【インタビュー】石川智晶、細部に心宿る新作ミニアルバム完成「心がそう言ってるか否かで何事も決めてきた」

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■簡単には泣けなくなってくるんですよ。だけど、経験が増えるぶん内面世界は広がって、奥行きが出てくるわけで。

―― 一転、4曲目の「何を泣くなんの涙」は本作唯一のバラードで、シンプルなピアノ伴奏と情緒たっぷりのメロディ、何より想像を掻き立てるタイトルが石川さんらしくてグッと来ました。

石川智晶:人間、歳を取れば取るほど経験値も耐性もついて、簡単には泣けなくなってくるんですよ。誰かが亡くなったからって、そんなにすぐには泣けない。だけど、経験が増えるぶん内面世界は広がって、奥行きが出てくるわけで。そこから何かのキッカケでポロッと零れる“理由なき涙”のほうが、どんどん多くなってくると思うんです。例えば1ヶ月前に投げかけられた言葉が、ふと新幹線で窓の外を眺めているときに“あれ、やっぱりキツかったなぁ”って響いてきたりする。でも、それが成長ってことなんですよね。訳のわからない感情をどれだけ取り込んで、感情豊かになっていけるか? その結果が“何の涙なんだろう?”っていう疑問に繋がってゆくわけで、そうやって簡単に泣けず、簡単に元気にもなれない人は、上手く気持ちを乗せられる曲じゃないかな。

――決して簡単=わかりやすくはないけれど、だからこそ深くて沁みる。そこが他のアーティストにはない、石川さんの独自性ですよね。ラストの「GIFT」も内容の解釈には迷うところですが、ただ、何かを伝えたいという熱量は感じられて。果たして、この曲では何を訴えたかったんでしょう?

石川智晶:本当の意味での“誠実さ”みたいなものですね。例えば花を摘むとして、それって花の根にとっては地上から引き離されることだから、全く迷惑な行為じゃないですか。けれども、その根にもぎ取る理由を告げたとしたら“じゃあ、いいよ”と許してくれるかもしれない。対象が花に限らず、人間ってそういった説明を怠っている面が多々あるんですよね。実は過酷なことをやっていながら、花のように何も言えない人たちがこの世界にはたくさんいる。だから弱き者を大事にしろと言いたいわけではなく、ただ、説明をして納得させることが誠実さなんだということを伝えたかったんです。

――わかります。同じ行為でも、その理由がわかっているか否かでは、受け止め方も大きく違いますから。

石川智晶:そう。説明をすれば、ある程度ちっちゃい子でも納得しますからね。だから私は人を褒めるときも、「ここが良かった」と具体的に話すんですよ。理由も告げない無責任な「良かった」じゃ納得してもらえないし、私が逆の立場なら“いっそ黙っててくれ!”と思ってしまう。そうやって説明することが愛情の証であり、本当の誠実さなんですよね。タイトルの「GIFT」が指しているのも、そういった細かい気遣いというか労力のことで、例えば赤ちゃんにとって生まれてきたこと自体はGIFTじゃない。むしろ生まれてきた以上は業を背負ってしまうけれど、白い木綿に包まれた瞬間だけは純粋に子供になれたという、そのことがGIFTなんだと。頭の3行で“授かった自分の名前を捨てたいと思ったことがある”という一種御法度な激白をしているのも、私からリスナーの皆さんに対するGIFTですし、そういった具体的な事柄や瞬間にこそ本当のGIFTがあるはずなんです。なのに、世の中みんな適当なんですよ!

――その真実をわかってほしいという想いの熱さがあるからこそ、この晴れやかでポップな楽曲に底知れぬ力強さとエネルギーが感じられるんですね。

石川智晶:要するに、私って細かいんですよ。細かい人間なわけじゃなく、細かい尺度で物を見ているタイプ。だからリアルを追求したがるんでしょうね。みんなそこまで見てないし、考えてないよ!っていうところまで、“実はさ”って囁きたくなってしまう。

――例えば“木が茂れば、そのぶん影ができるんだよ”とか。

石川智晶:そうそう(笑)。で、実際にはシンプルなものが良しとされてる世の中に、“ち、つまんねーな”と思ってる。だから“CDが売れた!”とか、簡単なところで幸せになっている人たちを見ると、すごく羨ましいんですよ! でも、私はソッチじゃないし、逆に物凄く細かい細工をしてる匠の技とかに惹かれるんですよね。“ここまで削ってんの!?”って。

――つまらない世界だからこそ、そうやって無意味かもしれないところに心血を注ぐという行為や心意気そのものに惹かれるんじゃありません?

