【密着レポ】飯田里穂、3Dスキャンの巻[耳型採取編]

ポスト

イヤモニを作るの巻[サウンド編][デザイン編]と、これまで2回にわたって飯田里穂のイヤモニ製作の様子を密着レポートしてきたが、今回はインプレッション(耳型)の採取現場に潜入してきた。

◆飯田里穂画像

アーティストの耳にピッタリのイヤモニを製作するため、カスタムIEM製作に本人の耳型採取は欠かせない。通常はシリコン樹脂を耳の中に注入し硬化させて型を採り、その型をイヤモニメーカーに送付することで製作がスタートするが、今回は3Dスキャナを使用し飯田里穂の耳の穴の3Dデータを採取した。

イヤモニ/カスタムIEMもまだ20年そこそこの歴史しか持たない世界だが、デジタルの波は急速に訪れ各ブランドの製作現場に多大な影響を与え始めている。既に多くのカスタムIEMブランドが3Dプリンタによるシェル製作を行っており、コスト圧縮と時間短縮にしのぎを削っている状況だ。当然3Dプリンタに入力するのはユーザー耳型の3Dデータだが、現状では、ラボまで送られてきたシリコン製のインプレッションを整形するところから作業が始まる。余計な部位をナイフでカットし遮音のために必要な盛り付けなどを施し、職人技をもってやっとユーザーの耳に合ったイヤモニのひな形ができあがる。この完成耳型を3Dスキャナでスキャンしデータ化、それをプリンターに送ることで製作がスタートするという段取りだ。




▲United Sciences製の3Dスキャナー一式

そんな現状も、近い将来に大きな変革を見せることだろう。そう、耳穴を直接3Dスキャニングしてしまうスキャナーが登場し始めているのである。取材時においてはまだ世界を見渡しても実用化に至っていない最先端のスキャニング技術だが、日本での初導入を睨んでいるeイヤホンの協力の下、今回の飯田里穂イヤモニは、フルデジタルによる製作にチャレンジというわけだ。

「これが経験できるのは凄いことですよね。いやーすごいよぉ」──飯田里穂


スキャン自体は非常にシンプルで簡単な作業に見える。ヘッドホンのような形をした座標を耳にセットし、スキャナーでレーザーを当てていく。読み込まれたデータはその場でモデリングされ、手元のスキャナのディスプレイとPC画面にリアルタイムで表示される。耳穴から耳殻までくまなくレーザーを当てればそのまま外耳道を含む外耳全ての形状がデジタル化できるわけだ。左右のデータを保存すればそれで完了である。今までのような発送費用もかからないし到着まで時間も要しない。輸送事故の心配も皆無である。



なにしろ物理的な接触がないという点が凄い。データ採取に不快感もなければそもそも事故の可能性もない。鼓膜を痛める危険性もないし注入したシリコンが取れないといった不慮の事故も起こらないのだ。いいことずくめの新技術なのである。現時点では世界中で複数の会社から耳型採取用のスキャナーが発表されているが、世の3Dプリンターブランドとのデータ互換性の問題など懸念点も散在しており、黎明期ならではの試行錯誤が繰り返されている状況にあるようだ。安定性や精度など本格実用への課題は残されているが、いずれにしろ時間の問題だ。近い将来、多くのブランドで今回の飯田里穂のように、我々の耳型もデータで採取、時間差なくメーカーに送付される時代がやってくる。

今回の取材は、そんなちょっとだけ近未来の様子をレポするものだ。スキャナーはUnited Sciences製のe-Fit 3D Ear Scannerである。


──まずは、座標となるヘッドホンのようなものを頭にはめるんですね。

飯田里穂:これを経験できるのは凄いことですよね。いやーすごいよぉ。

──では早速、スキャンしましょう。スタート!





飯田里穂:(PC画面を見ながら)…おー、すごいすごい。すごーい。これ私の耳ですよね?

──すごいですね。みるみるうちに形状が出来上がりますね。

飯田里穂:耳の穴ちっちゃ。

──あっという間に終わりました。これでOKです。

飯田里穂:いやー、おもしろかった。



──レーザーを受けているときはどんな感じですか?

飯田里穂:何も感じないです。痛みもなく。光を浴びている感じもしないので。熱さもないし、驚くほど自然な感じです。あ、耳の中を撮っているときは先っちょが触ったりしますけど。

──その場でモニターが見えるから面白いですよね。

飯田里穂:だんだん出来上がってくるにつれて、あ、見たことある耳の形だ、みたいな。それが画面に出てきて何か不思議な感じがしました。何もない空間に勝手に立体的にできてくる不思議さに驚きました。

   ◆   ◆   ◆

この日は、念のため、一般的なシリコン注入による耳型採取も行われたが、飯田里穂のイヤモニUE 11 Proはこの3Dスキャンデータから3Dプリンタで生成される予定だ。なお、8月20日に発表されたWestone Sシリーズの“世界初のデジタルスキャニングプラットフォーム”は、このシステムを使用してのプロダクトとなる。(編集部注:記事公開当初、Ultimate Earsの3Dスキャン一般受付開始のアナウンスを記しましたが、開始スケジュールは未定となりました。追記:2015年8月22日12時)



▲スタッフからスキャナを手渡されはしゃぐrippi。こういう使い方、絶対ダメである。

続く

取材・文・撮影:BARKS編集長 烏丸哲也
協力:eイヤホン/Ultimate Ears


New Album『rippi-rippi』




2015年7月29日(水)リリース
初回限定盤A CD+Blu-ray+PHOTO BOOK TKCA-74234 ¥4,500(税抜)
初回限定盤B CD+DVD+PHOTO BOOK TKCA-74235 ¥3,800(税抜)
通常盤 CD TKCA-74239 ¥3,000(税抜)
初回限定盤A・B[CD]
1.始まりたいカノン
2.Love Motion
3.永遠ほどじゃなくても
4.Four Leaf Clover
5.まだ言えないけど、◯◯◯
6.あなたがいたから
7.わたしのパレット
8.青空プロローグ
9.Stargazer
10.Slowly Love
11.7月29日
[Blu-ray(限定盤A)/ DVD(限定盤B)]
・始まりたいカノン Music Video
・Music Video MAKING
※ライブチケット優先販売申込券封入
*PHOTO BOOK(40P)付き
通常盤[CD]
1.始まりたいカノン
2.Love Motion
3.永遠ほどじゃなくても
4.Four Leaf Clover
5.まだ言えないけど、◯◯◯
6.あなたがいたから
7.わたしのパレット
8.青空プロローグ
9.Stargazer
10.Slowly Love
11.7月29日
-BONUS TRACK-
12.Hello Brand-new Girl
※ライブチケット優先販売申込券封入(初回プレス分のみ)

◆飯田里穂 オフィシャルTwitter
◆【密着レポ】飯田里穂、イヤモニを作るの巻[サウンド編]
◆【密着レポ】飯田里穂、イヤモニを作るの巻[デザイン編]
この記事をポスト

この記事の関連情報