【インタビュー】SCANDAL、ドキュメンタリー映画公開「装飾はもういらない」
■客観的に見て、自分に対して思うことはたくさんありましたよ
■もうちょっと上手く伝えられている気がしてたんだけどって(笑)──MAMI
──本当に実りの多いワールドツアーだったようですね。そのワールドツアーに完全密着したドキュメンタリー映画『SCANDAL“Documentary film「HELLO WORLD」”』が、10月17日から公開されますが、みなさんはこの映画、もう客観的に見られるようになりましたか? それとも、まだリアルな感覚なのでしょうか?
HARUNA:もう、客観的に見られますね。
RINA:編集にも携わりながら、「このシーンは、入れるのか、否か?」みたいなことも、スタッフやメンバーと話し合いつつ、作り上げていきましたから。
──映画の編集自体にも、メンバーのみなさんは積極的に関わっているんですね。
RINA:そうなんです。その時は、結構しんどいシーンもあったりしたんですけど、「本気でバンドをやっていたら、いろんなことがあるのは自然なことだよね」と4人で話して、カッコつけずに、そのままを、全部を見せようということになって。そういった“覚悟”を決めた映画なので、きちんとした形に残せてよかったなって、今は本当に思っています。メキシコで起こった出来事が、一番刺激が強いものだと思うんですけど。
──RINAさんが涙するシーンですね。
RINA:はい。ああいう問題を解決せずに、9年間、ずっとバンドを続けてきたような気がして。そういう意味では、ちゃんとぶつかり合ったことがなかったんですよね。映画を編集しているうちに、それに気が付いて、「一度落ち着いた状態で、解決するまで4人で話そう」と言って。編集中に4人で、ご飯食べながらずっと話したんですよ。その時、私は「このシーンは入れたくない」って頑なに拒んでいたんですけど、メンバーの話を聞いて、理解できる部分もたくさんあって。それで、もう守りに入らずに入れようということになって。もう、こういったことを繰り返さないように、この事実をきちんと印(しるし)として残しておこうと、敢えてあのシーンを入れました。でもこうして、いろんなことを4人で話し合えたことで、すごく腑に落ちたというか、自分も納得してあの場面を映画に入れられたし、ものすごく心が軽くなったんです。9年間、どこか引っかかっていたものが、ちょっとほどけたような感覚になりました。
──そういった4人の関係性って、バンドならではですよね。家族とも、恋人とも、友達とも違う、バンドだからこその絆というか。
HARUNA:確かに、唯一無二な気がします。“ドキュメンタリー”という言葉が相応しい、本当に私たちそのままの映画になったなと思いますね。
──ワールドツアーの記録映像ということ以上に、今後のSCANDALにとっても、すごく大切な作品となったわけですね。
HARUNA:そうですね。あのシーンも、ツアーを廻るうえであの時に一度は解決していたんですよ。でもやっぱり、それを客観的に見直して、来年結成10年目を迎えるにあたって、これから自分たちはどういう風に音楽をやっていくのかという問題に改めて直面したような気がして。なので、もう一度、やっぱり4人でとことん話しておこうっていうことになったんです。
RINA:やっぱり4人とも、メンバーのことが大事ですから、だからこそ我慢をしたり、気を遣い過ぎてしまうところが、それぞれにあるんだなって思いました。たとえば、あの言い方はよくないけど、でも言っている意味はすごく分かるから、我慢して自分の中で解決しようとか、そういう小さなことが度々あった気がして。そういった我慢とかを一度やめてみようっていう点は、このワールドツアーを経て、変わったところですね。
──24時間、行動を共にするワールドツアーだからこそ気づく点かもしれませんね。
RINA:国内ツアーだと、自分のおうちに帰れるから、そこでリセットできたりするんですよ。でもワールドツアーって、ずっと一緒に生活しながら、その中にライブがあってという暮らしなので。
HARUNA:リセットするタイミングも、それぞれ違ったりするんです。やっぱり1ヶ月間、衣食住を共にする中で、ちょっとした生活面でのズレみたいなところから、ストレスにつながっていってしまうような気がしましたね。
──MAMIさんは、映画を見て、何か発見や気が付いたことなどはありましたか?
MAMI:私は、そのシーンであったり、自分が喋っていることであったり、態度だったり、こんなキツイ言い方をしていたんだなって、改めて気がついて。それは、RINAやHARUNAも言ってくれたみたいに、相手に対して気を遣い過ぎて、結果、ものすごく遠回しな言い方をしてしまっていたからなんです。だから、何であそこで言いたいことをストレートに言わなかったんだろうと思って。そのひと言をその場で言っていたら、きっとスパッと解決していたのに、気を遣い過ぎたことで、巡り巡って爆発してしまったという面もあったんだなと思ったし。そういったシーンを客観的に見て、自分に対して思うことはたくさんありましたよ。もうちょっと上手く伝えられている気がしてたんだけどなぁ、って(笑)。それはもちろん、メンバーに対してだけに限らず。だから、喋る時はまず頭で考えて、どう言ったら一番言いたいことが伝わるか、言葉を選ぶようにしなきゃと思いました。でも、こういったことも、あのシーンを映像化しなかったら……。
RINA:うん。きっとそのままやったと思う。あのシーンを入れるのなら、全員が納得するまで話そう、っていうことになったからね。
MAMI:今までも、たとえばCDの特典DVDにツアーのドキュメンタリー映像が入っていることはもちろんありましたけど、でもそれを見て、バンドとして何か解決しなきゃいけないような大きな出来事はなくて。だから本当に改めて、あのシーンはすごく大事なポイントだったんだなって感じています。
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