【インタビュー】OLDCODEX、“成長痛”にとことん向き合った最新シングル「Aching Horns」

ポスト

OLDCODEXが『映画 ハイ☆スピード! Free! Starting Days-』の主題歌に起用された12thシングル「Aching Horns」を2015年12月16日にリリースした。2016年2月10、11日に1年ぶりに日本武道館のステージ(今回は2デイズ)に立つ彼らの勢いは加速する一方だ。(※日本武道館公演のチケットは2016年1月16日(土)AM10:00より一般発売開始となる)

◆OLDCODEX 画像

“ある意味、今も思春期と同じようにいつも壁にぶち当たっている”と語るヴォーカリスト、Ta_2とペインター、YORKE.のむき出しの熱さや痛みは、ジャンルという壁もぶち抜いていくはず。昨年は<OZZFEST JAPAN 2015>にも初出演。台湾での初の海外単独公演も決定し、ワールドワイドな展開も期待されている2人に新作を中心に話を聞いたロングインタビューをお届けする。

■この曲はすげえ難産でしたね。1人でブースの中に籠って…(Ta_2)
■もう背は伸びないけど、今もそれに近いことっていっぱいあるなって思った。今も思春期だよ、みたいな(笑)。(YORKE.)



▲「Aching Horns」初回限定盤

──『映画 ハイ☆スピード! Free! Starting Days-』の主題歌でもある「Aching Horns」は水や空の“青”が思い浮かぶような透明感のあるAメロから始まって加速していく疾走感が心地いい。やりきれなさや胸を焦がす熱さ、切なさが入り混ざった曲だなと感じました。

Ta_2:まず、どういう曲にしようと考えたときにいちばん最初に浮かんだキーワードが“架け橋”という言葉だったんです。架け橋として何かを渡したい、何かを繋ぐものでありたいと思うと同時にそこにちゃんと自分自身の欲求も入れたいと思って、自分の欲って何だろう? と考えたときに、願いに近いものなのかもしれないって思ったんですね。

──欲=願いだったと。

Ta_2:そう。架け橋と願いを大事にして作ったんですけど、この曲はすげえ難産でしたね。何度も何度も作り直して、ディレクターに「出来たら行くから」って1人でブースの中に籠って自分と向き合っていた時にメロディが出てきたんです。曲に乗る言葉を考えながら、メロが生まれていった。なぜかはわからないんだけど。

──歌詞を何となくイメージしていたんですね。

Ta_2:で、YORKE.の詞がついて完成したものを聴いたときに、「俺が作りたかったものって、こういうことだったんだな」って初めて思った。いつもいつも戦ったり、ときには反抗してきたりしたけど、なぜかっていったらまだ自分自身が弱いからなんだろうなと思った。だからこそ、強くなりたいと思うし、現状を打破しようとするんだろうなって。今の自分を思いきり吐き出せた曲だし、完成した後の発見もあった曲ですね。

──「Aching Horns」にはTa_2くんの“今”も投影されている。

Ta_2:そう。だから、どんな歌詞がくるのかワクワクしながら、YORKE.に「曲、出来たよ!」って渡したし。


▲「Aching Horns」アニメ盤

YORKE.:最初は曲がなかなか出来てこなかったので、内心、「まだかなー」と思いつつも、あまり、急かせることもなく──。実際、アニメ盤のジャケットの背景はTa_2からの“架け橋”というキーワードだけを受け取って描いたんだよね。そこからスタートして曲が出来た後のジャケットの絵は全然形を変えたけど、時間がかかった分、また違う深みが増した感じかな。歌詞に関して言えば、映画が中学生が主人公のストーリーだから当時のことを思い出して、その頃ってフィジカルはどんどん成長していくけど、心が追いつかないことが多いなぁって。

──確かに。じゃあ、思春期の頃を振り返って?

