【インタビュー/後編】SUGIZO、自然再生エネルギーを利用して音楽家が出来ること
◆海外の若者はエネルギー問題に限らず、政治に対しても社会に対しても、
より関心を持って自分たちからコミットしている姿勢がありますよ。
──そんな太陽光エネルギーを使ってのSUGIZOさんのライヴをファンとして聴くことが出来るチャンスが、まさに9月末にありますよね!?
SUGIZO:佐藤タイジ君の<中津川 THE SOLAR BUDOKAN>に僕も出演させてもらうんです。このフェスはその名の通り太陽光エネルギーで開催されるフェスティバルなんですよ。
──このイベントもWWBは応援をしているんですよね?
伊藤:トークショーのステージをWWBが協賛と言う形で関わっています。
──このトークステージにはSUGIZOさんも登壇するんですか?
伊藤:多分、その予定で調整をしてると思います。
──トークショーと言えば、先日も東京ビックサイトで開催された<PV JAPAN 2014>という太陽光発電に関する総合イベントでもWWBのブースでトークされましたよね。印象的だったのは、ファンの方々が熱心にソーラーエネルギーに関するSUGIZOさんの発言をメモを取りながら聴いていたことと、ソーラー業界の人々やサラリーマンの方々が足を止めて話を聴いていたことなのですが。あのトークで何か手応えはありましたか?
伊藤:僕側からの視点でいうと、ああいうトークイベントはもっと企業側の努力をもう少し先にするべきではなかったのではないか?と感じますね。
──それはどういう努力が必要と言うことですか?
伊藤:サラリーマンからしてみれば、ある意味、初めてSUGIZOさんと出会うわけではないですか?そこをリンクさせるための仕組みと言うか、裏付けのようなものや、そうしたマーケットからの需要や動きがこれだけあるんですよ、ということをもっと業界の人に伝える努力をしてからでないと、いきなりあの場所でSUGIZOさんに登壇して頂いてももったいないですよ。そういう動きはまだまだ時期尚早のような気がします。あの状況だと、今迄演歌しか聴いていなかった人たちに何の説明もなくロックを聴かせてしまっているようなものというか。しかも、日本のソーラー事業の最終的なお客様になるのは、ソーラー発電を導入する際、もしくは貯めた電力を買い取ってもらう電力会社になります。なので電力会社を批判するような意見は言わずに、自分たちのシステムを売り込んでゆく人たちの集まりなわけです。
──そういう場所にノンバリアで、NO NUKESを掲げているアーティストを送り込んでしまうと言うのは、理解されるよりも反発を産んでしまう可能性も孕んでいますよね。まだまだ下地作りというか、順序立てて相互理解をしながら歩み寄る姿勢が必要と言うことですね。
SUGIZO:このイベントに参加させて頂いて思ったのは、あくまでも企業向け、業界向けのイベントじゃないですか? 僕自身もトークの合間に様々なブースを廻ってかなり勉強させて頂きましたけどね。これを、一般や学生に向けたイベントであれば、もっと理解を深めてもらえることが出来るんじゃないでしょうかね?
伊藤:SUGIZOさんに出演頂いたのは完全に業界向けに徹したイベントだったんですが、それとは別に一般に向けたイベントもあるんですけどね。そこはもっと一般ユーザー向けの商品が紹介されていたり、規模ももっと大きいものになるので、次回このイベントがある時にはぜひトークに来て頂ければと思っています。
SUGIZO:僕の役割はまだソーラーエネルギーをはじめとした自然再生可能エネルギーのことを良く理解していない人たちに知ってもらうきっかけを作る“架け橋”的なことだと思っているので、そういったことの御役に立てるのであれば、ぜひ今後もこうしたムーブメントに参加していきたいです。
伊藤:親と同居していたりしたらなおさらで、電気なんて無料同然で使えるものだと思っているから、エネルギーを購入するという行為に関心が向くことってなかなか難しいですよね。一人暮らしを始めて電気代の請求が来て、そこでようやく何となく実感が出て来るんだろうけれど、ほとんどの人は自分たちの生活の中でお金を投じてまでそこの給電システムを変えようという意識にまでは、なかなかならないのが実情ですよね。
SUGIZO:日本の若い人たちは海外の同世代に比べるとそういう志が薄いですよね。海外の若者はエネルギー問題に限らず、政治に対しても社会に対しても、より関心を持って自分たちからコミットしている姿勢がありますよ。
伊藤:おっしゃっているように、日本はエネルギー問題に限らず政治に対しての関心が薄いと言うのは民のことだけではなく、政治家たちですら無関心な状態で政治をしているところがありますからね。アメリカなんかはまだ民が政治に対して積極的な部分はありますが、社会に対しては日本と似たような現状と言うか、日本よりも悲惨な状況のように思えますよね。彼らは黙ってチョコレートやコーラを呑んで食って太って、肥満になって、病気になって、色々と生活が困難になって…。そうなってくると今度はその救いの場を求めると。
