【ライブレポート】the god and death stars、ツアー最終日に「ボディバランスも上々」
◆the god and death stars 拡大画像
ニューアルバム『賑やかな食卓』のリリースを10月29日に控え、その先行お披露目となった今ツアーは、kazuの頸椎症の影響から5月の下北沢SHELTERワンマン以降のライブをアコースティックスタイルで行なっていた彼らが、約5ヵ月ぶりにバンドスタイルで開催したもの。ツアー最終日となった東京公演は久しぶりの大音量を期待するオーディエンスで埋め尽くされた。
ライブは、ツアー初披露となる「賑やかな食卓」からスタート。トリオ編成ならではの極限まで研ぎ澄まされた集中力が重々しくも猛々しい楽曲をより一層引き立てる。続く「殆ど腐敗」「半分人」「告発」などが披露された序章ともいえるブロックで、その緊張感が高い世界にフロアは完全に浸食されたようだ。
「kazuのボディバランスも上々になり、ROCKバンドになって帰ってきました」──aie
MCでaieがこう告げると、この日を待ちわびたオーディエンスから温かい拍手が起こった。そして、彼らには珍しくメジャー感を漂わせた「風邪のライオン」へ。アグレッシブなビートを叩きつける大嵩潤のドラムに呼応するかのようにオーディエンスはヒートアップ。「プール」「千年樹」「エドワード スミス」への流れは、まるで後戻り出来そうにない深淵へ迷い込むかのような感覚を覚えた。
アルバム『賑やかな食卓』収録曲は、一見して情景が見えづらいタイトルが多い。続いて披露された「隣人林」もその一つだが、サウンドは雄弁だ。aieの真骨頂ともいえる“みゆき感(中島みゆきっぽさ)”に溢れたメロディーに会場は酔いしれる。また、このツアーに先立って行なわれた2マンツアー<ゴ田澤2014>で、田澤孝介(Rayflower)のお気に入りが発覚した「ハッピーJ」や「canine」「emmny」などが演奏され、この日の最深部に達したライブが光に向かって一気に加速していく。
「ここで告知です。12月27日に下北沢SHELTERにてワンマンライブが決定しました」──aie
と唐突に発表するとフロアからは拍手が。ここでオーディエンスの緊張が一旦緩むもライブは最終章に突入した。
「複雑な倒立」「ザゾンビ」、そしてkazuのスラップがダンサンブルなグルーヴを生む「無実な無視」がプレイされると、息を飲むことすらためらう深淵からの帰還にフロアが活気を取り戻す。そして、ツアーに先駆けてトレイラー映像が公開されていたアルバムのリード曲「出来事と偶然の為の媒体」へ。哀愁を帯びた切ないメロディがこれからの季節によく似合う。
ライブマスト曲の「母乳」からラストの「tonight is the night」「dawn of the god」では、このバンドにしか成し得ないスリリングなインプロヴァイズを展開、オーディエンスは最後の最後まで緊張感を保ち続けたまま、この日のライブが絶頂を迎えた。
作りこまれた演出も、予定調和のコールアンドレスポンスも、アンコールもない。この日のステージは楽曲の力と己の存在のみで表現されたものだ。前述したように12月27日、下北沢SHELTERで行われる<5od in the SHELTER>では、『賑やかな食卓』収録曲も一層研ぎ澄まされることは間違いないと確信しつつ、渋谷のハロウィンの喧騒とは全く違う世界を堪能した一夜となった。
Photo by Reiko Arakawa (zoisite)
Text by Masanao Sakurai (Field Arrow)
■ワンマンツアー<賑やかな食卓>
2014/10/25@CHELSEA HOTELセットリスト
SE
01:賑やかな食卓
02:殆ど腐敗
03:半分人
04:告発
05:風邪のライオン
06:プール
07:千年樹
08:エドワード・スミス
09:隣人林
10:ハッピーJ
11:canine
12:emmny
13:複雑な倒立
14:ザゾンビ
15:無実の無視
16:love hole
17:出来事と偶然の為の媒体
18:母乳
19:tonight is the night
20:dawn of the god
■<5od in the SHELTER>
2014年12月27日(土) 下北沢SHELTER
OPEN 18:30 / START 19:00
前売り¥3,500 当日¥4,000(D別)
11/1~イープラス・ローソンチケットにてチケット一般発売開始
[問]下北沢SHELTER 03-3466-7430 http://www.loft-prj.co.jp/SHELTER/
■ミニアルバム『賑やかな食卓』
2014年10月29日発売
DSGD-008 \2,500(tax out)
1.賑やかな食卓
2.出来事と偶然の為の媒体
3.エドワード・スミス
4.風邪のライオン
5.隣人林
6.告発
・TOWER RECORDS限定特典:MV「出来事と偶然の為の媒体」DVD配布
・ヴィレッジヴァンガード限定特典:the god and death starsオリジナル「賑やかな食卓」ステッカー
・zoisiteオンライン販売限定:the god and death stars「賑やかな食卓」コメントDVD
◆the god and death stars オフィシャルサイト
この記事の関連情報
【ライヴレポート】DEZERT主催<DEZERT PARTY >1日目、武道館公演前への想いとプライドが交錯した第一夜
deadman、2024年最終公演<星空から暗がりに落ちた底 シナプスの蟻が口をひらく>を12月開催
DEZERT主催イベント<DEZERT PARTY>2daysに、ΛrlequiΩ、deadman、メリー、RAZOR、LM.C、Royz、Verde/、vistlip
【ライヴレポート】deadman、ツアー<道徳の系譜>千秋楽に不穏な緊迫感とのコントラスト「24年も経つと、こんなハッピーになる」
<DEZERT Presents SUMMER PARTY ZOO 2024 ~帰って来たM.A.D~>、“Sakura Session〜君がくれたもの〜”メンバーにKen、aie、ミヤ、YUKKE、Sakura
<DEZERT Presents SUMMER PARTY ZOO 2024 〜帰って来たM.A.D〜>、追加出演者にaie、[kei] 、HIROTO、Sakura、Shou、架神
【インタビュー】deadman、“道徳の系譜”を意味する19年ぶりアルバムに混沌と美「矛盾や嘘はない。それこそ20年前から」
deadman、19年ぶりのミュージックビデオ「静かなくちづけ」公開
deadman、19年ぶりオリジナルアルバムの詳細発表+ミヤと明希がREC参加したリテイクアルバムの同日リリースも決定