【インタビュー】VALSHE、9thシングルは「自分自身についた嘘です」

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VALSHEが2月4日、9thシングル「君への嘘」をリリースする。日本テレビ系アニメ『名探偵コナン』エンディングテーマに起用された同曲は限りなくノンフィクションに近い世界観で構築されたものだ。テーマは“嘘”。歌詞に描かれた別れの言葉があまりにも切なく、リアルだ。

◆「君への嘘」ミュージックビデオ

また「君への嘘」は、VALSHE作品としては初めてシングルのタイトル曲にバラードが採用されたものでもある。2014年11月、<LIVE THE TRIP 2014 ~Lost my IDENTITY~>にてライブ初披露された同曲は全身全霊の熱唱とも言えるVALSHEの歌に、会場のすすり泣く声を呼んだほど。さらには、全4仕様の形態でリリースされる同シングルは特典や“謎”も盛りだくさん。明確な意志と意図を持つそのひとつひとつをVALSHE自身に解き明かしてもらった。

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■誰かについたわけじゃなく自分自身についた嘘
■どんな嘘なのかは曲を聴いた人によって受け止め方が違うのかな

▲「君への嘘」初回限定盤

▲「君への嘘」通常盤

──9thシングル「君への嘘」はアニメ『名探偵コナン』のエンディング曲ですが、また再び『名探偵コナン』とコラボすると決まった時はどう思いましたか?

VALSHE:まずは、お話をいただいた時は素直に嬉しかったです。前回はオープニングテーマを歌わせていただいたので、実はその時から“いつかエンディングも歌ってみたいな”と思っていて。今回のお話をいただいた時に、プロデューサーと「シングルでバラードを出してみたいね」と話していたこともあって、初めてシングルのタイトル曲でバラードを歌うことにしました。今の自分がやりたい音楽ともうまくハマって、すごく光栄だなと思いました。

──2度目のコラボでもありますし、『名探偵コナン』の世界をどう切り取ろうと思いながら作りましたか?

VALSHE:別れを歌った切ない曲になりましたが、歌詞を書く上で最も意識したことは、“限りなくフィクションを排除すること”でした。限りなく自分のリアルに近づけながらも、当然『名探偵コナン』とのコラボであることも頭に入れて書いていきました。「Butterfly Core」のときは、オープニングテーマということもあり、自分にとっての『名探偵コナン』はこうだというものを詰め込みましたが、エンディングとなるとそこはまた違ってきます。自分にとってエンディングテーマは、その回をもう一度振り返る、余韻に浸れる時間なんです。『名探偵コナン』は特に、エンディングのあとにもう1シーンがあるから、その間に流れる楽曲として流れを切らない作品にすることをとても意識しました。

──『名探偵コナン』は完全なフィクションなのに、そこで歌われている楽曲はノンフィクションという組み合わせも、すごく面白いですね。

VALSHE:そう思ってもらえたら嬉しいです。今まではどちらかというと逆で、フィクションを土台にVALSHEの思いを投影させている楽曲が多かったんですね。『名探偵コナン』は完全に二次元なんだけど、その世界の登場人物はとても魅力的なキャラクターで、それぞれがいろんな思いを持っている。サスペンスな面やコミカルな面、恋愛的な要素と様々あるので、まだまだ『名探偵コナン』の持つ世界の一部分しか描けていないと思います。特に『名探偵コナン』の主題である推理、サスペンスには手を付けていませんから、もしまたチャンスがいただけるなら、それをテーマに楽曲を作ってみたいなという気持ちもありますね。

──実際にシングル曲でバラード歌ってみて、いつもと違う感覚はありましたか?

VALSHE:はい。ミディアムやバラードももっと歌っていきたいと思うようになりました。今までシングルのタイトル曲はアップテンポが定番になっていて、その中で曲調やアレンジなどで振り幅を広げてきました。バラードはアルバム曲やシングルのカップリングで、VALSHEにとってはある種のチャレンジ曲という感じでこれまで作っていたんです。そもそも活動を初めた頃は、シングルでバラードを切るなんて発想自体がなかったですから(笑)。

──心境が変化した理由は何ですか?

VALSHE:活動を進めていくにつれて、やれることややってみたいことがどんどん増えたからでしょうね。その中で、バラードを歌いたいと思うようになり、さらにシングルで発表してみたいと思うようになったんです。今回はバラードとはいえ、VALSHEらしさが十分に感じられるよう、こじんまりとまとまるのではなく壮大な世界観を作ろうと思いました。昨年はサウンド面でストリングスアレンジを取り入れた楽曲にも挑戦していたので、そういった経験値が今回は最大限に生かされています。ストリングスはVALSHE史上最大人数のオーケストラで録っていただいているので、それが楽曲全体にすごく良い影響を与えてくれているなと感じます。

──ところで、お子さんも観る作品のテーマ曲にもかかわらず、なぜ“嘘”について歌おうと思ったのですか?

VALSHE:確かに“嘘”ってヴィヴィッドな言葉ですよね。これは狙ったというより、さっき言ったように、これを書いた時に自分が嘘を実際についていたから出てきた言葉なんです。

──嘘をついた?

VALSHE:誰かについたわけじゃなく、自分自身についた嘘です。小さい頃は「嘘をついちゃだめだよ」って教えられますし、それを信じてますよね。でも成長するにしたがって、嘘が必要なこともあるんだなって知るようになりますし、場合によっては、嘘なんだと言い聞かせることで自分を保つこともあるかもしれない。きっといい嘘も悪い嘘もあるとは思うけど、結局は偽りだから、嘘はどこか身勝手なものだなとも思うんです。いったい誰に対するどんな嘘なのかは、この曲を聴いた人によって受け止め方が違うのかなと思います。それぞれの解釈をしてもらえたら。

──自分への嘘となると、つくのはとても難しかったでしょうね。

VALSHE:ええ……。ただ、もし誰かに付いた嘘を題材で歌詞を書いたとしたら、すごく一方的な見え方しかできない歌詞になってしまったと思います。ついたのも自分、つかれたのも自分だからどっちの気持ちもちゃんと分かる歌詞が書けたと思います。でも、自分の思いを綴った楽曲でもあるので、“もしかして、楽しくないレコーディングになってしまうのではないか”と、この5年間の活動の中で初めて歌入れの前日に不安になりました。チーム全体も楽しい歌入れになるよう、みんなで心を1つにしてレコーディングに臨みましたね。

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