【インタビュー】PENICILLIN、最新シングルで「殺伐とした世界から希望を」
■古いとか新しいとかそういうことは気にしなくなりました
■面白いと思うことをやっていくことが進化につながっていく──O-JIRO
──演技も必見です。カップリングの「繚乱戦記」は3曲の中でいちばんアッパーな曲ですね。ダイナミックに情熱的にはじけるPENICILLINとは少し違うテイストの攻めのナンバー。
千聖:この曲は、“THE O-JIRO”だね。
O-JIRO:自分の中では“お祭りみたいな曲がほしいな”と思って。和テイストの曲になったらいいなと思ったんですけど、思っていた以上にカッコよく仕上がりましたね。もうちょっと明るくなるのかなと思ってたんですけど。
千聖:アレンジの方向によってはお祭り騒ぎっぽくも持っていける曲だけど、結果、スピード感のあるロックになって。
O-JIRO:こういうリズムパターンの曲をやってみたかったんですよね。あまりPENICILLINではやったことがないので。
千聖:Aメロとか速いロカビリーみたいなアレンジだもんね。
──スネアを中心にビートを組み立てたAメロ部分はインパクト大ですが、ドラムは息つく暇がないのでは?
O-JIRO:でも、PENICILLINの中ではテンポ的にはそれほど速くないんですよ。ギターが16分カッティングで刻んでるから、速く感じるのかもしれない。Bメロのアレンジもいいですね。抜きのリフがちょっと裏メロっぽくて。
千聖:攻めて引いてまた攻めるみたいな。押してダメなら引いてみろって。まぁ、口説いてるわけじゃないんですけどね(笑)。
──「繚乱戦記」というタイトル通り、バトル感が出ている曲になりましたね。
O-JIRO:そうですね。サビで歌い上げるのではなく疾走感がある曲にしたかったので。歌詞もスピード感があって、うまくマッチしましたね。
──歌詞は戦火の中のシチュエーションを思わせるというか、日常とは少し違う世界なのかなと。
HAKUEI:タイトルもアニソンっぽいですけど、この詞は友情とか愛情とか絆というか、男らしくて熱い部分を描いていますね。『マッドマックス』でいうとバトルシーン。それと、さっき「同じテーマで歌詞を3曲つくった」という話しをしたじゃないですか。中でもカップリングの2曲は“花”をモチーフにしているんです。花は美しさ、生命力を感じさせると同時に、儚くもあるので、アッパーなJIROさんの曲は花が咲き乱れるイメージ。もう1曲の「蕾」のほうは、儚さを表現しています。「繚乱戦記」は暑苦しいことを淡々と歌うことに挑戦してるんですが、今回のシングルは1曲1曲、うまいこと振り切れたかなと。
──「蕾」は8分の6拍子の曲で、ワルツを取り入れている?
HAKUEI:そうですね。メンバーそれぞれが新しい挑戦をしようという想いがある中、自分が今まで書いたバラードの中でも、歌い上げるのではなく、語りかけるような歌にしたいなって。言葉を伝えるメロディに振り切った曲ですね。
──未来への祈りが込められた曲ですね。
HAKUEI:そうですね。目に見えるものというより心で感じることを描いています。
O-JIRO:「Stranger」とはまた違う広大さがあってしっとりしている。メロディとハーモニーがキレイなので、パンチのあるリズムにしたくて。“こう来たか”と思わせるようなPENICILLINにしかできないアプローチです。過去の曲でいうと「理想の舌」とか「腐海の砂」のようなムードのある曲で、圧のある感じにしたいなって。
千聖:この曲のサビのバスドラって2バス?
O-JIRO:いや、シングル。サビを2バスでやらないのがいいかなと。
千聖:なるほど。サビで“ドッドッ”ってバスドラが入ってくることによってガッツリ盛り上がるんだよね。それも2バスじゃないからビートのアタックが妙に均一で。それってギターに置き換えるとオルタネイトじゃなくて、ダウンピッキングで弾き通すようなものなんですけど、だからこそ“圧”が出ているんだと思う。
──ギターはアコギとエレキの両方を使ってますよね。
O-JIRO:アコギも良かったよね。
千聖:ギターに関しては迷いがなかったですね。HAKUEIくんが歌うとどうなるか見えているから、インスピレーションでパッとインプロで弾いたんですけど。このスピード作業は、20年以上やってるバンドのメンバー同士の蓄積もあると思います。他の人にはできない呼吸感かなと。
──最後に結成23年目のPENICILLINは今、どんな時期なんでしょうか?
HAKUEI:常にいい方向にバンドがパワーアップ/グレードアップしていきたいと思っているので、今の時期がどうなのかは正直、意識していないですね。ただ、そんな中でも、今回のシングルはいい意味で確信犯的に挑戦できたと思うし、ドッシリした感じで伝えることができましたね。逆に次は思いきりふざけるかもしれないし(笑)。「Stranger」のようなソリッドな音楽にもド派手な音楽にも、みずみずしい気持ちを持って全開で挑戦できるバンドでありたいと思っています。
O-JIRO:最近思うのはこの3人+プロデューサーで奏でていくものが、たとえ焼き直しだと思われても、カッコよければそれを追求していけばいいんだろうなって。だから、古いとか新しいとか、そういうことは気にしなくなりましたね。
──そこはカバーの影響もあるんでしょうか?
O-JIRO:あるかもしれないですね。そのとき刺激的だったり、面白いと思うことをやっていくことが進化につながっていくのかなと思います。
千聖:PENICILLINの23年の歴史を振り返ったら、いろいろな時期があっただろうし、今がどうかは、今の自分では正直よくわからないけれど。PENICILLINの良さを踏まえつつ、“こうしてみたら、どうかな”、“ああしてみるのはどうだろう”っていう実験を繰り返しての今なんだろうし、自分たちでも全く予想がつかないから飽きないというのはありますね。自分にとっては“くるのか”“こないのか”の方が大事で“高尚だけどつまらない”とか“上手いけど面白くない”っていうのは一番言われたくないことなんでしょうね。スパイスをきかせたメインディッシュの後にはデザートにスイーツもほしくなるし、いろいろな要素を持っているバンドなので、これからも楽しんで自分たちに刺激を与え続けたいと思います。
取材・文◎山本弘子
■2015年第1弾シングル「Stranger」
【Type-A CD】XNBG-20010 ¥1,500+税
01. Stranger
02. 繚乱戦記
03. Stranger(Instrumental)
04. 繚乱戦記(Instrumental)
【Type-B CD】XNBG-20011 ¥1,500+税
01. Stranger
02. 蕾
03. Stranger(Instrumental)
04. 蕾(Instrumental)
【DVD Single「Stranger」】HIOWC-1062 ¥1,500+税
2015年9月12日(土)よりライブ会場限定販売
01. 「Stranger」ビデオクリップ
02. 「Stranger」ビデオクリップメイキング
■<HAKUEI BIRTHDAY LIVE「SUPER HEART CORE '15」>
OPEN 17:15 / START 18:00
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