【インタビュー】SEELA [D'ERLANGER]、「重ねてきたのは常に変化ではなく、進化」

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■常に夜はホテルのなかで吞んでたんで
■滅多にあることじゃないんで。だからなんか新鮮でしたね

──レコーディング現場というのはファンにとってはなかなか目にする機会のないものですけど、今回のアルバムのデラックス・エディションに付いているDVDには、L.A.のスタジオでの様子が収められてますよね。なんかものすごく楽しげに見えるんですけど、実際はどうだったんです?

SEELA:まず……向こうではほとんど寝なかったですね(笑)。いや、当然寝てはいるんですけど、だいたい夜は吞んでたんで。

──それじゃあ日本にいる時と同じじゃないですか。

SEELA:ははは! でも毎晩でしたからね。スタジオに行って、夜は吞んで。その繰り返しやったんで。向こうに着いた当日は、スタジオに行く前にちょこっとあちこち廻ったりしたんですよ。ギター・センターに行ってみたり。あと、後半にはちょっとビーチのほうに行ってみたり。それ以外はスタジオとホテルの往復だけだったし、常に夜はホテルのなかで吞んでたんで。もちろん東京でも吞みますけど、あんまりメンバー同士で部屋に集まって吞むというのはないですからね。まあ、たま~にツアー先のどこかで二軒目の店がない時にそういうこともありますけど(笑)、滅多にあることじゃないんで。だからなんか新鮮でしたね。

──25年前みたいな感覚でした?

SEELA:いや、あの当時はあんまり吞んでなかったですからね。何もない時に個人的にちょこっとたまに吞むぐらいで。ツアー中とかも最後の打ち上げぐらいだったし。CIPHERと部屋吞みとかすることはあっても、メンバー4人でホテルの部屋で吞んだことなんて、数えるほどしかないんじゃないかな。

──しかも場所がロサンゼルス。その街自体、SEELAさんにとっては興奮材料になり得るものだったんでしょうか?

SEELA:正直、憧れとかそういうのはそこまであんまりないんですよ。俺、そんなに何処そこに行ってみたい、とかは思わないタイプなんで。城とかに行くのは好きですけどね(笑)。まあ、そう言いながらも、行けるもんなら行ってみたいんですよ(笑)。でもね、やっぱ、ビーチひとつをとっても……普通に良かったんですよね。1日中ここにいたいな、みたいな気持ちになって。あんまり俺、そこまで思わないほうだけど、今回に限っては思いましたね。むっちゃ綺麗やなって、純粋に。

▲@L.A.レコーディング

──現地でのレコーディング自体はどうだったんですか? よく、アメリカ西海岸だと乾いた音が録れるとか言いますけど、あれは本当なんでしょうか?

SEELA:乾いた音かどうかはよくわかんないですけど(笑)、まず、やっぱエンジニアが日本人の人たちとは違うというか。それが人の違いなのか、たまたま今回の人がそうだったのかはわからないですけど。向こうでは、エンジニアといえばほとんどプロデューサーの感覚じゃないですか。それこそ「ここをこうやってみない?」みたいな提案とかがすごくあって、そういうこと自体が新鮮やったというか。そんなこと、これまで言われたことなかったですからね。結構細かいことを言ってきたりもしたし。

──ぶっちゃけ、そうやって細かい指示や提案をされた時に「おまえにD'ERLANGERの何がわかるんや?」というふうにはならなかったんですか?

SEELA:いや、全然。ある意味、せっかくロスに来てるんやから、ある程度は受け入れようっていう感覚があって。もちろんそこでディスカッションして、ここはやっぱ無理やな、というのもあったりもしたけども、言われて試してみたことというのもあったし。一切受け付けないわけでも、何でも受け入れるわけでも、どちらでもなかったというか。向こうも向こうで、こっちが無理やと言えば「ああ、OK」と言ってくるんで。

──逆に、先入観のない向こうのエンジニアに「Awesome!」とか言われると、気分良かったりもしますよね。

SEELA:そうですね(笑)。で、「よう考えたら、こいつ(=エンジニア)まだ20代やな」って気付かされて。こっちはもう50やのに(笑)。でも、そこに妙な隔たりは全然なくて。

──隔たりといえば、L.A.では今回、誕生から四半世紀を経ている「LULLABY」と「DARLIN’」を再録してきたわけじゃないですか。それについてはどうでしたか?

SEELA:まあ結果、録ってみたら……自分で言うたらアカンのかもしれないけど、古臭く感じないんですよね。そこは“なんで?”って訊かれてもわからないですけど。でも、それはこの2曲に限ったことではなくて。たとえばライヴで他の古い曲をやっていても、“古いな”って感じながら弾いたこと、ないですもんね。今あってもいい曲という感覚で、常に弾いてるんで。

──しかも今回は、あの2曲と噛み合わせのいい新曲たちが並んでいて。特に「CRAZY4YOU」のポップさとか、あの2曲に呼ばれたんじゃないかという気さえします。

SEELA:ええ。当初、自分の頭のなかで、L.A.のレコーディングの時の音というのもあるなかで日本でのレコーディングが始まって……。それが合わさった時にどうなるかというのがポンと浮かばへんなあ、というのも実際あったんですけど、実際並べてみたら全然良かったんで。

──この2曲を録ったことというのは、当然ながらメジャー・デビュー25周年と関わりがあるわけですよね。おめでとうございます。

SEELA:ありがとうございます、と言うべきなんですかね(笑)。ちょっと違いますよね(笑)。なにしろ間がえらく空いてますからね……25周年と言っていいもんかどうか。でも、当時よりももはや復活後のほうが全然長くやってるわけじゃないですか。再結成からもう8年ですからね。まさか自分らが、こんなにアルバムを出してるとは(笑)。正直、8年前は当然、まったく今みたいな状況を想定してなかったですからね。もちろん逆に“何年後には終わってるだろう”とか思ってたわけでもないんですよ。その時その時にすべきことをやってきただけというか、いつもそんな先のことまで考えてないですからね。

──まあ実際、小学1年生の時に中学生になった時のことまで想像したりはしないですもんね。

SEELA:それがこの年齢になっても変わってないというか(笑)。そこでちゃんと先のことを考えたほうが利口なんでしょうけど、計画立ててやれることでもないですからね。

──このバンドの復活というのは、続けることが目的というわけでもなかったはずだし、誰にもどうなるか見えていなかったわけですよね?

SEELA:そうですね。見えてないというか、まず再結成して、1枚目ですげえの作ってしもうたな、ぐらいのことを自分自身でも思って。“どうだ!”的なやつをね。逆に言うと、ずっとその感じで行けるんだろうなとも思ってるんですよね、身体が続くかぎりは(笑)。

──要するに毎回、“どうだ!”と思えているわけですよね?

SEELA:そうですね。そう思えるようじゃないと、弾けないですよ。

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