【ライブレポート】10周年のAAAが初野外ライブ。感謝と歌声で織られた虹は富士急ハイランドの夜空に

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デビュー10周年を迎えたAAAが、9月21日から23日まで3日間にわたって初の野外ライブ<AAA 10th Anniversary SPECIAL 野外LIVE in 富士急ハイランド>を行なった。3日間で約5万人を動員した本公演は、最終日の9月23日にはニコニコ生放送での独占中継も実施。生中継終了直後には、のべ76万人という視聴者数を叩き出すなど、大変な盛り上がりをみせた(76万人という数字は、東京ドーム公演換算で14公演ぶん。熊本市の人口よりも多い値となる)。

10周年ツアーですっかりおなじみとなった櫓のように組まれたセンターステージをはじめ、各所ではためく公演ロゴが描かれたAAAフラッグが空の青さとのコントラストを作り出す。雲の切れ間から青空が覗いた最終日。会場ではAAA楽曲がBGMとして流されるなど、富士急ハイランドでの“AAA祭り”に1万6000人のオーディエンスは期待感いっぱいで開演までの時を待っていた。

開演時間を少し過ぎて、ファンファーレが高らかに開演を宣言。そして壮大なオープニングSEが映像とともに鳴り響く。誰もが声を上げて立ち上がると、AAAフラッグを手にしたパフォーマーたち、マーチングバンドが場内を行進する。これまでにはない演出もまた、本公演がスペシャルなものであることを感じさせる。

そして次の瞬間、旗が指し示した先に、馬車をイメージしたフロートに乗って、ナポレオンジャケットやタキシードをイメージした王子スタイルの男子メンバーと、“あの夢の国”にはプリンセス実彩子というキャラクターがいたのかと思ってしまうような、見事なまでのプリンセススタイルの宇野実彩子、そしてこちらも負けず劣らずの伊藤千晃が登場。「777 ~We can sing a song!~」でライブは幕開けとなった。

トロッコに設置された階段を雅やかなステップで宇野ちゃんが一段ずつ降りると、ティアラを着用した宇野ちゃんのツインテールも軽やかに弾む。一方、千晃は、宮殿のバルコニーから微笑みを返すかのように手元の柵に手を添えながらファンひとりひとりを眺める。トロッコの一番高いところに立った西島隆弘は、目元こそサングラスで隠しているものの、青空を掴むように片手を伸ばして<7色のRhythmあの空に響かせよう>と、歌い上げていく。今日も光る太陽に照らされながら、<FUJIQ照らし7色>と日高光啓。ライブは冒頭からクラップにハピネスが混ざり合う。


「富士急のみんな、会いたかったぜ! 最高に楽しむ準備できてる人、どのくらいいる? それじゃあその手を……!」と日高が観客を上手くエスコートして、会場全体が手を振って大盛り上がりの「SUNSHINE」。メンバーもトロッコからセンターステージへと到着。女性陣がさっそく衣装を早替えして、「Love Is In The Air」で息の合ったダンスを披露すれば、「今日で最後だ!」と西島は絶叫してオーディエンスのボルテージをさらに上げていく。そして宇野ちゃんが次の曲を告知するかのように、指先でハートを描いて微笑みとともに客席へと投げれば、流れてきたイントロは「LOVER」。

映像を使ったコール・アンド・レスポンスが行なわれたあと、花柄をあしらった衣装にチェンジして「V.O.L」へ。今度は末吉秀太に肩を抱かれた千晃がツインテール。一方、與真司郎の後ろで、髪の毛を解いた宇野ちゃんがウインクをしながら両手で大きくハートを作れば、もうそれだけで観客は「可愛い!」の大騒ぎ(言うまでもなくニコ生でも「可愛い!」の大騒ぎ)。一方後半の全員が集まってハートを作る際には、浦田直也と宇野ちゃんがふざけてハートを作りあう一幕も。

さらに久しぶりの「唇からロマンチカ」に「逢いたい理由」のメドレーでは、ジャケットを脱いだ西島が宇野ちゃんの肩に手を回したり、末吉と千晃は昨今のライブでの“秘密兵器”セルカ棒を投入してセルフィー。野外だからこその水が勢いよく吹き出すステージ演出も組み合わされた「Summer Revolution」や「CALL」そして「負けない心」「Still Love You」と人気曲が次々に披露される。浦田が「一緒に歌おうぜ」と呼びかけての「Love」で、大きな愛に包まれる大合唱を誘う。さらに「ハリケーン・リリ、ボストン・マリ」では、「お前らが騒げる曲を用意したぜ! せーので出すぜ? せーの!」と、末吉の合図で一斉に掲げられた1万6000枚のタオルが、山梨の空を弧を描いて切り取っていく。

