【インタビュー】Robert de Boron「輝いている人間というのはみんな熱い」

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── このアルバムでも、後半に行くにつれてどんどん音数が少なくなってきますもんね。

Boron:そうですね。意識してますね。音数の少なさだと短いループをしている曲で4曲目の「I am Ready feat. Dawngun」もそうですね。これはピアノで作り出してなかなかループが組めなくて。車の中で移動中に思いついて、「うわっこれヤバい!」って思ってずっと口ずさみながら家に帰って(笑)。それを落とし込んで。

── そういうときはギターで作るのかピアノで作るのかというのはどこで決まるんですか?

Boron:スタートじゃないですかね。パッとギターを手に取ったらギターの曲になるし、ピアノリフっぽい回しもので作ろうとしたらピアノになるし。でもメロディックなものを作ろうとしたら僕はギターの方が相性良いと思いますね。間違いなく。

── 今回のレコーディングで使ったメイン・ギターはGibson J-200 Montana Goldですか?

Boron:そうですね、MontanaとJ-45を使いました。今はTaylorもありますけどね。でもチューニングがビシっと合いすぎてるんですよね。ちょっと古いGibsonにはなんかこう、ピッチがちょっとズレてたりする“ぞわっ”とくる感じがあるというか。そこが好きなんですよ。

── 綺麗な曲に音を入れようと思ったらMartinなんかの方が相性は良さそうですけど、Boronさんはあえてあんなデカいギターを弾くところが良いですね。

Boron:土臭くなるんですよね、Gibsonの方が。それがいろんな人が使う理由なんじゃないかな? 結構スペシャルなミュージシャンの人とか見るとGibsonを使ってて、「なんかこれは違うんだよ」とか言うじゃないですか?まあカッコつけてるのかもしれないけど(笑)。でもすごいわかるんですよね。たぶんそれは、絶妙なチューニングのズレじゃないかな? 6弦3フレットのGをボーンって弾いたときに、Gより本当にちょっとだけ♯に寄ってたりとか。それを1個1個調べて行くと、「うわっすげえズレてんな!」みたいな(笑)。でもそれが良い意味で古いGibsonの魅力だと俺は思ってますね。

── ラストの「The Lost Child feat. MO」はMOが歌ってますが、今回これが最後に入っているのに友情を感じました。

Boron:MO(笑)? 今回は歌わせましたね。レコーディングはけっこう時間がかかりましたけど。でも良いんじゃないかと思いますよ。良くしようという意識があるというか、一緒にやっていても。「ここもうちょっとこうした方が良いかな?」とかじゃんじゃん出してくれるんで。そういうのはやっぱり楽しいですよね。音楽じゃなくてもモノ作りってみんなそうだと思うけど、良くしていこうという段階を楽しめてないと良いものなんかできないわけで。上手くはないっすよ(笑)!? でも心がそういうところにあるから。やってて苦労はするけど楽しかったですね。

── 前作まででBoronさんの名前も認知度は上がっていますから今回も多くの人が聴いてくれそうですよね。

Boron:うん、そうですね。でも結構色は変わっちゃったから、1stとか2ndを聴いてた人たちから見ると「Boron変わったね」っていうイメージはあるのかなとは思うけど。でもまあ俺は一段一段でも、少しずつでも、変わって行きたいなという意識があるからあんまり同じところにいたくないですしね。

── ご自分ではどんなところが変わったと思っていますか?

Boron:やっぱり聴きやすくなったんじゃないですかね? 2ndはサンプリングを意識した弾き方とか、自分で弾いたものをわざわざサンプリングしたりとか、エディットの仕方がまったく違ったけど、もうちょっと音楽寄りになっているというか。でもループ感みたいなものとか、「あ、ここが気持ち良い!」っていう尺の切り方というのは忘れないようにやったつもりです。

── 「Shine A Light Pt.5 feat. Sam Ock」は前回「Interlude」として一部が使われていた曲で少し暗いイメージでしたけど、歌が入るとだいぶ印象が変わりますね。

Boron:そうですね、カラッとしてますよねどちらかというと。これはチャンネル数が一番多くて、150chくらいあったんじゃないかな。でも面白かったですね。良い曲になったし。

── 今回もこの曲が入ってはいるものの、「Shine A Light」を前作で総括したせいか“「Shine A Light」のRobert de Boron”というイメージはあまり感じなくなってきました。

Boron:もうだいぶ抜けてきた感じしますよね。それは自分でも本当そう思う。『ON THE RAINBOW』のときの「Shine a Light Pt.4 (Proud To Be) feat. AWA and Maitreya」これがボロン的には今までに無い新たな雰囲気だったし、曲もよかったから、また「Shine a Light」に寄るのかな、と思ったんだけど意外と1曲目の「All On The Table」がドカーンと売れて。その後にアルバム「Shine a Light」を出して、出し切って?(笑)ちょっと「Shine a Light」のイメージから抜けたのかな? って。

── 今回に関してはそういう印象はないですね。

Boron:ないですよね。だからようやく、Robert de Boron=「Shine A Light」みたいなところから離れられたのかなというのが自分の中にあるかな。今回も1、2曲目がダントツで反応が良いみたいなので、嬉しいですね。
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