SUGIZO:僕のイメージからすると、アメリカは消費文化の象徴だと思っていて、企業が商品を売りつけるためだけに社会のシステムが動いているような国ですよね。嘘だらけの企業広告やプロモーションに完全に毒されていますよね。ただ、アメリカというのは良くも悪くも、そことは対照的に健康食品の開発や体に良いものに日本よりも簡単にアクセスできるマーケットも持っているんですよね。そういう意味ではライフスタイルをチョイス出来る国でもあると思うんです。
伊藤:社会ということで言えば、アメリカもヨーロッパもNPO法人と税金の話で例えると、生前に自分の遺産を「NPO法人に寄付します」という申請をすると、死後そのまま税金として国に持ってかれる金額よりも優遇されるというシステムがあります。なので、生前に自分が良いな、と思うNPO団体を選んで寄付をすると言う流れがあるんです。こうした社会なのでNPO団体が力を持つことが出来て、社会を支えている部分があるんですよね。税金の控除というものがあるからお金を持っている人たちもそうしたNPOを応援するような良い取り組みのほうにお金を回すことが出来るんです。日本も民主党政権時代にそうした取り組みを導入する準備を始めていたようなんですが、しかし、自民党は先日「NPOに寄付するお金に対しての税金の控除はしません」ということを決めたんです。諸外国の動きとは逆行して、これから日本ではNPO団体の活動はどんどん難しくなって行くと思いますよ。これはあくまでもひとつの例でしかありませんが、勝手に政府が決めて行ってしまうシステムに対して民は何も知らされないままというのが、今の日本は全ての事柄において蔓延してしまっている。
──そうしたことで言えば集団的自衛権の流れで徴兵制になるのではないか?みたいな話なんかもそれに近いですよね。もう彼らの中でストーリーが出来上がってしまって、国民は否応なしにそこに追い込まれて行ってしまうという。
伊藤:本来であれば、官、民、財の3つが一緒になって国を創り上げて行くという政策であるべきで、オランダなどはそうしたシステムで上手く行っているひとつの例だと思います。日本においては完全に民が置き去りにされ、官と財が好き放題やってしまっていますよね。また、その態度が、“民はそのおこぼれが貰えるようになってればそれで充分だろ!?”という姿勢じゃないですか。
SUGIZO:日本の民が、この状態でも平気になってしまっているというのが恐ろしいですよね。僕らのようにそうしたことに対して発言しても“何かマイノリティーの奴らがまたメンドクサイうるさいこと言ってるな”で片付けられてしまう節がありますよね。
伊藤:日本の社会って、財が一番強いので、その財に付く下の企業たちが日本社会の3~4割を作っているわけで、その企業に働く民も飼いならされてしまっている。この3~4割の層だけの意向で日本が動かされてしまっていることに誰も文句を言わないんだよ。さっきの集団的自衛権という話もそうですが、徴兵制が導入されるんじゃないか?等と話している人もいますが、そんなことはまず起らないんですよ。それは強制的な徴兵制度という意味においてなんですけれど。
SUGIZO:徴兵制を導入するとなると、順序を踏んで数々の法律を改正して整備して行かなければならない手間がありますからね。
伊藤:間違いなく進んでいるのは経済的弱者が生計を立てる為に選ばざるを得ずに、自ら兵隊という職業を選択するという社会構造になり始めていると言うことです。
──戦場の前線に立たされているのは黒人や移民ばかりという完全にアメリカ化した構図ですよね。
伊藤:移民の人たちもアメリカのグリーンカードが貰えると言う切実な問題もありますし。
──そこにしか選択肢がないところに追い込まれて入隊している状況ですよね。
伊藤:日本人は本当にそのような状況に追い込まれないと考えないんでしょうね。
──しまった!と思ってからでは遅いんですけどね。
SUGIZO:そういう政府を選んでしまっているのも日本人の民なんですよね…大体投票しているのが年配の方が中心ですからね…だからといってどの政権に若者たちが投票すれば日本が良くなるのか? というのはまた難しい問題ではあるんですけど。そういうことって政権云々と言うことでもないでしょうしね。話が様々な方向に行ってしまいましたが最後にまとめると、我々が音楽活動をしている根の部分には、常にこうしたより良い社会構築に対して意識が向いて、理想や理念を持っているということなんですよね。
取材/文&写真◎KOTARO MABABE
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◆中津川 THE SOLAR BUDOKAN オフィシャルサイト
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