【ライブレポート】吉川友が初めての台湾単独ライブ開催。「台湾で定期公演を!」
吉川友が初めての台湾単独公演<吉川友ライブツアー in台湾 〜友言実行!〜>を、7月5日、台北にあるライブハウスPIPE Live Musicにて開催した。
◆<吉川友ライブツアー in台湾 〜友言実行!〜>画像
前日には、日本と台湾のアイドル対バンイベント<女子偶像音楽祭>に出演し、藤本美貴の伝説の1曲「ロマンティック浮かれモード」で台湾を“跪かせた”きっか。初の単独ライブとなった7月5日は、前日までの豪雨が嘘のような快晴で、気温も30度を突破。リハーサル段階から、熱いライブになることが予想された。
「烏龍茶! ……あ、普通にですか? 台湾に傷痕を残せるように頑張ります!」── 吉川友(開演前の意気込み)
とはいえ、日本とは言葉も文化もニュアンスも違う台湾ということで、リハーサルでは音響、照明ともにトラブルの連続。しかしそんな中でも、きっかはSTARMARIEとコラボ曲(「LOVEマシーン」「ザ☆ピ〜ス!」)の振りを和気あいあいとレクチャー。一方で、本番直前まで中国語でのMCの確認にも余念がない。
会場となったPIPE Live Musicは、1908年に完成した、台湾で初めての現代的上水道施設のひとつ「台北水源地取水口」の建物が元になっているライブハウス。そんな会場の外では、友フレ(吉川友のファン)がきっかの曲を流している。狙ってか、それとも偶然かは定かではないが、日本での彼女のライブ会場外を彷彿とさせるそんな様子は、“吉川友”とは“吉川友と友フレによるプロジェクト”か何かなのかと思わずにはいられない。
デビュー曲「きっかけはYOU!」「いいじゃん」と始まった台湾ライブ。日本同様に「きっか!」コールが発生し、日本よりはるかに暑い台湾(気温34.4度)を冒頭から熱くする。一方、MCでは中国語で「はじめまして、日本から来ましたアイドル“わがままボディー”吉川友です。」と挨拶。さらにそのまま中国語で話を続ける。しかも衣装トラブルで一度袖に戻ってもマイクを離さずに、「きっか! きっかきか!」のコール・アンド・レスポンスで会場を煽る。もっとも、途中に「芒果刨冰(マンゴーかき氷!)」と、ライブにはまったく関係ないフレーズを挟むと、台湾のファンは一斉に「はぁ?」と、まるでコントかとツッコミを入れたくなるほどに、一斉に声をそろえて困惑する(きっかのピンインが違うからなのか、このワードだけ訪台初日から現地の人たち誰にも伝ってないらしい)。そして吉川友のテキトーなトークは、中国語になってもテキトーなのである。
その後も「ハコの中のブルー」「あまいメロディー」など疾走感を覚えるナンバーでライブに勢いをつけて中盤へと突入していく。
さらに披露されたのは、彼女が2012年にリリースしたアルバム『ボカリスト?』でカバーした「LOVE涙色」「私がオバさんになっても」。しかも「私がオバさんになっても」では、「回るよ!」と呼びかけて、自らヲタ芸を煽っていくスタイル。これに見事な反応を見せる現地ファンを見ていると、音楽のノリ方、アイドルライブの楽しみ方にもまた国境がないことを感じさせる。
そして前日の日台アイドル対バンイベントで共演したSTARMARIEを呼び込んで、日本を代表するアイドルソングとして、モーニング娘。の「LOVEマシーン」をパフォーマンス(ちなみに夜に行なわれたSTARMARIEの単独公演では、両組で「ザ☆ピ〜ス!」を披露)。きっかにとってもSTARMARIEにとっても、幼い頃に夢見ていた世界の人たちがテレビの向こう側で歌っていた楽曲を、今、日本のアイドル代表として台湾のステージで歌える喜び。そしてみんなで盛り上がる楽しさに溢れたコラボレーションとなっていた。
単独公演なので、もちろん最新曲「花」も、17分25秒フルサイズで歌われる(前日の対バンイベントでは一部のみ歌唱された)。アイドルシーン前代未聞の組曲をステージ上で3パターンの衣装に早替えしながら披露すると、きっかが作り出すドラマティックな展開を前に、現地ファンもゲスト出演したSTARMARIEのファンも、ステージに一気に引き込まれていた。
後半には「Sweetie」や「恋愛遠慕」、「Time to zone」に「URAHARAテンプテーション」といったアップテンポなナンバーを並べる。もちろんここで、フロアは飛んで跳ねてペンライトを振っての大興奮。会場の熱量をこれでもかと高めて、本編を締めくくった。
アンコールに入ると、台湾公演が行なえたことへの感謝の気持ちを口にして、会場のファンと一緒に記念撮影を実施(幕は現地ファンが制作したもの)。そして歌われたのは「こんな私でよかったら」「ずっとずっとずっと君がスキだ」と、台湾のファンに向けたメッセージともとれる2曲だった。
時間にしてしまえば1時間30分ちょっと。それは、“日本と台湾の架け橋”なんて表現してしまうと大げさだと言われるかもしれない。しかし、事実として本公演は、日本と台湾の吉川友ファンの間で交流を生むきっかけになった。終演後にファンの手によってTwitterにアップされた、日本と台湾の友フレが集まって、誰もが満足気な表情で仲良くフレームの中に収まっている写真が、それを物語っている(そして本公演、いたるところで現地ファンにフロア前方を譲る日本の友フレたちの姿を目にすることもできた。運営サイドからそのような指示がなされていないことを考えると、「今回は、台湾の友フレに吉川友のステージを堪能してもらおう」と、日本の友フレたちが自主的に配慮したものと思われる)。
日本からはるばる駆けつけた人、台湾の地でずっと心待ちにしていた人。日本と台湾、言葉も文化も異なる人たちが気持ちを通じ合わせ、笑顔とともにひとつになる瞬間。
この日、そんな光景の中心にいたのは、他でもない吉川友。そしてこれこそが、彼女が台湾の地にしっかりと残した爪痕ならぬ“傷痕”なのである。
「台湾のライブは盛り上がりますね。どの国でもそうですけど、今回は前日が雨で、このまま雨で雨女と言われるかと思いきや、快晴。お天気が味方してくれました。熱く、熱く盛り上がったんじゃないかなって思います。手応えを感じたので、台湾で定期公演を(大人の人たちに目で訴えかけている)! そしてライブ、海外進出を狙いたいと思います。頑張ります。」── 吉川友(終演後のコメント)
text and photo by ytsuji a.k.a.編集部(つ)
<吉川友ライブツアー in台湾 〜友言実行!〜>セットリスト
M1 きっかけはYOU!
M2 いいじゃん
MC
M3 ハコの中のブルー
M4 あまいメロディー
MC
M5 LOVE涙色 (「ボカリスト?」より)
M6 私がオバさんになっても (「ボカリスト?」より)
MC
M7 LOVE マシーン(※STARMARIE とのコラボ曲)
MC
M8 恋するボーカロイド(※STARMARIE 単独曲)
MC
M9 花
MC
M10 Sweetie
M11 恋愛遠慕
M12 Time to zone
M13 URAHARAテンプテーション
アンコール
EC1 こんな私でよかったら
EC2 ずっとずっとずっと君がスキだ
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