石川智晶:その通りです! 自分の音楽活動もそういった細工に近いものがあって、制作しながら“これだなぁ”っていう嬉しさもあったり、苦々しい想いもあったり(笑)。結局、そこが活動を続けている理由なんですよね。わかってもらわなくても良いけれど、ただ、そうやって細かいところまで追求していくのが楽しい。だから、全てがつまんなくなったら終わるでしょうし、リリースしたらライブツアーをするっていうお決まりの流れも、私には気持ち悪いだけ。私のココロはそう言ってないんです。

――確かにお決まりの流れだったら、東京公演と大阪公演が3ヶ月以上も空いてたり、東京公演の翌日に時代モノ縛りの追加公演を唐突に決めたりしませんよ。

石川智晶:ま、好きにやるだけですね。ただ、私のライブって勢いだとか熱量は凄いみたいで、終わったときに皆さん、放心状態で椅子に凭れかかってる状態なんですよ。別に踊ったりもしないですし、座って観ていただいてるんですけど、やっぱりダイレクトに伝わるみたいで。歌も話も潔さの連続ですから、きっと圧倒される感があるんでしょうね。同時に“また行きたい”という声もたくさんいただいたんですが、半年スパンでアルバムを出したりとハシャぎすぎなんで、ファンの皆さんは“この後落ちるんじゃないか?”と不安がっているようなんです。実際、そういう危うさは私の中にあるので、次のリリースやライブはいつになるかわからないですよ(笑)。

取材・文●清水素子

ミニアルバム
『私のココロはそう言ってない』
2014年10月8日発売
DDCZ-1967 価格:2160円(税込)
<収録楽曲>
1.私のココロはそう言ってない
2.北極星~ポラリス~ simple Ver.(TVアニメ「戦国BASARA Judge End」エンディングテーマ)
3.ティル・ナ・ノーグ
4.何を泣くなんの涙
5.GIFT

■先行配信リリース
iTunes、レコチョク、Amazon、mora、music.jpにて楽曲配信リリース中

■石川智晶公演情報
<裏窓から みえるモノ2015~北極星~>
2015年1月10日(土)
AiiA THEATER TOKYO(渋谷)
16:30開場、17:30開演
料金;¥6,000(税込)、1drink別
プレイガイド
チケットぴあ 0570-02-9999 (P:236-743)
ローソンチケット 0570-084-003 (L:74197)
イープラス
問合:HOT STUFF PROMOTION TEL:03-5720-9999

<時代モノ艶歌~好機到来~>
2015年1月11日(日)
AiiA THEATER TOKYO(渋谷)
16:00開場、17:00開演
料金;¥6,000(税込)、1drink別
プレイガイド
チケットぴあ 0570-02-9999 (P:236-743)
ローソンチケット 0570-084-003 (L:74197)
イープラス
問合:HOT STUFF PROMOTION TEL:03-5720-9999

<裏窓からみえるモノ2015~北極星~IN 大阪>
2015年4月25日(土)
大阪IMPホール
17:00開場、18:00開演
料金 ; 前売り¥6,000(税込)/当日¥6,500(税込)
問合:グリーンズコーポレーション 06-6882-1224

●BARKS×TICKET DELI オフィシャルHP先行(先着受付)
[受付期間]
2014年9月2日(火)23:00~9月30日(火)23:59
受付URL:BARKS×TICKET DELI http://ticket.deli-a.jp/
※本公演の受付は先着受付となります。予定枚数に達し次第、受付終了となります。予めご了承下さい。
※初めてチケットデリをご利用される場合は新規会員登録(無料)が必要です。
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◆BARKS×TICKET DELI
◆石川智晶 オフィシャルサイト

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