【ライヴレポート】Angelo、天使の日に「すべては“想い”のため」
Angeloが10月4日(=天使の日)、結成9周年記念ライヴ<Angelo 9th Anniversary『THE ABNORMAL PHENOMENON』>を東京・豊洲PITにて開催した。
◆Angelo 画像
2006年8月にキリト、KOHTA、TAKEOの3人により誕生、同年10月4日に始動したAngeloは、結成5年目の節目に正式メンバーとしてKaryuとギルの2人のギタリストを迎え、9年間、途切れることなく精力的な活動を行なってきた。10周年も目前に迫ったAngeloが未来を見据える視界は、たぶんクリアだ。そう感じさせてくれたのが、攻めのアティチュードで駆け抜けたこの日のライヴだった。
期待と興奮の歓声の中、映像を映し出す数々のプロジェクターのもと、メンバーが登場。ライヴは最新6 tracks EP『FACTOR』表題曲の「FACTOR」で幕を開けた。激しさと切なさが交錯するナンバーがキリトの揺るぎない意志を伝え、“その身を救うものは 絶えぬ渇きだけ”と歌う「URGE」へ。ヘヴィで小気味いいリフとビートが無用なものを切り裂いていくようなカタルシスを覚える「Experiment」、イントロからヘドバンの嵐に突入する覚醒の攻撃的ナンバー「SELF AWAKE」、Karyuが下手、ギルが上手へと散って煽った「狂人」が投下される展開。
この『FACTOR』収録6曲が曲順通りに披露されていく前半戦のセットリストは、このライヴがいわゆる9周年を総括するお祭り的なものではないということを如実に物語っていた。12月には『FACTOR』と対を成す6 tracks EP『RESULT』がリリースされるが、一点の迷いもない最新のAngeloを叩きつける5人と、まったく動じることなく、ライヴの定番曲であるかのごとく盛り上がるオーディエンスが作り出す景色そのものが、何よりも両者が過ごしてきた密度の濃い月日を感じさせてくれた。
そんなオーディエンスにキリトがマイクを叩いて賞賛の拍手を送り、Angeloの始まりの曲「REBORN」を演奏したのも象徴的だったように思う。9年の月日を経てアプローチは変化しているが、破壊から再生へと未来を切り開いてきたAngeloというバンドの本質は、この曲の中に確かに息づいている。
センシティブで切実でメロディックなバラード「Voice of the cradle」が届けられ、中盤戦はじっくり聴かせるゾーンへと突入するのかと思いきや、この日のAngeloは緊張の糸をゆるめることがなかった。Karyuとギルのカッティングが交互に鳴らされる「RIP」ではキリトが激しくマイクスタンドを叩きつけ、血が騒がずにはいられない「My Strife」へ突入。
後半はAngeloの歴史からまんべんなくというよりは、現在の5人になってからリリースしたアルバム『RETINA』『FAITH』『PSYCHE』からコンセプチュアルにつながっていくようなアグレッシヴで激しい曲がたて続けに放たれていった。
「気づいたら残り少ねーぞ! 衝動がキミたちの中にあるから。すごく狂ったものがキミたち1人1人の中にあるから。すごくドロドロしていて醜いものがあるから。少しでも吐き出して」──キリト
こう煽ったあとに「吐き出さないで」と笑わせたかと思えば、「出しきれんのか!? 狂っちゃおうぜ!」と披露された「PROGRAM」で解放のベクトルへと振り切れ、オーディエンスがジャンプして叫んだ。再度記すが、目の前に広がる空間こそが彼らが積み重ねてきた歴史である。加速する興奮とすべてを解き放つ多幸感。奥に行けば行くほどAngeloの世界は深く、謎解きが隠されている。しかし、難しいことを考えなくてもただ衝動に身をまかせればいい。一度見たらその一挙一動から目が離せなくなるキリトの攻撃的なヴォーカルと知的なメッセージ。TAKEO、KOHTAの太く緻密に絡みあうリズム。Angeloのヘヴィな楽曲にゴシックかつサイケデリックな彩りを与えるKaryuとギルのギター。キリトの個性の強さとリーダーシップゆえにワンマンバンド的に捉えられた時期もあったと思うが、9周年を迎えたAngeloはどのピースが欠けても成りたたないバンドとして、ジャンルを超越している。
男性の野太い声が次第に大きくなる中、「Script error」ではコール&レスポンス。まったくライヴの趣旨には触れることなく、痛快なまでにイキきって「OUTBREAK」で本編が終了した。
全員が感謝の言葉を述べたアンコールでキリトは、初めて9周年に向けての想いを口にした。重ねた月日がフラッシュバックしたのか、これまで聞いたことがないほど饒舌に。
「今日は10月4日ということで、気がつけばAngeloというバンドができて9年です。来年10周年を迎えることができるんでしょうか(笑)。何ひとつ確約されていないからこそ、続くのがありがたいことなんだと思います。『FACTOR』に続いて、12月には『RESULT』という6曲入りのミニアルバムを立て続けに出して、自分たちの首を絞めるような無茶をやらかしていますが、これから先もムチャクチャだと言われることを率先してやっていくと思います。ずっとAngeloを見てきた人はわかるように、ムチャクチャな時期に始まり、ムチャクチャやってムチャクチャな変化を続けて、今に至ります。リーダーの僕自身がそういう性格なので、常に驚かせることが好きで、それしかできない男ですから、バンドの名義が何であろうと、キリトが真ん中にいるときは諦めてください(笑)。
