【インタビュー】トゥライ、デビューアルバムは「まさかやると思ってなかった冒険の始まり」

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■悪いものでも受け入れなければいけないし
■もっと明るい光が出てくるのかもしれない

──歌詞やメロディーを伝えたかったからこそ、楽器を重ねすぎないようにしたというお話がありましたが、アレンジもこれまでと違いますか?

トゥライ:今回は数曲を除いてコーラスが少ないと思います。メインヴォーカル1本でいいんじゃないかぐらいの気持ちでレコーディングしていたので、ハモりも下だけ入っていたり、少なめにしているのは変化だと思います。

──今までトゥライさんを聴いてきた人にとっても発見の多いアルバムですね。ボーナストラックにVOCALOID楽曲「magnet-repeat over again-」のセルフカバーを収録したことにも特別な想いがあるんですか?

トゥライ:ええ。この曲をキッカケにいろいろなお仕事をいただいたり、出会いも広がったので、良くも悪くもこの曲には振り回されたんですね。広がったからこそ、いいこともあった。この曲がなかったら出会えなかった人、できなかったことがあったし、この曲があったから逆にできなくなったこと、臆病になってしまったこともあって。1度、ここでケジメというか区切りをつけるという意味で入れたかった曲です。

──リクエストがあったというよりは自身の区切り?

トゥライ:もともとアルバムを出すことは事前にアナウンスしていなかったのでリクエストはなかったんですが、5年ぐらい前に歌ったこの曲の動画があるので、もう1回歌い直してCD化することに関してはもしかしたら望まれているかなっていう気持ちも含みつつの区切りですね。

──ラテンテイストの華やかな曲で、アルバムのオリジナル曲とは温度感が違いますものね。

トゥライ:そうですね。アルバムの中に組み込むのは毛色が違うし、歌詞もキャラクターソングみたいなところがあるのでボーナストラックにしました。自分が書いた曲ではあるんですが、原曲の「magnet」はフィクションに近いので。

──フィクションとノンフィクションぐらいの違いがあるわけですね。今後の活動については、VALSHEさんがツアー最終日にViCTiM(VALSHEとminatoの新ユニット)の始動を発表しましたが、トゥライとminatoと両立していくんでしょうか?

トゥライ:ViCTiMでは今、絶賛計画中で「こんなことをできたらいいね」、「あんなこともやってみたいね」って考えながら曲を作っている最中です。2016年の初めから少しずつ動き出すと思うんですが、トゥライとしての活動については今はあまり考えてなくて、やりたいと思うタイミングでできたらいいなって。『ブラックボックス』でヘヴィなものをさんざん吐き出してしまったので(笑)。

──『ブラックボックス』リリースはある種の衝動的なもので、イレギュラーなものなんでしょうか?

トゥライ:いや。せっかく、こういう形で出したからには、これからもやりたい気持ちはあるんです。けど正直、まだ先のことを考える余裕はなくて、とにかく吐き出してから考えようって。

──逆にアルバムを出したことで深まる謎もあると思うんですよ。音楽的には、先ほど話があったように1990年代のJ-POPを彷彿とさせるメロディと緻密なアレンジがありつつ、ジャンル的なアプローチの方向性は多彩ですよね。どの部分がトゥライの本質で、どの部分がminatoカラーなんだろう?とか。っていうか、そもそもこれが全てではなく一面だろうな?とか。

トゥライ:そうですね。全てではないですね。いくつもある面の中のいちばん黒い部分をドーンと出したというか(笑)。

──そのドロッとした部分をここで出せたことによる晴れやかさもありますか?

トゥライ:ええ。そういう部分を全部見せたことによって、ここから新しい可能性が広がっていくのかなっていう期待もあります。『ブラックボックス』というタイトルがまさにそうで、何が入っているかわからない。けど、悪いものでも受け入れなければいけないし、もっと明るい光が出てくるのかもしれない。それはまさしく自分の今の状況を表すものでもあって。とにかく“やってみないとわからない”というのがテーマだったので、これは自分でも、まさかやると思わなかったという冒険の始まりなんです。

取材・文◎山本弘子




■メジャーデビューアルバム『ブラックボックス』

11月11日(水)リリース
【初回限定盤 CD+DVD】JBCZ-9021 3,500円(税込)
<特典DVD>
・「ブラックボックス」MUSIC VIDEO
・ メイキング
【通常盤 CDのみ】JBCZ-9022 2,800円(税込)
<共通楽曲>※曲順予定
01.ブラックボックス
02.求めた忘却
03.全心麻酔
04.ハルノハテ(VALSHE楽曲セルフカバー)
05.アリ(Gero楽曲セルフカバー)
06.パンドラ
07.数センチの隙間
08.チョコレート・ホリック(りぶ楽曲セルフカバー)
09.スプーンと波紋
10.もうひとりの僕へ
11.magnet-repeat over agein-(VOCALOID楽曲セルフカバー)

◆トゥライ オフィシャルサイト
◆トゥライ オフィシャルTwitter

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