【インタビュー】SCANDAL、ドキュメンタリー映画公開「装飾はもういらない」

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SCANDALが10月17日より、ユナイテッド・シネマほか全国映画館にて初のドキュメント映画『SCANDAL “Documentary film「HELLO WORLD」”』を期間限定公開中だ。同映画は海外8ヶ国全10公演に完全密着した映像であり、世界の熱狂を収めたライヴシーンはもとより、メンバーの普段の姿まで赤裸々に収録されたもの。ドラマーRINAの涙が映し出されたトレーラー映像も映画公開前に大きな話題を集めた。

◆SCANDAL 画像

このインタビューでHARUNAは、「そこまで曲を理解して聴いてくれているんだということを視野に入れながら、歌詞や曲を書いていきたいと思いました」と海外公演の影響について語り、MAMIは「“ああいうテクニックもできたらいいな”と思うようになりました」とプレイヤーとしての向上心をのぞかせている。ワールドツアーはメンバー個々のミュージシャンシップに火を点け、あまりにも濃い1ヶ月間は紆余曲折をともないながらもメンバー間の信頼関係をより強固にしたようだ。BARKSではメンバーのキャラクターが浮き彫りとなった映画について、また、結成10周年を前に高く高く上昇し続けるバンドの覚悟について、たっぷりと語ってもらった。今や日本代表するガールズバンドとなった4人のロングインタビューをお届けしたい。

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■まだまだ自分たちには、頑張れる伸びしろがある
■SCANDALのクールな部分をもっと伝えていきたい──HARUNA

──これまでも海外公演は何度も行ってきたみなさんですが、今回のワールドツアーは、今までとはまた違う体験だったと思います。改めてワールドツアーを振り返って、どのようなツアーだったと感じていますか?

HARUNA:まず、海外でライブをするっていうことの考え方が、自分たちの中で大きく変わりました。SCANDALを結成して、デビューする前から海外に行かせてもらって、それ以来、毎年のように海外でライブをやっているんですけど、今年初めて“ワールドツアー”と謳って、日本を含めて9ヵ国を廻ったんです。しかも、新しいアルバム『HELLO WORLD』を引っさげてのツアーということで、これまでのように、海外用の特別なセットリストを組むのではなく、国内ツアーの延長上として、日本と同じ感覚で海外でもツアーを廻ることができたのは、大きかったですね。

RINA:『HELLO WORLD』というアルバムが作れたからこそ、今回のワールドツアーができたと思っていて。アルバムの完成間近に、韓国のフェスに出演させてもらったんですね。その韓国滞在中に、4人で「次のツアーをどういうものにするか」ということを話し合って。その時に私は、自分たちが作った音楽を世界に届けに行くことを主としたいと考えていて。それで、日本と海外をセパレートせずに、ひとつのツアーとして廻りたいんだっていうことをメンバーに話したんです。それにみんなが賛成してくれて、今回のワールドツアーが実現しました。日本公演を皮切りに、1本のワールドツアーとして41公演を終えて、このやり方に挑戦してみて本当によかったなと思います。しかも、このツアーを成功させられたことで、バンドがよりナチュラルな姿になれた気がしていて。すごく今、リラックスして音楽を楽しめています。

──より自然体になれた?

RINA:そうですね。大きなツアーを行なうことで、“自分たちは装飾されていくのかな?”“どうなるんだろう?”と、自分でも未知な部分が多かったんですけど、いろんな国や地域でライブをやらせてもらったことで、シンプルで強いものを見せたいという気持ちがどんどん強くなって、余計な部分がそぎ落とされていった感覚がありました。

──TOMOMIさんにとっては、どのようなワールドツアーでしたか?

TOMOMI:インディーズの頃から海外でライブをやってきましたが、デビュー当時は制服を着ていたり、アニメの主題歌を歌っていたこともあって、ジャパンカルチャーの一部として海外で受け入れられているという意識が自分たちの中にあったんです。でも今回は、『HELLO WORLD』という、自分たちの中でナチュラルに制作できたアルバムを持ってのワールドツアーでしたので、海外のお客さんにも、バンドとして、今までとは違うところを見てもらえたと思いますし、それを届けられたんじゃないかなという自信になりました。

MAMI:私も、ジャパンカルチャー系のイベントではなく、バンドとして海外をツアーできたことが嬉しかったです。アジアの地域は、これまでもツアーしてきましたけど、フランスをはじめ、ヨーロッパとアメリカでワンマンライブを行なうことは初めてでしたし、自分たちの最新作をみなさんが楽しみにしてライブに来てくれたということが、さらに嬉しかったです。それに、ソングライターとしての自信がつきました。たとえば、「Departure」っていう曲は、特に海外で反応がよかった曲なんですが、日本の風景であったり、その風景を見たことがないと抱くことがない感情を歌っているんです。だから、海外のお客さんには本来は分からないはずなんですね。それを「キャッチーだ」と言ってくれたり、歌詞の意味もきちんと調べて、理解したうえで聴いてくれていて、すごく“愛”を感じました。

──ネットなどを通して、海外での反応を知っていたとしても、そういう部分は、実際に現地へ行って、ファンの方とリアルに接しないと分からないものですよね。

MAMI:ぜんぜん実感が違いますね。もう、その土地によって反応も全然違うし、楽しみ方も、聴き方も違う。それをちゃんと自分の目で見て、感じることができたことは、今後の曲作り、モノ作りに必ず影響してくると思っています。

──海外での8ヵ国10公演のうち、どの国が印象的でしたか?