「みなさん楽しんでますか? 10周年の締めくくりということで、ファイナルらしく、すべてパワーを使い果たしたいと思います。今日は3日目にしまして、ファイナルにしまして、晴天でございます。」と、浦田。「結果として、3日間、雨降ってないからね。」と、末吉も嬉しそうに語る。宇野ちゃんも空を見上げながら「気持ちいいー」と、つぶやいたところで、「宇野ちゃんの今の“気持ちいいー”って言い方がさ。」となぜか笑う西島。「北島康介の真似でしょ?」と日高はツッコミつつも、気持ちいいという感情が脳にいかにいい影響を与えていくかを解説し始める。すると今度は西島が、「右手と左手を胸のところにまず当てて、“気持ちいい”で開く」と、体全体を使った“気持ちいい”をレクチャーし、なぜかみんな一緒に「気持ちいいー」。「やんのかよ」とツッコむ末吉をよそに、「さあ、感じなさい。大地の恵みを感じなさい……。」と、日高は民衆を幸福へと誘う導師のように富士急の地へ集いし民に語りかける。「その手を風に」「その手の先をパタパタと……」と、西島が日高のボケに乗ってきたところで「せっかく気持ちいいんだからやめてよ。」と、宇野ちゃんが行き過ぎるふたりを注意。すると、「安心してください……履いてますよ。」と、とにかく明るい西島であった。

そんなMCパートでは、先日発売のベスト盤がウィークリー1位になったことを受けて、末吉と浦田がファンへの感謝の気持ちを口にしたほか、その喜びをAAA最年長と最年少でメールしあったといった前日夜のエピソードを與が切り出すと、浦田が「でも、友達以上恋人未満ですから。」とサラリと説明。與が必死に話を切り替えようとするも、今度は日高にも迫られ、浦田からは「オープニング、あんな王子みたいな格好してたけど、あれ私服だから。」と嘘とも本当ともつかない話を暴露(?)され、「王子役がすごいハマってると思う。」と千晃には絶賛されるなど、やっぱり今日もみんなに弄られてしまう最年少・與真司郎である。

一方、太古の昔には高貴な人のみが身につけるのを許された色でもある紫色の衣装にチェンジした宇野ちゃんが、浦田の絡まったイヤモニを解いていると、與が「あれ、付き合ってる? ふたり?」と話を振る。宇野ちゃんは「うん。ごめん、こんな大人数の前で。」と、せっかく演じ始めるも、浦田が「宇野の“U”は浦田の“U”、浦田の“U”は宇野の“U”だから。」と、ものすごくどうでもいい返しをしてしまったばっかりに、宇野ちゃんも「うん。そうよ、“ダブルU”よ」と、自分で乗っかっておきながら笑うしかない。

“教祖”日高光啓の説法からの西島隆弘の“両手パタパタ”の流れを再度挟んでMCパートは終了。霊峰富士も見守るライブは、放たれた風船が空に溶けていく中で「Lil' Infinity」から再開される。「風に薫る夏の記憶」で吹いた少し冷たい風が、ツインテールを解いて少しクセがついた宇野ちゃんの綺麗な髪を撫でていく。

7人がドラマのワンシーンを切り取ったかのような情景と表情、そして歌声で魅せた「ぼくの憂鬱と不機嫌な彼女」に「さよならの前に」。指先の繊細な動きすら歌っているかのような「恋音と雨空」では、ステージがメリーゴーランドへと変わって、夕暮れ空の下、ノスタルジックな空間を描き出した。

再度、映像を用いた衣装チェンジを挟んで「Next Stage」「愛してるのに、愛せない」からは、その歌声で、そのステージで、その存在感で、すべてで圧倒していくAAAで魅せていく。リフトも登場しての「SHOUT&SHAKE」で夜の帳が下りた富士急に光とシンセサウンドを溢れさせると、「GAME OVER?」では、「富士急盛り上がってる? 夜もまだまだこれからですよ!」と、宇野先生が振り付けをレクチャー(「しっかりしてんなー」と日高も思わず感心するほど)。天井知らずの大きな歓声を飛ばしながら一緒に踊って、本編ラストは「PARTY IT UP」。「10年間支えてくれてありがとう。でも11年目の今、俺らがお前ら支える番なんだよ! 今日は安心してかかってこいや!」と末吉が吠えて、誰もがこのスペシャルなパーティーを、燃えたぎる想いを一気に熱く激しくブチ上げたのだった。

