【インタビュー】Derailers、「異なるベースサウンドの歴史が、VAMPSにはある」

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■Derailersにシーケンスは一番必要ないもの
■VAMPSと一番対照的なのはその部分ですね──Ju-ken

──その違いはバンドサウンドの違いにも表れているということでしょうか?

Ju-ken:まず、Derailersはシーケンスを使わないんです。始動当初は使っていたんですけど、2015年6月に開催した全国ツアー<A.R.T -Art Revolution Tour 2015->を経て、“生にこだわろう”という方向になりました。というもの、レゲエDJのときのRueedは久しぶりに会ったターンテーブルと、急にセッションを始めたりするわけじゃないですか。どこで何があっても対応できるスキルがある。Derailersもそうじゃないといけないなと思って。だから、ステージではRueedの発する声ひとつでバンドサウンドが止まったり進んだり、落としたり上げたりできる自由度があるんです。語弊があるかもしれないですけど、チームとして軍隊なみの統制がとれたものにしたいと自分は思っていて。それをするのであれば、シーケンスは一番必要ないもの。VAMPSと一番対照的なのはその部分ですね。

▲Derailers<A.R.T -Art Revolution Tour 2015->

──6月に行なった全14本の全国ツアーはDerailersにいい刺激をもたらしたようですね。

Ishigaki:ドラムとキーボードはサポートですけど、ずっと一緒にやっているメンバーなので、ステージを重ねれば重ねるほどまとまりもよくなっていくから。Ju-kenが言った“対応力”という意味では、毎回のステージも決まり事があるようで実はないんですよ。だから、スリリング。まず単純に自分たちが、やってて面白いんです。作り込んだエンターテイメントではないし、かといってオーディエンスを無視しているわけでもない。ステージは自分たちが音を楽しむところにテーマがあって、そこへ向かっているから、どんなに散らかっても最終的には、“でもさ”って着地点に到達できるんです。

──ギタリストとしての主張的な部分は?

Ishigaki:俺の中でDerailersのギターの優先順位は、どちらかと言えば低い。まずローの感じというか、歌のメロディとそこに絡むベースラインが気持ちいいこと。ギターと鍵盤は上モノとしてそこに散りばめられることができればと思っているんですね。曲が呼んでる何かに対して反応するというか、ギターはあるべき場所に音があればいい。そういう部分はツアーを通して実感したことですね。ヴォーカルのRueedが前へ出ていくなかで、ギターは土台としてしっかりしつつ、猫背になって肩身狭く頑張ろうかなと思います(笑)。

Ju-ken:Ishigakiは身体がデカイから(笑)。

Ishigaki:目立ちすぎないように(笑)。

──ははは。そのバンドの顔であるRueedさんが6月のライヴツアーで掴んだものとは?

Rueed:場数を踏むことによってバンドのグルーヴが高まったことはもちろんですけど、個人的な変化としては少し肝が据わったんじゃないかなと(笑)。やっぱり、ライヴハウス育ちではないので、だからこそ新鮮に楽しめたと思います。

──ソロレゲエアーティストのRueedの主戦場はクラブですが、Derailersのヴォーカリストとしてはライヴハウスが中心になるわけで、だからこそ新鮮だという?

Rueed:そうですね。暗黙のルールだったりマナーだったりは、クラブとライヴハウスでは全然違うので、けっこうカルチャーショックでしたね(笑)。たとえばライヴハウスのお客さんってアーティストがステージに出てきても写真を撮ったりしないじゃないですか。撮った人がいたとしても、周りのお客さんが白い目で見るみたいな。ところがクラブのお客さんは出てきた瞬間にバチバチ撮って、次の瞬間にはもうInstagramに上がってる(笑)。楽屋から出たら「一緒に写真撮ってよ!」って肩組んでくるみたいな(笑)。

──いきなりフレンドリーですね(笑)。

Rueed:距離感が近いんです(笑)。

Ishigaki:僕も、レゲエアーティストとかのサポートもしているからクラブには行くんですけど、ライヴハウスのマナーのつもりでいるとビックリしますよ(笑)。基本、生バンドってあんまりいないから、音の出し方は手の強弱じゃなくて音量の大小だし、一番衝撃的だったのはプロップ。ターンテーブルで曲を戻してまた最初からやるみたいな崩し方ですよね。そういうことは生バンドの手法にはないじゃないですか。

──クラブとライブハウスを行き来しているからこそ、Derailersらしい新たな方法論もこの先に生まれそうですか?

Ishigaki:やっててワクワクしてますからね。普通にロックバンドをやってたら味わえない部分だし、さっき言った“スリリング”というところにも合致しますよね。始動当初は、クラブとライブハウスを行き交うようなここまでのカタチは想定していなかったんですけど、バンド名のごとく良い意味で脱線(=Derailer)してきているという(笑)。間違いなくやりたい感じに近づいている。

──とはいえ、みなさん超売れっ子ミュージシャンであるわけで、12月4日のDerailers主宰イベント<Level the Vibes>の前後にJu-kenさんはVAMPSの予定がビッチリ詰まっていたりなど、かなり過密スケジュールですよね。それぞれがそれぞれの別プロジェクトを抱えながらDerailersとしての活動を行なっているわけですが、そのバイタリティの源は?

Ju-ken:自分たちのいきたいところがはっきりと見えているので、そこにどう近づけるかという楽しみが大きい。やっぱり先が見えなかったり、足踏み状態だったら意気消沈していくと思うんですけど、この3人のなかで、こういう世界を作りたいとか、こういう楽曲にしたいっていうのが明確なんですよ。

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