【ライブレポート】ウェイウェイ・ウー、心を打つメロディと激しく生命を揺さぶるリズムで体の芯までをも癒してくれたツアーファイナル

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二胡の第一人者として人々の心を癒し続けるウェイウェイ・ウーが行ったツアーのファイナル<Reborn~Stories of the Butterfly>は、年末の慌ただしい心を静かに落ち着かせてくれる魅力的な一夜となった。

◆ウェイウェイ・ウー~拡大画像~

ガラスの二胡を手に客席中央に現れたウェイウェイ・ウーが奏でるア・カペラの「花」でコンサートはスタート。これから2時間にわたって繰り広げられる魅惑の一夜を暗示するような始まりだ。歌い上げるような二胡の響きに客席は息を呑む。二胡の“静”の一面を見せる演奏に、早くも観客は引き込まれていく。


そして、それとは正反対の一面を見せたのが、次に続いたチック・コリアの名曲「Spain」だ。今夜のバックを務めるキーボード、ベース、ギター、そしてドラムスが入り混じって激しいアドリブの応酬が繰り広げられる。民族楽器でありながら、こんなにも自由に演奏できるのが二胡のもうひとつの魅力。それを自在に往復できるウェイウェイ・ウーの魅力が凝縮されている。

ここでウェイウェイ・ウーから、世界遺産に登録されている白川郷の白川村観光ふるさと大使に任命されたことが報告された。そのイメージソング「時の旋律」を披露。日本人の原風景ともいえる白川郷の写真をバックに、自然との共存、人間の生命を歌い上げる演奏は圧巻だ。


「日本に来て感動したのは、あっという間に切なく散っていく桜の花。春を迎える嬉しい気持ちと、すぐに散る切なさに心を奪われました」というMCとともに、中国語で「SAKURA/17」を情緒たっぷりに伝えてくれた。

100年前の二胡の代表曲「燭影揺紅」を軽快に演奏したあとは、メドレーで「秋桜」や「時の流れに身をまかせ」に。「日本に来るきっかけは、山口百恵さんの“赤いシリーズ”をテレビで見ていたから」というエピソードで笑わせた。

そして今夜のハイライトのひとつ「Reborn」。曲が展開してはテーマに戻っていくのを繰り返す。まるで命が、川の流れのように緩やかになったり急激になったりするのを表すかのようだ。

クリスマスを目前に控えたこの日を楽しむかのような「ジングルベル」をジャジーにアドリブ回しで披露したあとは、ウェイウェイ・ウーの代表曲「JIN-仁」~「ボイジャーズ」。耳慣れた秀逸なメロディーに、客席はホットな雰囲気が充満する。

「春にニュー・アルバムを出します」との発表で大きな拍手をもらったあとは、ピアソラの名曲「オブリビオン」リベルタンゴ」と、「Reborn」に収録されている「アストゥリアス」と3曲をドドーンと披露。「リベルタンゴ」での二胡の表現の幅の広さに感服。時には心を打つメロディ、そして激しい生命賛歌とのあいだを行き交う演奏は、現在では、ウェイウェイ・ウーにしかできないと言ってもいい存在感を見せつけてくれる。

小鼓の石井傳一郎氏をゲストに迎え、蝶蝶が生命を楽しむかのように飛び回る映像をバックに「Butterfly」でコンサート本編は終了した。

アンコールでは、4名の心弦メンバー、そして客席でも二胡愛好家が二胡を取り出し共に「縁之詩」「賽馬」を共演。平原を走る馬の足音や嘶きが会場に響き渡ってコンサートは終了した。

世界中が高揚するクリスマスの一夜に、心を打つメロディ、激しく生命を揺さぶるリズムで体の芯までをも癒してくれたウェイウェイ・ウーの二胡。こんな贅沢なクリスマスなら、何度でも体験したいと思わせるコンサートだった。


セットリスト

<New Album発売記念コンサート ツアーファイナル Reborn~Stories of the Butterfly>1.花(ア・カペラ)2.Spain3.時の旋律4.SAKURA/175.燭影揺紅6.両心相映7.Reborn8.ジングルベル9.JIN-仁~ボイジャーズ10.オブリビオン11.リベルタンゴ12.アストゥリアス13.ButterflyE1.縁之詩E2.賽馬

リリース情報

『Reborn』
発売中
HUCD-10153 ¥3,000(税込)
1.Reborn
2.Butterfly
3.SAKURA/17 ※Vo.WeiWei Wuu
4.郷音
5.Sacred Promise
6.燭影揺紅
7.時の旋律~白川郷イメージソング
8.アストゥリアス
9.両心相映 ※メドレー(草原情歌/秋桜/月亮代表我的心/時の流れに身をまかせ)
10.南風
11.花
12.縁之詩
Produced by 鳥山雄司


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