【インタビュー】VAMPS、アルバム『BLOODSUCKERS』完成「死は永遠のファンタジー」

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■男が妊娠したとしたら痛みに耐えられなくて死ぬって言いますけど
■それに匹敵する難産を乗り越えた、ということを僕は言いたい──HYDE

▲K.A.Z
──しかし、それだけのプレッシャーを超えて作った作品なんですね。

HYDE:やっぱり生みの苦しみは伴うじゃないですか。男が妊娠したとしたら痛みに耐えられなくて死ぬって言いますけど、それに匹敵する難産をK.A.Zくんは乗り越えたんですよ。それぐらい大変だったということを僕は言いたい。

──VAMPSはHYDEさんもK.A.Zさんも曲を作っているから、お互いに苦しんでいるときはわかると思うんですよ。そういうときはどうしているんですか?

HYDE:背中をさする(笑)。メンバーなので。

──ははは! K.A.Zさんは?

HYDE:耳元で“ひーひーふーっ”って言ってくれる(笑)。

K.A.Z:ははははは。応援することしかできないですからね。

──2人の美意識とかセンスは共通していると思うのですが、かなり細かいところまでコミニュケーションをとって作られているのかなと想像するんです。

HYDE:コミニュケーションじゃないですね。テレパシーです(笑)。喋らなくてもわかる。

K.A.Z:……なんだか“ムー”の取材みたいになってきたな(笑)。

HYDE:阿吽(あうん)の呼吸ですよ。神社の狛犬って片方が口を開いていて、片方が口を閉じてるじゃないですか。あれが阿吽の呼吸ですね。だから、VAMPSも同じなんですよ。

──はは。VAMPSはヴァンパイアじゃなくて狛犬だったんですか。

HYDE:ちなみに風神、雷神もそうですね。それを今風に言うとテレパシー(笑)。ツーカーの仲ですよ。何も言わなくてもツーと言えばカー(爆笑)。

──くくく。それぐらい一心同体ってことですね。

HYDE:そう! それが言いたかったんです(笑)。スタジオで合わせているときも“K.A.Zくんはこの部分はこう考えてるんじゃないかな”と思っているとJu-kenに「こうやって弾いてくれる?」って話してたりするんです。特にリフのグリスの独特のセクシーな部分だったりとか、共通した感覚がありますね。もちろん曲が緻密に出来ているので、確認することはありますけど、だいたい言わなくてもわかりますね。

K.A.Z:お互い曲を書いているから細かいディテールまで見えているんだろうし、HYDEは設計段階で曲の構成をイメージすることに長けてるんだと思いますね。彼のデモを聴いても、なぜ、このフレーズがここに来ているのかわかるし、緊張感を徐々に高めていって、いっきにサビに移行したりとか、そういう構築の仕方が得意なんだと思います。

──では、アルバム『BLOODSUCKERS』の収録全曲と曲の並びを解説してほしいんですが、神聖なオープニング曲「REINCARNATION」から空間に音が広がっていくような心地良さのある「ZERO」に移行する流れがとても印象的でした。

HYDE:K.A.Zくんが作ったインストと「ZERO」を絡ませるといいなと思ってたので、これは2曲で1曲ぐらいの勢いですね。曲間もくっつけてあるんですけれど、アルバムの強力なプロローグみたいな立ち位置に仕立てたいなと思って。

──歌詞にもストーリー性があるのでは?

HYDE:「REINCARNATION」にはトンネルを抜けるようなイメージがあったので、ヴァンパイアになった瞬間ってこういう感じなんだろうなって。僕が読んでいる小説にはヴァンパイアになったときには感性がすごく研ぎすまされて、今まで見ていた景色が劇的に美しく見えるって書いてあって……。そういう状態から女神に呼ばれて「ZERO」が始まる流れになってますね。

──生まれ変わってヴァンパイアが誕生するところから始まるわけですね。

HYDE:そうですね。

K.A.Z:「REINCARNATION」は最初からインストを作ろうと思って出来たんです。ピアノの響きが好きなので入れたかった曲でもあり、全体に角がなくて少しずつ開けていくような構成で、何かが生まれるようなイメージがありましたね。「ZERO」は同じフレーズをずっとループさせて、なおかつノレる曲にしたいなって。

HYDE:うん。単純なフレーズを繰り返すのって逆に難しいからね。

K.A.Z:それでいて飽きないような曲にしたかったんですよね。何パターンか試した上で行き着いたんですけど、繰り返しの中に違う音や声を入れたりして景色を変えていきましたね。後半では展開が変わるんですけど、たぶん、初めて聴いてもノリやすいんじゃないかな。

──繊細さと躍動感が融合していて、こういうアルバムの始まり方はファンも驚くのでは?

HYDE:そうでしょうね。逆にVAMPSのことをあまり知らない人はすごく入りやすいと思います。ずっと聴いてきたファンは「これはこれでステキだけど、VAMPSどこに行っちゃうの?」って不安になるかもしれない。でも、そういう人も3曲目で救われるんですよ。「キタ! VAMPS! そこそこ!」って(笑)。

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