YORKE.:そう。でも考えてみたら、もう背は伸びないけど、今もそれに近いことっていっぱいあるなって思った。今も思春期だよ、みたいな(笑)。あの頃のことを忘れてないっていうのもあるし、ただ同時にもう20年ぐらい前のことだから、傷ついた思い出も美化してる気がするんだ。 だから、この歌詞で言いたかったのは今、自分がぶち当たっている壁との向き合い方のことなんだけど、それって内容は違っても14~5才の頃と変わらないんじゃないかなって。今の自分の感情に嘘をつかずに書くことが『映画 ハイ☆スピード! Free! Starting Days-』の世界観に絶対に通じると思ったし、OLDCODEXのメッセージとしても強く響くと思ってた。そういう意味では答え合わせしていったような感覚だよ。

──話を聞いていると、2人とも見ていたところが似ているからこの曲と歌詞のマッチングが生まれたんだなと。

YORKE.:もちろん、Ta_2の書いた曲にそういうフィーリングを感じたから、こういう歌詞になったっていうのもあるしね。


▲「Aching Horns」通常盤

──それと「Aching Horns」っていうタイトルが気になるんですよね。何か深い意味があるのかなと。

YORKE.:“Aching”は“痛む”とか“疼く”っていう意味なんだけど、それはさっき言ったフィジカルの問題で、俺は中学生のときに背がバーンと伸びた時期があったんだけど、そういうときって膝とか痛くなるじゃないですか。

──成長痛っていうヤツですね。

YORKE.:そう、そう。でも、心が痛くなるのはもっと後だったりして、身体と心がすごくチグハグな感じがしてたのね。そんなことを思ってたら、ふと動物も角が生えるときって、すげえ痛いんじゃないかなって想像に発展していって、動物図鑑とか見て“バッファローってやっぱり小さい頃は角が短いんだ”って(笑)。そしたら、だんだん、“Horn=角”が自分の中にもあるように思えてきちゃったんだよね。それがもしかしたら人の骨に当たるのかもしれないとか。そんなこと考えてたら「Aching Horns」ってタイトルになった。「変な言葉だな」って自分でも思ったんだけど、何かしっくりきちゃって(笑)。

──成長する過程で感じる痛みみたいな。この曲、2人のヴォーカルが重なっていくセクションが広がりと迫力がありますね。

Ta_2:その部分は人間の建前と本音を両方、表現してみたかった。包みこむような伸びやかな歌の中に“本当はこうしたいんだ!”っていう願いにも似た叫びをかぶせていくというか。

YORKE.:Ta_2が伸びやかに歌って、俺が叫んで、そのあとに来るサビがそこから突き抜けた表現になっているのがライヴでも気持ちいいし、好きなんだよね。


──「Aching Horns」のMVはモノトーンが基調で、クールでシリアスな映像になっていますよね。カオスだった巨大な絵が完成した瞬間のシーンも衝撃的だった。

YORKE.:MVは監督と制作のプロデューサーと打ち合わせして「どういうことやりたい?」って聞かれて。

Ta_2:俺は曲に合うなと思ったから、シルエットが重なるような映像にしたいって。

YORKE.:俺はシンプルに絵を描きたいって言ったんだけど、あんなにキャンバスがデカいと思わなくて、まず、サイズに圧倒されたよ。撮影時間内に終わるのかな?って。(笑)「創ることに集中するから好きに撮って」って言って3時間カメラ回しっぱなしとかね。結局、2日に分けて撮影したんだけど、MVであそこまで集中して描いたのは初めてだったかもしれない。撮られながら描いていくのって、ある意味、人前で全てを晒け出すようなものなんだよね。監督もすごく燃えていて、気づいたらカメラが顔のそばまで来てて「近いよ~」って(笑)。人間の本能むき出しの領域まで突っ込んできたMVだった。Ta_2が歌っているところもそんな感じじゃない?

Ta_2:入りこんで撮ってたなぁって。しっかりYORKE.の絵を背負って歌うのも久しぶりの感覚だった。

YORKE.:(ジェスチャーで)あのときの両腕で表現するパフォーマンスがカッコよかった。

◆インタビュー(2)へ
この記事をポスト

この記事の関連情報