【ライヴレポート】VAMPS、Nothing Moreとの<JOINT 666>で「これはみんなの夢だよね」

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VAMPSが12月12日、籠城型にして対バン形式となるツアー<VAMPS LIVE 2015-2016 JOINT 666>の大阪公演5日目をなんばHATCHにて開催した。初日にASH DA HERO、2日目にDerailers、3日目および4日目にKNOCK OUT MONKEYを迎えた大阪公演もいよいよクライマックス。その6DAYSのラストは、アメリカはテキサス州出身のNothing Moreが2DAYSを飾る。

◆VAMPS 画像

開演前の楽屋裏は実にフランクなムードだった。Nothing MoreとVAMPSは、アルバム『BLOODSUCKERS』のLAレコーディング時にHYDEとK.A.ZがNothing Moreのライヴへ訪れて以降交流を深め、2015年2月のVAMPS主宰<VAMPARK FEST>に招致するなど、国境を越えた親交がある。Nothing Moreにとって二度目の来日公演となるのが<VAMPS LIVE 2015-2016 JOINT 666>であり、ケータリングのジャパンフードをVAMPSとにこやかに言葉を交わしながら楽しむなど、両者は実に和やかだ。


この日の開演時刻は16時66分。ステージを覆う幕に投影された数字が“166550”を刻むと条件反射的にBLOODSUCKERSがカウントダウンを始める光景は、もはやこのツアーお馴染みのもの。その数字が定刻を示した瞬間、Nothing Moreのヴォーカル&パーカッションのジョニー・ホーキンズが勢いよくステージへ。バスドラムやスネアなどを組み込んだパーカッションキットにスティックを振り下ろすと、ドラムのベン・アンダーソン、ベースのダニエル・オリバー、ギターのマーク・ボレルンガが、そのリズムに合わせてセッションへなだれ込むという幕開けだ。「Christ Copyright」を1曲目に据えながら、序章に再びセッションをはさんで披露された2曲目の「Mr. MTV」で、彼らのステージが最初の爆発を起こした。

「大阪! Fantastic! So happy! Let me hear!」──ジョニー・ホーキンズ

この夜のセットリストはバンド名を冠したアルバム『Nothing More』収録曲を中心にしたものだが、同作が本国米国でリリースされたのは2014年8月(日本発売は2015年2月)のこと。リリース以降、ツアーを重ねてきた楽曲はタフにビルドアップを続け、前述したセッションに代表されるようにライヴならではのアンサンブルが濃厚だ。中盤に披露された「The Matthew Effect」ではジョニーのパーカッションキットに組み込まれたエフェクターがヴォーカルにスクラッチのような音色効果をもたらすなど、視覚にも聴覚にも訴えかけるパフォーマンスもさすが。その極めつけが「Bass Solo」だった。



<VAMPARK FEST>をご覧になった方はご存知と思うが、この「Bass Solo」がとにかくアクロバティック。ステージ中央のジョニーのパーカッションキットにスタンドを装着してベースを固定。その両サイドに立ったダニエルとマークがタッピングやスライドなどでフレーズを重ね合わせていくのだから、ピアノでいう連弾のような同時演奏が展開される。さらには、そこにジョニーが加わり、ダニエルとマークの押弦をスティックで叩くことによって和音が奏でられるというエポックな奏法は圧巻だ。フロアはその異次元パフォーマンスに引き込まれるばかり。

その後も、ミディアムナンバー「Jenny」からヘヴィな「Ocean Floor」と、隙のない連打でバンドサウンドの幅広さをアピールしたステージは、<VAMPARK FEST>よりもパワーアップした大胆さと多彩さを感じさせるものだった。

「どうも。Are you Ready for VAMPS!? So Happy to be here. Thank you! Thank you! Thank you! So much!!」と語ったジョニーは、「Could you take a picture with us!?」と続けてBLOODSUCKERSと一緒に記念撮影をするなど、親しみやすい一面をのぞかせた。「VAMPS, going to rock you! Faith!」というメッセージを残し、ラストナンバーの「Salem」へ。同曲のハイライトではマークとダニエルが大上段にフロアタムをセット。メンバー4人全員が打楽器奏者になるという大ワザで、このステージのクライマックスを迎えた。



