【インタビュー】ブルゼッケン 88、破壊的で圧巻のスキルを見せつけてくれるニューシングル「WENDY」

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BULL ZEICHEN 88から新しい音源が届いた。まさに。非の打ち所がないとはこのこと。気持ちいいほどに、圧巻のスキルを見せつけてくれるニューシングル「WENDY」は、彼らにしか出来ない極上ヘヴィ・ロックだ。この問題作について、Ikuoと栄二郎にじっくりと話を聞いた。

◆ブルゼッケン 88~画像~

■売れたいとか大衆ウケしたいとか、そういうところを狙わなくなった(笑)
■1曲中でどれだけ面白いことが出来るかというところに重点を置くようになったんです


▲ニューシングル「WENDY」

──もぉもぉもぉ。

Ikuo:もぉもぉもぉ(笑)。

栄二郎:あははは。なんですか、この始まり(笑)。

──いやいやいや。圧巻過ぎて、どこから何を聞いていいやら(笑)。

Ikuo:あははは。ありがとうございます!

──ということで、ニューシングル「WENDY」のお話をガッツリと聞かせていただこうかと思っておりますが。今回、表題曲の「WENDY」から容赦なく攻めまくりで。しいて言うならば、2曲目の「Limited」がブルハチ(BULL ZEICHEN 88)流ポップなのかなと。3曲目の英詞曲「Vengeance」は、もう破壊的で絶句。

Ikuo:そうですね、一応バランスを考えての3曲になっているんですよ(笑)。

栄二郎:全部破壊的ではありますけど、一応ブルハチ的なバランスを考えまして(笑)。表題曲「WENDY」はIku兄(Ikuo)の曲なんですけど、Ikuo曲というのは、いろんなジャンルやプレイを取り入れながら、ガッツリと作り込んでいく楽曲の作り方なんですね。2曲目の「Limited」は僕の曲なんですけど、僕が作曲する曲っていうのは、基本歌モノが多いんですよ。で、3曲目の「Vengeance」は、ギターのsebastian曲なんですが、基本セバ(sebastian)曲は、飛び道具的な位置にあるというのが、ブルハチ流のバランスだったりしますね。

Ikuo:セバ曲は基本捨て曲です(笑)。

栄二郎:こら、やめなさいって(笑)。

──あははは。“Ikuo=攻め担・栄二郎=歌モノ担・セバ=捨て担”っていう(笑)?

Ikuo:そうですそうです(笑)、それがブルハチの基本です(笑)。


──淳士さんは曲作らないの?

Ikuo:淳士くんは作曲ではなく作詞を担当しています。あと、立ち位置的には、映像であるとか、ブルハチのトータルプロデューサー的な立場なんですよ。

──淳士さんは歌も歌える人だからね。歌詞心があるというか。

Ikuo:そうなんですよ。なので、栄二郎ももちろん歌詞を書いているんですけど、淳士くんも歌詞を書きながら、総合プロデューサー的な役割りをしてくれているんです。セバも栄二郎も作ってきますけど、最終的に楽曲に関しては僕に一任してくれているので、音楽面を僕が仕切っているという感じですかね。

栄二郎:そうですね。ブルハチの楽曲に関しては、Ikuoプロデュースという感じですね。

──なるほど。でも、昔よりも、楽曲がより複雑に、よりマニアックになってきてるよね。

Ikuo:そうそう(笑)。どんどん変なイヤラシさがなくなっていってるというか。

──変なイヤラシさ?

Ikuo:そう。売れたいとか、大衆ウケしたいとか、そういうところを狙わなくなったんです(笑)。なによりも、個性を重要視したいなと。もちろん、個性と言われるモノの中には、カッコイイヘヴィーなモノだったり、いいメロディだったりってのは入れているつもりなんですけど、1つトータルとして、最初から最後まで、1曲を通した中でどれだけ面白いことが出来るか? というところに重点を置くようになったんです。特に表題曲に関してはね。

栄二郎:「覇鳥」(2010.4.28リリースシングル)以降は、そういうスタイルになってきてますね。楽曲に関しては、Ikuo作曲・淳士歌詞曲コンビ曲が表題曲になってます。

Ikuo:ドラムとベースがやりたい放題の楽曲にしていこうっていう方向性になっていったんです。

──なるほど。“能ある鷹は爪を隠す”って言うけど、敢えて爪を隠さず、爪をおもいっきり立てていこうってことだね。

Ikuo:おもいっきり爪痕残していこう! ってことですね(笑)。そうそう。今やれる精一杯は、とことんやりきろう! ってことです。その都度その都度出し切ろう! って感じになりましたね。

──「WENDY」は、まさにやりたい放題というか、いろんなことを詰め込んだ楽曲だよね。ド頭から攻めユニゾンっていうのもド迫力だし。

Ikuo:はいはい。ちょっとしたお遊びで。

──ちょっとしたお遊びどころの騒ぎじゃないけどね(笑)!

