【インタビュー】Crack6、破滅と再生を描く作品に「それでも花は咲いてほしいんです」

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■“破壊、再生、変化、終焉”と
■うまく並べられたアルバムになった

──その“破滅と再生”は今作のキーワードですよね。

MSTR:だから1曲目が「Catastrophe666」なんですね。突然地球規模のCatastrophe。要するに破壊が訪れて、「Re-Born」つまり再生、復活して、「Change the World」で世界が変わり、進化していって、いろんな「飛桜花」や「白い百合の咲く丘で」のようなドラマがあり、「THE END OF THE WORLD」で再び終わりに向かって、ボーナストラックの「RISING SUN」でまた再生するという。この繰り返しなのかもしれないと思って、コンセプトが頭の中でまとまったときは4月になっていましたね(笑)。

──全体像が見えてからは一気に曲が形になった?

MSTR:早かったです。ハンパない集中力でしたね。

──Crack6はMSTRのソロプロジェクトですけれど、今回のアルバムはよりソロ色が強いと思いました。

MSTR:ソロプロジェクトの中でも?

──参加メンバーの色と混ざりあって、バンドに近い形態の作品のほうが多かった印象があるんですけど、今回はMSTRというか千聖さん個人の色がグッと前に出ているなと。コンセプトにのっとって作ったからなのかもしれないけれど。

MSTR:言わんとしていることはよくわかります。ストーリーが頭にあって作っているので僕の色が強いのは事実ですね。フルアルバムだったら、また違った形になったのかもしれないけれど、ミニというサイズにキレイにおさまったので…。ちなみに「Catastrophe666」は頭の中にあったものをなかなか形にできなかった曲だったんですが、PENICILLINのツアーファイナルのキネマ倶楽部の楽屋でメインリフを思いついたんですよ。

──ははは。めっちゃ最近じゃないですか?

MSTR:“これしかない”と思って、ライブが終わって家に帰ってから作り上げて。SHIGEさん(SHIGE ROCKS)、JIROさん、TENZIくんに送ってタイトなスケジュールの中、作業してもらったんです。「THE END OF THE WORLD」もアイデアの段階では前からあったけど、具体的にはツアー中に名古屋のホテルで作ってましたからね。でも、“破壊、再生、変化、終焉”とうまく並べられたアルバムになったと思うし、宇宙規模、地球規模の見方もできるけれど、人生にも重ねて聴けるかもしれないなと。

──MSTRのギターにはダイナミックでメタリックで開放的なイメージがありますが、今回は憂いや深み、エッジが感じられるし、いろいろな意味で新鮮でした。どんな映像やイメージが浮かんで作ったのか1曲ずつ教えてください。

MSTR:まず、「Catastrophe666」はテーマが“破壊”なので、どす黒いパワーのある曲にしたかったんです。『スター・ウォーズ』でいうダークフォース的な(笑)。自然が牙を向いたときのパワーって、普段、僕らは生物の頂点にいる感じがしていても、しょせん地球の生物の一部なんだって否応なしに思わされるほど自然の前ではすごい無力じゃないですか。そういう負のエネルギーを表現したかったのでハードで重厚感があって、初期のCrack6に近いミクスチャー的アプローチですね。この曲に関してはチューニングを2音下げてます、ドロップCチューニングですね。

──ヘヴィなサウンドによって歌い方も変化している?

MSTR:ですね。鬼気迫る破壊の欲望とあきらめの悲壮感が同居している。巨大なハンマーで殴られるようなパンチのある曲になったと思います。

──ここから宇宙的な「Re-Born」の流れがいいですよね。あえてインストゥルメンタルを2曲目に持ってきつつ、生命の営みを感じさせるという。

MSTR:SHIGEさん、JIROさん、TENちゃんに集まってもらって、自分のアイデアを元にワイワイ言いながらアレンジしてもらったんですけど、仮タイトルは「スペーシー」だったので宇宙を感じてたんでしょうね(笑)。ギターは速いとか激しいというアプローチではなく、ドラマを表現したいなって。地球規模もしくは個人規模で再生していく力を表した壮大な曲ですね。

──そして疾走感あふれる「Change the World」は熱いメッセージが感じられる曲です。

MSTR:ええ。これはさっきもいったような、僕個人のテーマでもある曲ですね。いろいろな生物が進化して淘汰されて、やっと今の世界にたどり着いたけれど、人間はここからどう進化していくのか。“争いの中で勝ち得たものは何か?”と問いかけていて、希望と絶望が混ざり合った曲になりましたね。今の時代のこの国は比較的、生と死を切り離して考えている人が多いように思うし、自分を含めて平和ボケしてると思うんですよね。だからこそ、歌っておきたかった曲ですね。

──“荒野に咲く花のように今 凛と立て”とメッセージしていますもんね。

MSTR:そうですね。荒野でも花は咲くっていう。例え花が枯れても、次の種からまた育った植物は荒野にも対応できるように進化しているかもしれない。生きている以上、希望は欲しいし、生命の力強さを表現している曲でもありますね。

──ギターソロは憂いがあってエッジもある。

MSTR:ソロはアルバムの中で唯一、SHIGEさんとバトンタッチして弾いているんです。矢継ぎ早なスピード感のある前半の部分は僕が弾いていて、後半の優雅でダイナミックな部分はSHIGEさん。2人のタイム感と感覚の違いがよく出ていますね(笑)。

──そして、このアルバムの引き金となった「飛桜花」は?

MSTR:まずタイトルは造語なんです。本来、「飛花」という言葉には桜が散るという意味があるらしいんですが、伝わりやすいように“桜”を入れたんですね。歌詞は男女の別れがテーマですね。桜が艶やかに咲いて儚く散っていくように恋愛にも始まりがあれば終わりもあるわけで、もがき苦しむ愛の形を表現できないかなと思って書きました。

──スピード感がありつつメロディは和のテイストがあって、情緒的なナンバーですね。

MSTR:そうですね。この曲の桜はみんながイメージするソメイヨシノでも良いんですが、日本古来からある野生の山桜のイメージでも良いかなと思ってましたね。

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