【インタビュー】SCANDAL、ドキュメンタリー映画公開「装飾はもういらない」

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■もっと自由であるべきだなと思って
■最近のライブでは解放的にプレイするようになりました──TOMOMI

──ワールドツアーでは、人間関係の面だけでなく、音楽的にも得るものもたくさんあったかと思います。プレイ面では、どのような収穫がありましたか?

TOMOMI:すごく細かい話になりますが、今まではずっとライブ中、演奏に対してリズムを“オン(拍の頭に対してジャスト)”で取っていたんです。でもワールドツアーを廻ると、国ごとにお客さんのリズムの取り方が全然違っていて、その反応に対して瞬時に出てくる自分の返しが、全然“オン”ではないことに気付いたんです。つまり、感情が高ぶる瞬間って、必ずしもリズムに対して一定じゃないんだなっていうことが分かって、日本に帰ってきてからも、プレイとしてはちゃんとリズムを取るんですけど、パフォーマンスという面では、あまり“オン”を意識しないようにしようと思いました。

──リズムそのものは正確にプレイしながら、もっとノリを出すイメージ?

TOMOMI:ずっと“オン”でリズムを取っていると、同じことの繰り返しというか、決まりごとのように思えてしまって。“こうしよう”と決めてやっているわけではないんですけど、もっと自由であるべきだなと思って、最近のライブでは、いい意味でリラックスして、解放的にプレイするようになりました。

──TOMOMIさんと同じリズム隊として、RINAさんはいかがでしたか?

RINA:ドラマーとしては、すごくシンプルに“上手くなりたい”と思いましたね。もちろん、キャリアも無いわけではありませんから、自分が下手だとは思っていないんですけど、ちゃんと上手いドラム叩きたいなと、このワールドツアーですごく思ったんです。この数年は、プレイを派手に見せたいとか、わりとそういったことを優先させてやってきたんですけど、“いい音を聴かせたい”と強く思うように変わりましたし、海外では、そこを強く意識しながらプレイしていました。

──既に十分なスキルとテクニックを持っているRINAさんが、さらに“上手くなりたい”と思う、何か具体的なきっかけがあったのですか?

RINA:ありましたね。それは日本でDREAMS COME TRUEとライブをご一緒した時のことで。バックバンドがFUZZY CONTROLだったんですけど、順番的に、自分が叩いた後にSATOKOさんが叩くんですね。その時に、“叩くのが嫌だな”って思ったんですよ。それってやっぱり、自分に欠けている部分や劣っている部分を感じていたというか、リハでSATOKOさんのプレイを聴いてビビッてしまったからだと思ったんです。だから、バンド歴や経験値は持っているけど、誰と一緒にやっても、胸を張って“大丈夫!”って思える技術を身につけたいって、すごく思ったんです。特に海外でのライブって、自分の物ではないドラムセットで叩かないといけないじゃないですか。メーカーやサイズも違うし、コンディションも違うし、年代やヘッドも違ったりと、場所ごとに楽器がバラバラなんですけど、どういう楽器が用意されていても、ちゃんと自分のグルーヴが出せる、どんな状況でも平気だっていうドラマーでいたいと思いました。

──確かに海外公演では、普段とは違う楽器やシステムで演奏しないといけない場面は多いですし、トラブルも付き物ですよね。今回の映画の中でも、シカゴで会場入りしたら、まだ設営が終わっていなかったという場面があったり。

MAMI:海外では、結構よくありますね。初めてアメリカを廻った<SXSW>の対バンツアーでも、そういうことはザラでした(笑)。さすがに、“えっ、どうしよう?”とは思いますけど、同行しているスタッフの対応力もすごいですし、会場入りして何かしらトラブルが起こっても、もう別に動揺したりとかはなくなりました(笑)。開演時間をどうしようとか、スケジュール面で考えることはありますけどね。

RINA:大概のことは、もう大丈夫やんな? 以前、ジャカルタでワンマン公演をした時、前売りチケットが半分くらいしか売れてなかったんですよ。かなり広い会場だったので、「大丈夫なの?」って心配したんですけど、でも仕方ないので、“やるしかない”と思って会場入りしたら、当日券が2,000枚くらい売れていて。後で聞いたら、ジャカルタって当日券文化らしいんですよ。ちゃんとアーティストが来たのを確認してから、当日券で並ぶっていう。そういう文化の違いでハラハラすることもありました。だって日本だと、当日券がそのくらい売れるって考えられないじゃないですか。そういう経験をたくさんしてきたので、もう今は何があってもほぼ平気です(笑)。

──ははは。一方で、ロックの本場でギターを弾いて、反応はいかがでしたか?

MAMI:ソロでの盛り上がりがすごかったですね。もちろん日本でも、ソロを弾くと“キタ!”って会場が湧いてくれるんですけど、盛り上がりどころが違うというか、ソロの中のワンフレーズであったり、すごく細かいプレイで“ここで湧くの?”とか“このフレーズで盛り上がるんだ”っていう発見は、メチャクチャたくさんありました。ソロを、ただ曲の中にあるメロディとして聴いているわけではなくて、ソロの中でも、ちゃんとワンフレーズを感じてくれているんだなと思いました。

RINA:やっぱり、“あのテクニック、キターッ!”ってなるんかな?

MAMI:じゃないかな? 普通の分かりやすいソロとかじゃないところで盛り上がったりするからね。それが、すごい不思議でした。“えっ、このスライドで!?”みたいな。ビックリしました(笑)。

RINA:客席からメッチャ見られとったよね(笑)。

HARUNA:結構、年配のお客さんとかが、MAMIのギターに釘づけなんですよ(笑)。

MAMI:ライブ後、映像チームがお客さんにインタビューしに行くと、「もっとソロを弾いた方がいい」とか、「いや、これで十分カッコいいんだ」とか言ってくれたりしてて(笑)。私も、RINAが言っていたみたいに、純粋にもっと上手くなりたいと思いました。RINAとも「上手くないとダメだよね」っていう話をずっとしていて。本当にスキルを磨いて、プレイに関しても、自分の好き嫌いをなくさなきゃいけないなと実感しましたね。音色面では、かなりいろんな音を好きになってきたんですよ。ギターを始めた頃は、歪んでないと嫌だったんですけど(笑)。だから、音色だけじゃなく、“ああいうテクニックもできたらいいな”と思うようになりましたし、まだまだプレイを磨かなきゃいけないなと感じました。

RINA:9年目にして、バンドキッズのような心を持ったよね。本当に上手くなりたいんですよ。今が一番、練習していますもん。これまでで一番、ドラムが好きなんです。

MAMI:できないことが、できるようになる楽しさ、それを今、改めて感じています。やっぱり、いろんなプレイができるほうがいいし、いい音楽を作りたいし、それをお客さんと一緒に楽しみたい。だから、苦手意識とか固定概念といった根本的な部分をちょっとずつ直していきたいなと感じています。

RINA:音楽的な部分だと、どの国でもポップロックというか、分かりやすく、カッコいい曲がウケていたなっていう印象でした。海外では、先ほども話が出ましたけど、「Departure」がズバ抜けてウケがよくて。それは海外特有な感じではありましたけど、盛り上る曲、人気のある曲は、日本とそんなに大きくは変わらないかなとも感じたんです。アルバムの曲で言うなら、「Image」だったり、「お願いナビゲーション」だったり、“盛り上がって欲しい”と思って書いた曲で、ちゃんと盛り上がってくれたので。自分たちの想いとリンクして、お客さんが動いてくれたことで、“間違ってなかったんだ”と自信が持てましたね。

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