【インタビュー】doa 、10thアルバム完成「相手がいて初めて成り立つ自由がある」

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■僕の言ってることと大田さんの言ってることが
■反対過ぎて吉本君が困るという(笑)

──プレイ面に関することもお聞きしたいのですが、まず歌の振り分けはどういう風に決めたのでしょう?

吉本:リーダー(徳永)の命令です(笑)。

徳永:「お前が歌ってこい!」と(笑)。ただ基本的には、どの曲も吉本君が歌うことをイメージして作っています。ライブでは吉本君がセンターに立つし、彼が3声の真ん中のパートを歌って、大田さんが上でハモって、僕が下でハモるのがdoaのスタイルなので。その中で、キーが高いから大田さんかなとか、ちょっと低いから僕かなという風に大雑把に振り分けて。歌ってみて合わなかったものは他の人が歌ってみるという感じです。今回は、わりとスンナリいった記憶がありますね。

吉本:振り分けはスムーズだったけど、今回の曲は全部難しかった。doaは歌詞を書いた人が仮歌も入れるんですけど、それを聴き過ぎると自分の色が出づらかったりするんですよ。2人とも良い歌を歌うから、寄ってしまいがちになる。そういう中で自分らしさを出すのが難しかったですね。自分の好きなように歌えば良いというものではないし。歌詞を書いた人は、その曲に込めたメッセージ性も強く持っているので、それをしっかり表現しつつ自分の歌を歌いました。

──「真冬の花」や「YOU & I」の絶妙な温度感はさすがです。

吉本:本当ですか? 僕はあまり歌に強弱をつけて歌いたくないというか。たとえば、バラードだからといって囁いたりしたくないんです。逆に、声を極端に張って歌い上げたりもしない。それが、ちょうど良い温度感に繋がっているんだと思います。「YOU & I」は、自分が歌詞を書いていることが大きい気がしますね。最初から楽曲の方向性が明確で、どういう完成形になるかというイメージが出来たうえで歌入れができたので。迷ったり、探ったりする部分がなくて、ハッピーで大きな気持ちをドン!と伝えたいと思っていて、そのまま歌うことができました。

大田:僕は、歌録りはあまり時間は掛からなかったけど、結構こだわりましたね。「SING A BLUES」はハンドマイクで録ったんです。そのほうがライブ感があるというか、ナチュラルな歌になるなというのがあったから。

──「SING A BLUES」の後半のフェイクは、すごくカッコいいです。

大田:ありがとうございます。そこは徳永君のリクエストだったんです。「大田さん、最後はいっちゃってくださいよ」と。それで、その場のノリでフェイクしたら、「いい!」と言ってもらえました(笑)。

吉本:大田さんの歌はロック色が強くて、この曲のフェイクとかは、その良さがよく出ていると思う。

大田:そうなんだよね。どうしてもロックになってしまうので、僕が「真冬の花」とかを歌ったら徳永君は困ったと思います(笑)。「LADYLUCK」は、若々しい気持ちになって歌ったら、イメージ通りの歌がすぐに録れた。今回は2曲とも楽しく歌えましたね。

徳永:歌録りに関して言うと、2人が歌入れをする時は、僕がディレクションをすることが多いんですよ。そうすると、吉本君は任せるタイプで、大田さんは任せないタイプなんですね(笑)。自分でハンドマイクを持ってきて歌っちゃうタイプ。「どうしてもここはフェイクしてほしい」というような時は言うけど、彼は基本的にテイク選びとかも自分でやるんです。吉本君は「絶対にディレクションしてほしい」と言うからするんですけど、僕の中で吉本大樹のボーカルの良さというのは“ここだ”というのがはっきりしているので、それ以外のところは排除するんですよ。でも、たまに大田さんと意見が分かれることがあって、訳が分からなくなる時もあるよね?

吉本:ある(笑)。

徳永:“コブシが廻ってる/廻ってない”とかいうような細かいことで何回もブースに入って歌わされるんだけど、僕の言ってることと、大田さんの言ってることが反対過ぎて困るという(笑)。

吉本:もう本当に分からないんですよ(笑)。でも、ずっとそういう風にやって来ているし、それがdoaの良いところのような気がしているから。

徳永:そうだね。吉本君は大変だろうけど、いろんな意見が出ることで、一番いい歌をパッケージできていると思う。自分の歌で一番気を遣ったのは、「拳」の1番の1行目でしたね。“好きなあの子が教室の隅っこで泣かされてたんだ”というのは、小学生の言葉じゃないですか。それを今の自分のこの声で、どう表現したら一番響くんだろう?というのがあって。フィットする歌の温度感や表情をしっかり見極めるようにしました。

──なるほど。

徳永:「Run to you」と「Kiss Me」は、なんて言うんだろう……自分自身を俯瞰で見ているというか。“ああ、これが徳永暁人だな”という感じなんですよ。自分が歌っているというよりは、あの声を持ってるやつがこういうテンポで、こういう内容を歌ったら面白いだろうということを考える。そのうえで、イメージに乗り移った感覚で歌うんです。だから、他の曲の仮歌を歌っている時は、全然別の人間になるんですよ。自分が歌うことになった曲はディレクター目線で、自分に“こういう風に歌えよ”と命令する感じです。

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