【インタビュー】中田裕二、AL『LIBERTY』発売「ようやくこれから、ひとりのシンガーソングライターとして作品を作っていける」

■「この人、この先どうなっちゃうんだろう？」って
■一瞬わからなくなるような作品にしたかった

── 僕はアルバム『LIBERTY』を聴いて、それこそホール＆オーツが80年代に発表したアルバム『H2O』『フロム・A・トゥ・ONE』『ビッグ・バン・ブーム』の音であったり、スティングの『ブルー・タートルの夢』『ナッシング・ライク・ザ・サン』であったり、そういう当時の洋楽のカッコ良かったサウンドを国内の先人たちのように自己解釈して再構築し、さらに80年代の歌謡曲にあった大人目線の歌詞を乗せた、懐かしいけど新しいものという印象を受けました。

中田：ありがとうございます。今は世界的にはこういう音がキテるなと思っていて。ファレル・ウィリアムスの「ハッピー」もそうだと思うし、ブルーノ・マーズが歌ってるマーク・ロンソンの「アップタウン・ファンク」なんか、モロにプリンスですしね。それって昔のサウンドが再流行してるわけじゃなくて、あの時代の表現が単純にカッコいいってだけだと思うんです。それに歌い方も今って熱唱系なんですよね、外国の流行ってる人たちって。サム・スミスとか。そういう意味では、日本ってすごく遅れてるなと思ってるんですよ。熱唱するのがカッコ悪いみたいな風潮を感じる。それに対してはすごく違和感をおぼえていたんですけど、そのギャップから生じるストレスが今作へのモチベーションのひとつになっていたりするんですよね。

── 例えば、このアルバムの楽曲を若い人たちがたくさん集まるロックフェスでぜひ鳴らしてほしいですね。

中田：若い人には違和感を与えたいですね、「えっ、ノリづらい！」みたいな（笑）。やっぱりフェスに行くと見慣れた風景の連続じゃないですか。そこでの僕の役割は、そういった画一化されてる景色を変えることだと思っているんです。こういう価値もあるんだぜ、っていうのを常に提示していかなきゃいけない仕事というか。まあそういう違和感を出すからフェスにあまり呼ばれないのかもしれないんですけど（笑）。そこは前向きにやっていこうと思います。

── 最後になりましたが、アルバムタイトル『LIBERTY』に込めた思いについて聞かせてください。

▲アルバム『LIBERTY』通常盤

中田：“LIBERTY”は“自由”って意味なんですけど、“FREEDOM”の意味する“自由”とはまたちょっと違っていて。“FREEDOM”は自然発生的にいきなり自由があるっていう状態だと思うんですけど、“LIBERTY”はいろんな制約を乗り越えて生まれる自由というか。自分がロックバンド出身というところで、ロックというものに縛られちゃう時期もありましたし、ソロになってからもいろんな方向に手を出した。でも経験を重ねていく中で、自分に似合うもの、似合わないものもわかってきましたし、そういうことを経た上でようやく今回は自由に絵筆を走らせることができた。そういう意味での“LIBERTY”ですね。ようやくこれからは、ひとりのシンガーソングライターとして作品が作っていけると、そういう意味が込められてます。

── ここを起点にさらに進化していくと。となると、次の作品ではどうなっているんでしょうね？

中田：まさにそういう気持ちにさせたくて（笑）。「この人、この先どうなっちゃうんだろう？」っていうのが一瞬わかんなくなるような作品にしたかったんです。

── じゃあ僕は中田さんの術中に、まんまとはまってしまったわけですね（笑）。

中田：ふふふ（笑）。『BACK TO MELLOW』ぐらいからようやく形になりつつありましたけど、ここからは本当に自分らしくやっていける気がしています。

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