【インタビュー】toconoma「仕事と両立しつつ、いつか日比谷の野音で」
toconomaといえば、ピアノとギターが奏でる流麗なメロディと、クラブ・ミュージックを取り込んだ緻密なグルーヴで心地よく踊らせる、新世代インスト・ダンス・ミュージックの注目株。そんな彼らが、親交の厚いfulaの字引佑麿をボーカリストに迎えて新曲を発表するという、耳寄りなニュースが届いた。ホンダアクセスが運営する通販WEBサイト「Circle h」のHP上で試聴可能なこの曲「ハローマイライフ」を中心に、toconomaのギタリストであり、デザイナーでもある石橋光太郎が語る、プロジェクトの舞台裏。仕事もし、アーティストでもある彼がそこで感じたものとは? 興味深々のインタビューだ。
◆toconoma~画像~
toconoma
西川隆太郎(pf.)、清水郁哉(Dr.)、矢向怜(Ba.)、石橋光太郎(Gt.)
■toconomaは週末バンドマン
■モテる音楽って何だろう?
──そもそもtoconomaって、どんな経緯で結成されたんですか。
石橋光太郎(以下、石橋):新卒で就職した時、グループ会社の研修で出会ったメンバーなんです。僕はギターをやっていて、ピアノが出来る人と、ドラムが出来る人がいて。学生の頃はみんな、Hi-STANDARDやBRAHMANが好きで、ずっとそういうのをやってたんですけど、もう社会人だし、ちょっとモテるやつをやろうと(笑)。
──あははは。率直ですねぇ。
石橋:モテる音楽って何だろう?ということになって、「ジャズだろう」「インストだよ」「クラブ・ミュージックだよね」という話が出て来て。その時点で誰一人、クラブに行ったことがなかったんですけど(笑)。
──良く言えば、コンセプト先行型(笑)。
石橋:それをもとに曲を作って、のんびり活動していくという感じだったんです。それからスタジオのメンバー募集でベースが入って。3年、4年、5年くらいは、週末にのらりくらりと活動していたんですけど、オリジナル曲がたまってきたんで、形にしていこうという時に、たまたまタイミングよくお話をいただいて。CDを出したら、意外とタワレコさんが気に入ってくださって。
──それが2013年の1stアルバム『POOL』ですか。
▲1stアルバム『POOL』 |
▲2ndアルバム『TENT』 |
──仕事と音楽の両立。使う脳の場所も、違うんですか。
石橋:それは……一緒かもしれない。大学は美大に行ってデザインを勉強したんですけど、デザインのほうのメソッドというか、考え方やアイディアの出し方を楽曲に当てはめるという、そういう作り方になってるかもしれない。紙面をレイアウトするように曲を作る、というやり方だと思います。
──いわゆるライブハウスでずっとやってきたバンドとは、意識が違うと感じることはあります?
石橋:そうですね。仕事柄、ブランディングだとか、企業の色をどう決めるとか考えながらデザインをするので、そういう意味だと、ちょっと小ずるい……と言ったら言葉が乱暴ですけど、初期衝動でやってるバンドという感じではないかもしれないです。
──いや、それは意識的にせよ、無意識にせよ、誰もがやっていることだと思いますよ。たとえば「20代女子」「都会」とか、toconoma的にはどんなキーワードがあるんですか。
石橋:「20代女子」は間違いなくあります(笑)。あと、最初はジャズ寄りで売っていたんですが、徐々にフェス映えするような、フェスで機能する曲を目指して行こうとなって。それがすなわち、クラブ・ミュージック寄りになって行くんですけど。何かを解き放つようなもの、でも間口は広げたいのでメロディは美しくとか、ピアノを聴かせようとか、そういうことを考えながらやっています。でも基本的には、楽しいからやっている、というのが一番ですけど。
──今回ゲスト・ボーカルで招いた、字引さんのいるfulaとは、いつ頃からつきあいが?
石橋:fulaとは、何回か対バンをするうちに仲良くなって、僕がfulaの曲をすごい好きになっちゃって、自分たちが主催してるイベントに出てもらったりして。すごくいい奴らなんで、今回歌ものを作る話になった時に、真っ先に思いついたのがfulaで、すぐ字引くんに電話しました。
──曲についてはのちほどきちんと語りますが。ぴったりでしたね。まるでずっと一緒にやっていたかのような溶け込み具合で。
石橋:ありがとうございます。
──toconomaが音源でゲスト・ボーカルを入れるのって、初めてですよね。
石橋:初めてです。どうなるかと思ったんですけど、結果的にハマって良かったです。
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