攻撃的な「Buzz」、ハードコアなダンスチューン「Disco」で会場の熱は再び高まっていく。また「Praise」では曲中、JOEが回し蹴りを披露して観客を魅了。さらにKENがライブ来場者に配布する新曲が現在制作中のニューアルバムの1曲目になることを明かし、「これからも面白いことを試したいなと思っている。いろいろ出していくので、要注意!」と告げると、峰から「えっ、『要チェック』じゃなくて『要注意』?」と突っ込まれ観客の笑いを誘った。
そして「Addicted」からライブ最終ブロックに突入したバンドは、「これぞFAKE?」と言わんばかりに熱のこもった歌と演奏で会場の空気を掌握した。「Radio's Dead」ではフロア前方にモッシュピットが発生するほどの盛り上がりを見せ、続く「Taste Maximum」で観客の盛り上がりはピークに到達。その盛り上がりをさらに加速させんばかりのアップチューン「Someday」ですべてを出し切って、メンバーは笑顔でステージを去っていった。
こうして2016年最初のFAKE?ワンマンライブは大成功のうちに幕を下ろした。会場出口ではフライヤーと共に、新曲「Down The Rabbit Hole」のダウンロードURLが記載されたギフトカードを来場者にプレゼント。この新曲を聴いた人はお気づきだと思うが、実はライブのオープニングSEはこの新曲のリミックスバージョンだったのだ。この曲を起点に、FAKE?は今後も新曲制作を続けていく。この先どのような楽曲を届けてくれるのか、そして次のライブはいつ、どのようなスタイルで行われるのか。現時点では今後に関する情報は明かされていないが、ただひとつ断言できるのは、「2016年のFAKE?は楽曲、ライブすべてにおいてこれまでとはひと味違ったものを提供してくれる」ということ。それはこの日のライブを観た人、そして来場者にプレゼントされた新曲を聴いた人ならおわかりいただけるだろう。KEN LLOYD、そしてFAKE?の次のアクションが早くも待ち遠しい限りだ。
TEXT by 西廣智一
■セットリスト
01. Serial Killa
02. Utopia
03. Taste It
--MC--
04. New Skin
05. F.U.C.K.
06. Lucifer's Cut
--MC--
07. Candy
08. Novocaine
09. D-Elite
10. Bit Of Life
--MC--
11. Buzz
12. Disco
13. Praise
--MC--
14. Addicted
15. Radio's Dead
16. Taste Maximum
17. Someday
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