ちなみにライヴ終了後の楽屋で訊いたことだが、ジョニーは学生時代に和太鼓を習ったことがあるそうで、メンバーのスティックさばきや、タイコのセッティング位置は確かに和太鼓に倣ったもの。この夜、MOTLEY CRUEやPAPA ROACHなどビッグネームが名を連ねるEleven Seven Music所属バンドならではの世界レベルのサウンドを響かせた彼らは、唯一無二のパフォーマンスでBLOODSUCKERSの心をガッチリと掴んだはずだ。


Nothing Moreの先鋭的な余韻が残るなか、舞台転換を経て場内が再び暗転した。雷鳴轟く場内が真っ赤な照明に妖しく照らされるだけで、フロアが沸騰したかのような嬌声が上がる。そして、幕が開くと瞬時に空気がVAMPS色へ一変した。

オープニングは「EVIL」、続けて「LIPS」とこの日のVAMPSは序盤からアグレッシヴで鋭利な高速ナンバーを連発。スピーディーな展開に逆巻く荒波のようなヘッドバンギングがフロアを揺らす。ベースのイントロリフが奏でられただけで客席が沸いた「MADE IN HEAVEN」のサビでは、渾然一体となったタテノリに文字通り会場が震えた。

「BLOODSUCKERS! 今夜も楽しませてもらうからね。ハッチャケちゃって! 一緒にいこうね。Are you fuckin' ready!?」──HYDE


アルバム『6 6 6』や『FAITH』などHYDEソロからの楽曲は、現在のVAMPSのステージに“これほどの彩りを加えるとは”と驚くほど躍動的で退廃的だ。とりわけ中盤に披露された「FAITH」はK.A.ZとHYDEのギターに加え、Ju-kenのベースフレーズが拡散と集束のアンサンブルを繰り返し、楽曲本来が持つ感情の起伏をなぞるかのごとく雄弁にして壮大だ。

「盛り上がってるね、気持ちいいな。今日はNothing Moreが来てくれたね。見た? あれちょっとおかしいやろ(笑)。“えっ!? ベース何人で弾いてんの?”って(笑)。それにしてもジョニー、彫刻みたいな身体だったね。オレは今日、ちょっと脱げないな(笑)。(脱いで!という声に対して)じゃあ、熱くなるようなライヴにしようぜ! 後半盛り上がっていくから。今日明日で終わりだから悔いのないように。“大阪 ブラサカ SIXでSEX!” SAY!」と、ここ大阪2日目以降恒例となったHYDEのライムで盛り上げたところでライヴは後半戦へ。

ポップでカラフルな「ZERO」で幕を開けた後半は、K.A.Zのギターサウンドの抜けと粒立ちが素晴らしい。付点8分ディレイと16ビートのクリーンカッティングが楽曲に浮遊感を演出し、天井で回り続けるミラーボールが会場を無重力空間に変えた。ちなみに同曲でK.A.Zが使用したジャズマスターは1950年代のヴィンテージだとのこと。これからライヴに足を運ぶBLOODSUCKERSはその美しく輝かしいサウンドにぜひ耳を傾けてほしい。




ミラーボールの眩い光が会場を包み込んだ後は、まさしく怒濤。次々に繰り出されるアッパーチューンがBLOODSUCKERSの血を沸き立たせる。本編ラストの「MIDNIGHT CELEBRATION」ではその熱量が暴走し、K.A.Zのギター回しの際に、愛器が宙を舞ってステージに叩きつけられる場面も。しかし、このトラブルもBLOODSUCKERSの心に灯る火に油を注ぐ要因となって、燃えさかるようなステージ本編が狂乱のうちに幕を閉じた。

たっぷりと口に含んだ水を吹き上げるHYDE、ペットボトルの水をまき散らすK.A.Zに狂喜するBLOODSUCKERS。アンコールはファンとの至近距離を楽しむようにスタートした。毎回のように選曲も序列も変わるアンコールだがラストはこのツアー鉄板の「SEX BLOOD ROCK N’ ROLL」だ。「クレイジーなやつ、呼んでいいかな?」とNothing Moreがステージに招かれ、ジョニーのパーカッションキットがステージに運び込まれた。K.A.Zとマークが向かい合ってリフを刻み、HYDEとジョニーはパーカッションを叩く。灼熱のアンコールを終えると、メンバーたちは笑みを浮かべながら大阪5日目の夜を大盛況のうちに終了した。