MAMI:メキシコはすごかったですね。お客さんの熱量もすごかったし、2,000人以上も集まってくれて、単純にビックリしました。それに、映画にもそのシーンが入っているんですけど、メキシコにいる間に私が誕生日を迎えて、舞台上でお祝いしてくれたんです。そもそも、メキシコという土地で誕生日を迎えることって、まず無いことだと思うんですよね。しかも、スパニッシュのバースデーソングを会場のみんなが歌ってくれて、ケーキもスタッフさんが用意してくれて。そのバースデーソングが、4分くらいの長さで、しかも3拍子なんですよ。だから、どこでロウソクを消したらいいのか分からなくて(笑)。そんなハプニングもありつつ、すごく嬉しかったですね。

──そんな熱いメキシコで、SCANDALの音楽は、どのように受け入れられていたのでしょうか?

MAMI:南米でも、J-POPは愛されている音楽のひとつなんですが、他の国と、ちょっと聴き方が違うんです。たとえば、アニメであったり、日本の文化を通してJ-POPを聴き始めるというよりも、動画サイトなどで日本のバンドを見つけて、“こんなバンドがいるんだよ!”っていう感じで、どんどん広がっていくみたいな感じで、今までアニメ系のコンベンションで廻ったような土地とはまた違った反応でしたし、J-POPの聴かれ方も違うんだなと感じました。

RINA:日本に対して、すごく“カッコいい” “オシャレ”と思ってくれているんですよ。日本という国は、スタイリッシュで、真面目で、クールな国だという風に捉えてくれていて。もちろん、日本のアニメやアイドル文化も、盛り上がっているんですよ。そういう日本の文化は、世界に発信できているものとして、素晴らしいと思っていますが、そういった中でSCANDALが、ちゃんと"ガールズバンド"として受け入れられていたことが、すごく嬉しかったし、もっともっとポピュラーなものにしていきたいなと思いました。

──SCANDALは、現在のガールズバンドシーンの先駆者でもありますが、もはや国内への影響だけでなく、日本のバンド文化を世界に届ける重要な役割も担っているように思います。

RINA:実際に現地で、“こういう盛り上がりって事実なんだ”と感じた時に、ワールドツアーの捉え方も変わりましたし、今までにはなかった使命感みたいなものが生まれた瞬間でもありましたね。それくらいメキシコの盛り上がりは圧倒的でしたが、イギリスの、いい意味でのシビアさも印象的でした。ロックの聖地でライブをすると、やっぱりこんな空気が味わえるんだなって、強く感じました。

──具体的に、それはどういう“空気”だったのですか?

RINA:たとえば、私たちが何をやっても、何を言っても盛り上がるという雰囲気ではなくて、やったこと、言ったことに対して、それに相応しいリアクションが返ってくるというか。よく海外のお客さんって、「ノリがよくて、情熱的でスゴイ!」という話を聞きますよね。私たちも、今までの海外公演ではそういう雰囲気を感じていましたが、今回のイギリスは、それとは違う空気が漂っていて。特に今回の会場が老舗のライブハウス(※ロンドンのThe Islington Academy)だったということもあって、常連のおじいさんが、ウイスキーを飲みながら、ゆっくりステージを観ていたりするんですよ。客席が2階建てになっていて、特に2階のお客さんは、“日本のガールズバンドって、どんなもんだ?”という感じで観に来ていて。だから最初は、全然立ってくれなくて。それが徐々に“いいな”と思ってくれた人から立ち上がっていくんです。デビュー前にあの空気を味わっていたら、きっと心が折れていたと思うんですけど(笑)、でも“やってやろう!”っていう感じに燃えさせてくれた場所でした。バンド結成9年目にして、まだこういう空気を味わえる幸せを感じましたね。

HARUNA:もちろん、お客さんとバトルするという感じとはまた違うんですけど、RINAが言ったように、まだまだ自分たちには、頑張れる伸びしろがあるなと思いました。ヨーロッパは、街並みも含めて本当に素敵でしたし、今言ったような、ライブを観る目も、とてもシビアでした。アジアに関しては、日本の文化がすごく浸透している分、まだやっぱり、ちょっとアイドル的に見られているのかなという雰囲気もあって。もちろん、それが嫌だということではなくて、もっと頑張って、ガールズバンドの、SCANDALのクールな部分をもっと伝えていきたいなと思いました。
──TOMOMIさんは、どのライブが記憶に残っていますか?

TOMOMI:どこの国も、本当にパッションがあって、熱かったんですけど、本当の意味で台湾はすごくアツかったんですね……気温が(笑)。THE WALLという会場だったんですが、ここは数年前にもライブをやった場所で、久しぶりに帰ってこれたことが嬉しかったし、ファンのみなさんも、前回にライブをした時からずっと待っていてくれた人も多くて、本当に熱量がすごかったんです。会場のキャパシティ以上の人が集まってくれて、その熱気で、ライブ後はフロアが水浸しになって、スタッフの方がモップで水はけをする、みたいな。すごかったですよ。その中で、HARUNAも言っていたみたいに、最新の自分たちをいつも見てもらいたいとも思ったし、距離的にも台湾や香港は近いですから、国内ツアーをする際に、もっと台湾や香港も含めたアジアツアーとして、これからも頻繁に行けるようになったらいいなと思いました。

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