吉川晃司、“集大成”ではなく、あくまで“現在進行形”だからこそリアルな30周年ライブ

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2014年デビュー30周年を迎えた吉川晃司のアニバーサリーツアーの中から、9月22日・23日に行われた日本武道館2DAYSの模様がWOWOWで放送される。「アニバーサリーなので、感謝の気持ちを伝えたかった」という吉川は、今回のツアーでキャリアを彩る楽曲の数々を発表当時に近いアレンジで披露。各会場2日間で1曲のかぶりも無いセットリストを歌い切る、という「30年に一度」の企画に挑んだ。

デビューシングルにして吉川の無限の可能性を世に示した「モニカ」。自身主演映画第二弾と同名タイトルの主題歌「You Gotta Chance~ダンスで夏を抱きしめて~」。布袋寅泰とのスリリングなユニット活動で音楽シーンに風穴をぶち開けたCOMPLEXの「BE MY BABY」。ロックアーティストとしての矜持を示したデビュー10周年記念シングル「KISSに撃たれて眠りたい」。

吉川の代名詞とも言える、疾走感溢れるロックナンバーだけではない。痛い程真っ直ぐ想いをそのままに歌い上げる「INNOCENT SKY」や「Cloudy Heart」といったバラードナンバーが、会場に響き渡る。そして、会場を埋め尽くした観客から1曲1曲に対して大きな歓声が上がり、曲によっては深いどよめきが起こる。

吉川が傷だらけになりながら紡いできた歌たちは、ひとりひとりの人生に刻み込まれている。期間の長さは違えど、吉川と同じ時代を過ごしたファンたちにとっては、‘自分史’を追体験する様な特別な時間と空間であったはずだ。

だが、ともすれば郷愁的な空気に包まれてしまうアニバーサリーライブにおいて、吉川が示してみせた像は全く別種のものであった。そこには「集大成」とは真逆の、49歳になった吉川が「次」に進むべき路を模索する姿があった。「過去の作品に救済されない男」がそこにいた。これまでの作品を紐解き再確認することでその先に進もうとする、まさにその瞬間の鼓動が伝わってきた。

「こんな風に大人になったら面倒くさい見本かもしれない。」「くたばるまで変わらずにいてやろうと思う。」演奏が進むにつれて、思いのたけを言葉にぶつけていく吉川。込められていたのは現在進行形の吉川晃司の想いであり、独自の美学を貫く彼の人生そのものだ。

ヒリヒリする様なステージを見て、ふとこう思った。デビュー当時、周囲がお膳立てした装いは吉川には小さすぎた。しかし、だからこそ、表現者・吉川晃司の強靭な骨格を浮き彫りにしたのだ、と。そして、49歳になった現在も、吉川は裸の心を曝け出しながら、生き様を重ねていく。世代を超えて彼を支持する同志たるファンが増え続け、そして共に前に進んでいく理由がそこにある。吉川晃司が体現してみせたリアルなライブ=生き様そのものを、WOWOWで目撃して欲しい。

【放送楽曲】
モニカ
BE MY BABY
心の闇(ハローダークネス)
INNOCENT SKY
Rambling Rose
ONE WORLD
The Gundogs
ナイフ
Dream On
せつなさを殺せない
You Gotta Chance~ダンスで夏を抱きしめて~
キャンドルの瞳
LA VIE EN ROSE
パラシュートが落ちた夏
ベイビージェーン
VENUS ~迷い子の未来
エロス
Cloudy Heart
SPEED
SAMURAI ROCK
パンドーラ
KISSに撃たれて眠りたい
Fame & Money
Juicy Jungle


【放送情報】
吉川晃司 30th Anniversary Live "SINGLES+" at 日本武道館
10月12日(日)夜9:00 WOWOWライブ

◆吉川晃司 オフィシャルサイト
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