吉川友、超長い曲「花」スタッフ対談。「最後はお客さんに宇宙で祈ってもらいます(笑)」

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ついに完成となった、吉川友の17分25秒にわたる超長い曲「花」。この楽曲の制作秘話を記録したスタッフ対談がオフィシャルから届いたので掲載しよう。参加者は、吉川友チーフマネージャーのUFC_de_staff 氏、レコードメーカー担当者のUniversal_RM 氏、そしてサウンドプロデューサーのmichitomo氏。聞き手は音楽ライターの南波一海 氏が務めている。

  ◆  ◆  ◆

── そもそも長い曲を作るという発想はどこから来ているんですか?

UFC_de_staff(以下UFC)「前二作の『URAHARA テンプテーション/いいじゃん』と『あまいメロディー/「すき」の数え方』はこちら側から“こういうのを作ります”という感じで投げさせていただいたんですね。次の作品をどうしようっていう話があった時に、今回はユニバーサルさんからご提案いただいたんですが、そのなかのひとつにそのアイディア(長い曲)があったんですね」

── そこで長い曲というのはピンと来た。

UFC「今の吉川はむちゃくちゃなことをやってもスッと入るというか。それこそサンバとか狩りの衣装もそうですけど」

RM「後付けっぽく聞こえちゃうかもしれないですけど、彼女が一般的に抱かれているであろう破天荒な雰囲気を、きっちり受けてくれる曲が必要なんじゃないかと思ったんです。多少ギミックがあるというか、ギミックに寄せたものを作ってもいいんじゃないかと。もしかしたら歌詞を飛ばしてしまうかもしれませんけど(笑)、そういうことも含めて、彼女が格闘しているのを楽しんでもらえたら面白いぞと思って作りました」

── 吉川さんのキャラクターがあってこその長い曲というわけですね。ちなみに、そのやりとりの際にはmichitomo さんは参加するんですか?

michitomo「いえ、やることが決まった後からですね。僕は厨房にいました。“次のオーダーは何来るんだろう”つって(笑)」

── 待機していたと。実際にやると聞いた時はいかがでした?

michitomo「“はい、喜んで”です。話を聞いたのが、アプガの『ハイスパートキングダム』のアフター公演の時で。その時もリミックスの長いやつを作ったんです。それをライヴで確認して、その後の打ち合わせで“長い曲をやります”って言われました(笑)」

── 「また!?」みたいな(笑)。いざ長い曲を作ろうと言っても、尺を何分にしようっていうのがありますよね。

UFC「最初は何分って言ったんでしたっけ?」

RM「30分って言いました。具体的に過去の長い曲を聴いたりしてみて。クイーンの『ボヘミアン・ラプソディ』だったり、X JAPANだったり」

michitomo「X JAPAN は『ART OF LIFE』ですね。30 分。本当に長い」

── 長い曲ってやっぱりバンド演奏のパートが長く取られたりしていて、歌がない時間があるじゃないですか。でも、吉川さんの曲でそういうわけにもいかないですよね。

michitomo「そうなんですよ。あくまで主演・吉川友のステージなので。仮に30分を歌い続けるとしたら、休む時間を入れたりしないといけないと思うので、僕的には無いかなと。そこを圧縮して20分にしたら、同じ展開でやっていくには長すぎる尺なんですよ。単純にリスナー目線になった時に飽きちゃう。RM さんも20分だとちょっと長いかなっていう話もしていたので、最終的に今の尺に落ち着いた感じですね」

── 17 分半になったと。

michitomo「長い曲って聞いた時に、ミュージカルっぽいのとか、美輪(明宏)さんの歌会を想像して。もちろん歌もあるけど、伴奏があって喋ってたりするんですよ。紅白の時の不動のまま歌う姿とかもイメージして、そういう動かないパートがあってもいいのかなと。組曲とか交響曲みたいな作りにして、それぞれのパートのカラーがあってもいいのかなと。最初は四部まで考えてたんですけど、長いなと思って、三つの展開にしました。起承転結というか、序破急みたいな感じで」

── 最初は四部構成で考えてたんですね。最後にテーマが戻ってくるような?

michitomo「そうですね。最後で最初のところに戻そうかと。でも“やっぱなげえな”ということで(笑)。頭の部分は“X JAPANっぽいことやっちゃおう”って思ったので、結構すぐにできちゃって、そこからどういう風に着地に持っていこうかというところで、つらつらと作って、みなさんに聴かせて、という状況でした。そこまでは特にディスカッションみたいなのもなく」

── 大体の形はそこまでの苦労もなくできた。

michitomo「そうですね。ざっくりと。三部構成なので、それぞれの部分をひとつずつ作っていって。その合間に喋りとか入れようっていう話になって」

── 実作業としては三曲分作るような感覚ですか。

michitomo「作業的にはそうですね。ただ、一本のテーマは先に決めていて。それこそ花とか、女の一生みたいな部分とか。ベースになるコンセプトは曲を作る前の段階からできていました。細かい部分は作詞する方に掘り下げてもらうとして、こっちは三つのパートが作る時点で、最初の部分では人生が始まって、次に自分と向き合うっていうところに持っていって、最後はスケールのでかい感じにしたいな、と。それを“花”に落とし込めればなっていう話をしつつ」
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