Ikuo:メタルキッズの掴みはOK! 的なね(笑)。

──中盤のベースのタッピング的な奏法もね……圧巻……。

Ikuo:あははは。ありがとうございます。あれはね、タッピングに聴こえるんですけど、実はスラップでして、ロータス奏法と言う奏法なんです。この奏法は、僕のソロアルバム(2014.2.26リリースのソロアルバム『R.E.D.ZONE』)でもやっていたり、その後に出した教本でも紹介させてもらっているんですけど、僕の一推しの奏法でもあるんです。1曲の中に必ず入れるようにしている奏法と言ってもいいですね。

栄二郎:Ikuo推しフレーズなので、そのうち、名前がロータス奏法から“Ikuo奏法”に変わるかもしれないっていうね(笑)。それくらいパイオニアですね。


──素晴しい(笑)。そしてまた歌詞も面白いよね。

Ikuo:歌詞、酷いでしょ(笑)。

栄二郎:“腐れ童貞”って言ってますからね(笑)。

──そこ、二度見状態だった(笑)。“へ? 今、なんつった!?”みたいな(笑)。

Ikuo:あははは。かなり過激というか(笑)。

栄二郎:でも、ちょっと可愛いんですよね、コイツ(WENDY)。

Ikuo:まぁね。WENDYくんっていう、思春期の悶々とした心情を歌った歌詞らしいんですけどね(笑)。

──健全だよね(笑)。

栄二郎:そうそう(笑)。純粋な愛を感じる、胸キュンソングだと思いますよ(笑)。

Ikuo:腐れ童貞………ってね(笑)。淳士くんって、僕が仮歌詞をデタラメ英語で付けると、聴こえたままの韻を歌詞にしてくることが多かったりするんで、すごく面白いんですよ。響きを優先して歌詞を書くから、語呂が面白いというか、独特なんです。

栄二郎:僕の場合、歌詞を書くとき、すごく熱いことを書く傾向にあるので、そこが淳兄との大きな差なんですよね。淳兄はね、自分も歌をちゃんと歌える人なんで、歌い方やニュアンスにすごくこだわりを持ってる人でもあるんですよ。今回も、腐れ童貞とかの“腐れ”も、“くそわれ”みたいな発音で英語っぽく聴こえさせたいっていうディレクションをしてましたからね。錯覚観というか、そういうところはすごく重視する人ですね。すごいと思いますよ、淳兄は。Ikuoさんの持ってきた仮歌詞の発音をほぼ忠実に日本語にして、“歌詞”に起こしてますからね。そこもすごいと思います。ちゃんと辻褄もあってますからね。

──しかし。そのディレクションに答えられる栄二郎のスキルもすごいし、またこの音圧に迎え撃てるのは、栄二郎のさすがのボーカル力があってこそでもあると思うからね。

栄二郎:いやいやいや、日々鍛えられてますね。淳兄のボーカル力って半端ないですからね、さらに、ドラマーときてるんで、リズムに関しても半端なく正確なんで、かなりハードルが高いんですよ。あの人、ホント天才肌ですからね。

Ikuo:淳士くんは天才肌だね。努力せずに出来ちゃうタイプだからね。すごく器用な人だと思いますよ、ホント。

──すごいね。この曲は、音はヘヴィだけど、歌詞がキャッチーなのもあって、ちゃめっけがあるよね。中盤の“ニァニァニァ”のコーラスというか、ガヤもすごく活きてたし。

Ikuo:あそこね、全員淳士くんなんですよ。あの人、いろんなキャラに成りきるのが大好きで(笑)、いろんなキャラ持ってるんですよ。ファルセットで歌うときは、クリスタル・Jになったりとか。つまり、Jは淳士のJね。今回はいろんなJが出てきまして、セリーナ・Jとか、美輪・Jとか。

栄二郎:剛田・Jとか骨川・Jとか(笑)。

──剛田・Jとか骨川・J!?

Ikuo:そうそう(笑)。『ドラえもん』一派ね。ジャイアンとスネ夫(笑)。その場でいろいろと思い付いたキャラクターで歌ってましたよ、今回も(笑)。

栄二郎:本当に、ブルハチの曲って、その場の思いつきで日々変化していきますからね(笑)。コーラスとかに限らず、サウンド面も常にスタジオで思いつきが形になっていってますから。

Ikuo:そう。その場で思いついたモノは全て取り込んでいくっていうね。淳士くんの思いつきはとにかくすごいし。今回僕も、さっき話したロータス奏法のところをカントリー&ウエスタンになったら面白そうだなって思い付いて、バンジョーを入れてみたり、クラップハンドを入れてみたりしたり。そこで、指笛を入れようっていう思い付いて、みんなで必死にスタジオで練習して。

──お~。じゃぁ、あれも指笛・J!?

Ikuo:違うんですよ! あれは、パソコンで“指笛の吹き方”って検索してそのとおりにやったら出来た、僕の指笛なんです(笑)。

栄二郎:そう! まさかのIkuoさん(笑)。“早く早く! 出来た出来た! 今録ろう!”って、スタジオで大騒ぎでしたよ(笑)。指笛入れるのに、みんなで1時間くらい必死に指笛の練習してましたからね(笑)。そんなバンドなんです、ブルゼッケン 88って(笑)。

──あははは。馬鹿な大人だねぇ?(笑)。

栄二郎:あははは。そうなんですよ(笑)。馬鹿なこと真剣にやってますからね、ウチら(笑)。あとですね、そのウエスタンなところで、最後にケタケタケタケタッって笑ってる声が入っているんですけど、そこは、僕がたまたまスタジオで大笑いしたときの声が、ディズニーのキャラクターっぽいから使おう! ってその笑い声を活かしたっていう(笑)。本当に、その日にあったことがそのまま音になっていくっていう感じで出来上がっていくんです(笑)。

Ikuo:セバもね、ギターはイマイチだったけど、ガヤは上手かったなぁ(笑)。

栄二郎:こら、やめなさいっ(笑)!

Ikuo:ガヤstian(笑)。でもね、やっぱりプログレ好きだったりもするんで、いろんなアプローチを見せるには、それなりの長さや流れが必要であるので、そのあたりもすごく考えて構成しているんです。ちゃんとそれぞれを印象づけていかなくちゃいけないっていうルールというか。そこがすごく重要になってくるんです。「WENDY」に関しては、ほとんどが変拍子で構成されているっていうのも、僕的にはグッドポイントだったりしますね。

栄二郎:歌い手としては地獄ですけどね(笑)。

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