今まで振り返ることなく夢中で進んできました。ふと何のためにやっているのか考えますが、ハッキリした答えは見つかっていません。ただ自分のためだけだとしたら、こんなにしんどいことはやっていません。かと言って、僕みたいなキャラが「すべてファンのためにやっています。ファンの人がすべてだから、Angeloは恋愛禁止です」というのもウソくさい(笑)。あえて言うのなら、こうして貫いてきたのはすべて想いのためだと思います。辛いことも苦しいときもあった。そんなときにいつでも見守って背中を押してくれたみんなの想い。Angeloを作った時期、もうやめてしまいたいと思ったこともあったけれど、前に進もう、新しいものを作ろうと思わせてくれたたくさんの想いがありました。
Angeloは自分で作ったものをぶっ壊して、新しいものを作って破壊と再生を繰り返してきました。これからもそうしていきます。大切だからこそ壊します。そしてまた1から新しいものを作ります。何もかも失ったような気持ちになったとき、小さなライブハウスで怖くて仕方がなかったとき、涙と笑顔で背中を押してくれた人たちがいました。その声に応えようと決めた自分の想いがありました。今でも忘れていません。これからも、その想いのために続けていきます。そして今日、ここにいるキミたちの想いも連れていきます。何もかも連れていきます。すべては想いのために」──キリト
結成以来、キリトがここまで胸の内を赤裸々に語ったのは初めてだ。そんな言葉のあとに披露されたのは“ひとつ残らず守れるように”と歌う「Crave to you」。そしてライヴは、Angeloらしく、すべてを蹴散らしていく破壊的なナンバー「SCRAP」で幕を閉じた。
すべては揺るぎない想いのために。10周年に向かう新たな幕が同時に開いた気がした。
取材・文◎山本弘子
■<Angelo 9th Anniversary 「THE ABNOMAL PHENOMENON」>
10月4日(=天使の日)@東京・豊洲PITセットリスト
1.FACTOR
2.URGE
3.Experiment
4.SELF AWAKE
5.狂人
6.Collapse parade
7.REBORN
8.Voice of cradle
9.EDEN
10.RIP
11.My Strife
12.Deep Psyche
13.SCARE
14.PERFECT PLAN
15.THE CROCK OF ULTIMATE
16.PROGRAM
17.Script error
18.OUTBREAK
Encore
En1 声にならない声
En2 Nostalgia
En3 CONVICTION
En4 Crave to you
En5 想像の楽園
En6 SCRAP
■6 tracks EP 【FACTOR】&【RESULT】
2015.9.30 Release
IKCB-9542 ¥2,480+税
期間生産限定(発売日より30日間の限定生産)
01.FACTOR
02.URGE
03.Experiment
04.SELF AWAKE
05.狂人
06.Collapse parade
■「RESULT」
12月リリース
■<Angelo Tour 2015-2016 「THE RESULT FROM PHENOMENON」>
(問)ディスクガレージ 050-5533-0888
2015.11.27(金) 新宿BLAZE 18:15/19:00
(問)ディスクガレージ 050-5533-0888
2015.12.02(水) 柏PALOOZA 18:30/19:00
(問)ディスクガレージ 050-5533-0888
2015.12.06(日) 札幌PENNY LANE 24 17:00/17:30
(問)WESS 011-614-9999
2015.12.13(日) 名古屋Diamond Hall 16:45/17:30
(問)サンデーフォークプロモーション 052-320-9100
2015.12.18(金) 大阪BIGCAT 18:15/19:00
(問)キョードーグループ 0570-200-888
2015.12.20(日) 金沢8HALL 17:00/17:30
(問)キョードー北陸 025-245-5100
2015.12.23(祝) 福岡DRUM LOGOS 17:15/18:00
(問)キョードー西日本 092-714-0159
2015.12.25(金) TSUTAYA O-EAST(FC限定) 18:00/19:00
(問)ディスクガレージ 050-5533-0888
2015.12.27(日) 仙台 Rensa 16:15/17:00
(問)キョードー東北 022-217-7788
2016.01.09(土) 赤坂BLITZ 18:15/19:00
(問)ディスクガレージ 050-5533-0888
2016.01.10(日) 赤坂BLITZ 16:15/17:00
(問)ディスクガレージ 050-5533-0888
スタンディング ¥6,000(税込) ※ドリンク代別
※赤坂BLITZ公演のみ2F指定席も販売(席種のご指定はできません)
※TSUTAYA O-EAST公演は、FC会員限定LIVEとなります。
◆チケット詳細&購入ページ
◆Angelo オフィシャルサイト
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