ライブTシャツで合わせつつも、普段からメンバーそれぞれが着ていそうなカジュアルな格好に着替えてのアンコールは「MUSIC!!!」から。スタートから2時間を越えてもなお西島は、まるでAAAのステージを邪魔しないようにひっそりと空に浮かんだ月にすら届くのではないかというほどの伸びやかなボーカルを披露していく。そして再度トロッコで場内を回りながらカラーボールを投げ入れての「One Night Animal」で、オーディエンスは隅から隅まで熱狂。かと思えば、10年の感謝と11年目からの決意をこめるかのように「旅ダチノウタ」をしっかりと聴かせる。

陽も落ちて気温もグッと下がった会場。「寒くないように動くんだみんな。」「手をパタパタさせるんだ!」「そして大地を感じるんだ」と、数時間前のMCを彷彿とさせるトークが繰り広げられたかと思うと、「『旅ダチノウタ』を聴いてるからって静かにしなきゃいけないわけじゃないからね。」と、浦田がサビを口ずさみながら、どこか遠い南国の民族舞踊のようなダンスを披露。「そんなふうにやってもいいんだよね、宇野ちゃん?」と、浦田が話を振ると、今度は宇野ちゃんが同じように軽快なステップを披露していく(でも宇野ちゃんがやるとチアダンスみたいでちょっと可愛い)。これに日高が「いいんだよ回らなくて。FRANK。」と、ツッコミ(“FRANK”とは宇野ちゃんが羽織っていたジャケットの背中に書かれていたワード)。結果的に若干スベったような見え方になってしまった宇野ちゃんが、スベったことを必死に否定していると、今度は末吉が「愛くるしいなお前はほんとに!」と頭を抱くように猫かわいがり。そんな宇野ちゃん弄りに観客は悲鳴である。

この話はこれで終わりかと思ったら、さらに被せてくるのが西島。「(大きく動いて)まわりに当たるって時は、足元だけやればいいんです。」と、力説すると、靴の裏は地面につけたままで、モジモジしている女の子のように太もも(とお尻)を振りながら足踏みする動作を披露する(手は袖から少しだけ出した状態で軽く握って体の横、少しだけ外側に反らせるのがポイントなのだろう)。ここからエンジンがかかった西島は、「旅ダチノウタ」のサビを歌い終わるだけでなく「う・ち・ま・たカモン!」と、よくわからないかけ声とともにラップパートへと突入。「見ててくれよ、頑張るからさ / 内股でHolla back!」と、思いをノセる代わりに“内股”をノセての熱唱に、「“見ててくれよ、頑張るからさ”って、そんな(内股)ので頑張らなくていいんだよ。そんなの見たくもねーよ。」と、みんな大爆笑していた。

そしてこの野外ライブもいよいよ終盤へ。アニメ『ワンピース』主題歌だった「Wake up!」で再び会場を盛り上げると、先日発表された「あなたが選ぶAAA楽曲ベスト100」で1位を獲得した曲、GReeeeNがAAAのために提供した「虹」を、銀テープ舞う中でみんなで手を振りながら熱唱する。

最後は夜空に大輪の花火が咲く。歓声と喝采を一身に浴びたAAA。感謝の気持ちと歌声で織られた未来へと続く7色の虹は、この日、ひとりひとりの心のキャンパスだけでなく、富士急ハイランドの夜空にもしっかりとかかっていたはずである。

「今年は10thアニバーサリーイヤーということで、アジアを回らせていただいたり、アリーナツアーをやらせていただいたり、そしてこうやって富士急3daysやらせていただいたり。本当にたくさんのみなさんに感謝したいと思います。これからも7人、力を合わせて頑張っていきますし、スタッフとみなさんのパワーを借りて頑張っていきたいと思いますので、11年目のAAAも応援よろしくお願いします。」── 浦田直也(AAAリーダー)

text by ytsuji a.k.a 編集部(つ)

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