そして、この翌日は<VAMPS LIVE 2015-2016 JOINT 666>大阪公演最終日であり、VAMPSにとっては2015年最後のステージとなる。前夜同様、Nothing Moreは驚きのステージを繰り広げたが、この夜はさらに上をいくサプライズがあったことを付け加えておきたい。「Bass Solo」ではVAMPSのサポートベースJu-kenが呼び込まれ、1本のベースを4人で連弾するというアメージングなセッションが。また、アンコールのMCではVAMPSの2015年を月ごとにK.A.Zが振り返る場面もあった。

「2015年はたくさんツアーを行なったんだけど、トータルで75本やってるんですね。日本が41本、海外が34本。これだけのライヴができたのも本当にみなさんのおかげです。本当に応援してくれて、ありがとうございます。じゃあ、良いお年を(笑)」──K.A.Z

「去年、アルバム『BLOODSUCKERS』をリリースして、1年以上かけて世界中を廻ったんですね。振り返ってみれば、思ったよりもたくさんやったなという印象もあるかな。最近はすぐに次の作品に移っちゃったり、ツアーも少ししかやらないバンドが多いけど。せっかく作ったアルバムだし、僕らは最低でも1年はかけて、いろいろな国に持っていきたいと思っていたので。今までで一番夢が叶ったアルバムなんじゃないかなと思います。K.A.Zくんも言ってたけど、みんながいないと世界を廻れないんでね。ありがとう。オレたちの夢というか、これはみんなの夢だよね。もともといいアルバムなんだけど、みんながさらにカッコよくしてくれたと感じています。来年は新しい方向に目を向けて、新しい曲を作ったり、また新しいVAMPSを見せていけたらいいなと思うので、ついてきてください」──HYDE

VAMPSの次なる公演は2016年1月のZEPP NAGOYA 6DAYSだ。その後は追加公演としてZEPP FUKUOKA 3DAYS、ZEPP SAPPORO 3DAYSのワンマン公演が行われる。果たしてそこではどんな場面が観られることになるのか。新しいVAMPSに思いを馳せながら、次のライヴを心待ちにしたい。

取材・文◎梶原靖夫(BARKS)
撮影◎田中和子

■<VAMPS LIVE 2015-2016 JOINT 666>
12月12日@なんばHATCHセットリスト

【Nothing More】
01.Christ Copyright
02.Mr. MTV
03.First Punch
04.The Matthew Effect
05.Bass Solo
06.Jenny
07.Ocean Floor
08.This Is the Time
09.Salem
【VAMPS】
01.EVIL
02.LIPS
03.MADE IN HEAVEN
04.SWEET VANILLA
05.JESUS CHRIST
06.VAMPIRE'S LOVE
07.FAITH
08.ZERO
09.AHEAD
10.BLOODSUCKERS
11.MIDNIGHT CELEBRATION
ENCORE
12.THE JOLLY ROGER
13.SIN IN JUSTICE
14.DEVIL SIDE
15.SEX BLOOD ROCK N’ ROLL


■<VAMPS LIVE 2015-2016 JOINT 666>

【東京 ZEPP TOKYO】
2015年11月12日(木) MY FIRST STORY
2015年11月13日(金) MONORAL
2015年11月15日(日) ASH DA HERO
2015年11月16日(月) HIM
2015年11月18日(水) HIM
2015年11月19日(木) HIM
(問)ディスクガレージ 050-5533-0888
【大阪 なんばHATCH】
2015年12月05日(土) ASH DA HERO
2015年12月06日(日) Derailers
2015年12月09日(水) KNOCK OUT MONKEY
2015年12月10日(木) KNOCK OUT MONKEY
2015年12月12日(土) Nothing More
2015年12月13日(日) Nothing More
(問)キョードーインフォメーション 0570-200-888
【名古屋 ZEPP NAGOYA】
2016年01月09日(土) Nothing’s Carved In Stone
2016年01月10日(日) ROTTENGRAFFTY
2016年01月13日(水) Apocalyptica
2016年01月14日(木) Apocalyptica
2016年01月16日(土) Apocalyptica
2016年01月17日(日) Apocalyptica
(問)サンデーフォークプロモーション 052-320-9100
追加公演【福岡 ZEPP FUKUOKA】
2016年01月21日(木)
2016年01月23日(土)
2016年01月24日(日)
(問)キョードー西日本 092-714-0159
追加公演【札幌 ZEPP SAPPORO】
2016年01月28日(木)
2016年01月30日(土)
2016年01月31日(日)
(問)マウントアライブ 011-623-5555
OPEN 18:00 / START 19:06 (平日)
OPEN 16:00 / START 17:06 (土日)
前売り 6,660円(税別)

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