【インタビュー】Superfly、『ドクターX』主題歌に「冒険心は忘れずにいきますよ」
■いい意味でゼロになれた気がしているし
■こうしてまた走り出した
──今はそういうモードなんでしょうね。これまでやってなかった新しいサウンドに挑戦してみたり、Tomoyaさんなど今までやってなかった人と共作してみたり。そういうのが楽しいっていう。
志帆:うん。ちょっと欲張りな(笑)。でも確かに気持ちはオープンですね。『Force』もオープンマインドがテーマだったんですけど、今のほうが入口のドアがパーンと開いてるというか。
──あのアルバムは、オープンマインドを希求しながら自分の内面に深く向き合ったものだったけど、今はもう最初からドアを開け放して、そこから始めている。
志帆:そうそうそう。最近のそういう感じが出てますね。
──歌詞も曖昧さがない。気持ちをズバッと言っている。
志帆:あ、そうですね。迷ってないですね。「クローゼット」は決心がついた再出発の歌なので。
──どういうところからこの歌詞が出てきたんですか?
志帆:最近、引っ越しをしたんですよ。で、引っ越しをテーマに何か書こうと思って(笑)。引っ越しすると、何かこうリセットされて、気持ちが変わるじゃないですか。だから引っ越しが大好きで、よく引っ越してるんですけど……。
──そうなんだ?! でも忙しいから、片付けたりするのがたいへんでしょ?
志帆:意外とツアー中に片付けたりしてますね。ツアー中は喉を大事にしたいので喋れないし、外にもあまり出られないから、気分転換のために片付けたりとかしてて。なんか私、環境に左右されるところが大きいんですよ。環境とか季節の変化によって気持ちが変わったり、書きたいことが変わったりするのが面白くて。で、この歌詞も、引っ越しして新しい生活を充実させていこうという気持ちから書いたところもあるし、あと、友達の悩み相談を聞いたことも大きかったんです。
──どういう相談だったんです?
志帆:なんか、その子は彼氏と仕事をいっぺんに失ってしまったらしくて、「私、ゼロになっちゃったんだよね」って。でも「ゼロになったんなら、これから増やしていくだけだからいいじゃん」って話をして。そこから彼女の背中を押してあげられるような曲を作りたいと思ったんです。それでまず、歌詞を書く前にショートストーリー的なものを書いたんですよ。
──それはどんな?
志帆:まず、サビのメロディを作ったときに夕焼けが見えてきたので、“夕日のワンピース”のところをショートストーリー的に書いて。夕日のオレンジ色をイメージカラーにしたかったんです。で、ここから負けない自分になるための再出発なんだみたいなことを書いて。
──そこには自分の心境も含まれているわけですよね。
志帆:そうなんでしょうね。ふとした瞬間にこれまでを振り返ったり、自分ってこんな感じだったんだなーって思ったりすることが時々あるんですよ。これまでがむしゃらに頑張ってきて、ふっと鏡に映った自分の顔を見たときに、“あれ? 自分が追い求めてきた理想の自分像ってなんだっけ?”ってわかんなくなることがあったり。
──自分が追い求めていたSuperfly像とちょっと変わってたり……。
志帆:変わってたり。いろいろ変化もしてきたので。突っ走って、立ち止まっての繰り返しですけど。
──そういうなかで、過去の自分に拘らずに一度リセットしてゼロになりたいという。
志帆:はい。ここから踏み出したいっていう。
──“クローゼットを開けて 並んだ服睨む 引きずり出して いま全部 捨ててやれ”とありますが、並んだ服というのは……。
志帆:過去ですね。過去を捨てる。
──“捨ててやれ”という言い切りのインパクトがありますよね。
志帆:初めはもう少しマイルドな言葉だったんですけど、メロディが昂揚してるところでもあるし、気持ち的にもこの主人公は言い放ちたいんだろうなと思ってそう変えました。
──“あなたにBye Bye”“あの頃にBye Bye”という言葉も強烈です。
志帆:ちょっとみんなに深読みしてもらいたいなと思って(笑)。
──なるほど。でも、失恋したばかりの女性の共感を得そうな感じもありますよね、こことか。
志帆:あ、そういう人にぜひとも歌ってほしい(笑) 。
──ここまでハッキリ言い切った歌って、Superflyには珍しいんじゃないかな。
志帆:確かにこういうタイプの言い切りはしてなかったかも。まあでも、歌ってて気持ちよかったですよ(笑)。書いてるときも、女性ってこうなんじゃないかなってワクワクしながらシナリオを書いてました。女性はけっこう白黒ハッキリつけたいものですからね。
──そして“負けないわ 大丈夫”っていうところでなんか救われた気持ちにもなれる。
志帆:あ、よかったー! これは最初に書いたショートストーリーにもあったんですけど、絶対入れたかったんですよ。自分の自然な言葉って感じがするんですよね。
──この曲、ライブで聴いたらどんなふうに聴こえるかも楽しみです。
志帆:ライブの光景を最初から思い浮かべて作った曲でもあるんですよ。みんなが手を上げながら揺れている映像が見えていた。切ないけどそうやって踊れるような曲にしたかったんです。
──今回のシングルの3曲はそれぞれ、どれもライブ映えしそうだし、これからのライブにおいて重要な役割を果たすものになりそうな予感がしますね。
志帆:そうですね。
──じゃあ最後に、これからに向けて一言。
志帆:いろんな方といいコラボレーションができたらいいなと思うし、いろんな人のいいアイデアをもらいながら自分らしさとミックスして、そうやって最後にSuperfly印をポンと押せるようにもっていければな、と。とにかく冒険心は忘れずにいきますよ。この曲じゃないけど、いい意味でゼロになれた気がしているし、こうしてまた走り出したので。
取材・文◎内本順一
18thシングル「愛をからだに吹き込んで」
【初回生産限定盤(CD+DVD)20,000枚限定】WPZL-30964/5 1,944円(税込)
【通常盤(CD)】WPCL-12013 1,296円(税込)
<Disc1(CD)>
1.愛をからだに吹き込んで テレビ朝日系木曜ドラマ「ドクターX~外科医・大門未知子~」主題歌
2.You You 「JFL presents FOR THE NEXT」テーマソング
3.クローゼット テレビ東京系「Crossroad」エンディングテーマ
<Disc2(DVD)>「Superfly“僕らの音楽”Selection」
1.愛をこめて花束を(2008/05/30)
2.Alright!!(2009/06/05)
3.My Best Of My Life(2009/06/05)
4.Wildflower(2010/08/27)
5.タマシイレボリューション(2010/09/03)
6.あぁ(2011/06/24)
7.輝く月のように(2012/09/21)
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