BBQ CHICKENS presents コンセプトオムニバスアルバム『Japanese Katana Soundtrack』発売決定
BBQ CHICKENSが11月26日、コンセプト・オムニバス・アルバム『Japanese Katana Soundtrack』をリリースすることが発表となった。
◆BBQ CHICKENS 画像
『Japanese Katana Soundtrack』は、BBQ CHCKENSが旗を振って制作したコンセプト・オムニバス・アルバムであり、架空のサウンドトラックとなる。サウンドトラックは通常、映画やドラマ、アニメなどの付随音楽を収録したものだが、<Broken Bubbles Tour>で構想を思いついたKenは映画を作る前にサウンドトラックを完成させてしまったという。
参加バンドの顔ぶれも豪華なものだ。BBQ CHICKENSをはじめ、MEANING、SLANG、SAND、locofrankほか、変名バンドとして、「しけもくロッカーズ」ことdustbox、「マッキン&来来キョンシーズ」ことGOOD4NOTHING、「ジャッキー9」ことSHANKが参加している。
ハードコアのオムニバスとしても類を見ない変則的な全40曲入り作品に加え、同作にはそのところどころに“架空映画”の一幕の寸劇が挿入された。この寸劇を聴かずして先に進めず、寸劇だけ聴いても理解不能という前代未聞のコンセプト・オムニバス・アルバムの誕生だ。全貌をお楽しみに。
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【コンセプト・オムニバス・アルバム『Japanese Katana Soundtrack』】作品概要
横山健率いる神出鬼没のショートチューンバンドBBQ CHICKENS。99年の結成以来、彼らがやることなすことバカバカしいことだらけなのだが、それがまたどういう訳かごく一部にウケている。そんな状況に完全に気を良くした彼らが旗を振り、新しい形のオムニバス作品がここに誕生した……のだけど、まあ、いつものごとくぶっ飛んでいる。その名も『Japanese Katana Soundtrack』という架空の映画のサウンドトラック。世界のハードコアシーンでも類を見ない、変則的な全40曲入り作品なのだが、そのところどころに“映画”の一幕がスキットとして挿入されている。現実と虚構を織り交ぜ、スネークマンショー的な笑いのエッセンスもふんだん散りばめた物語のあらすじはこうだ。
2014年秋、東京・杉並に拠を構える指定広域暴音団「ピザ・オブ・デス組」の組長「丸出 駄目夫」は、その老獪な手腕を活かし組織を拡大させ、国内随一の勢力を誇っていた。しかし、組織内は決して一枚岩ではなかった。強引なしのぎの要求、独断で行なわれる幹部の人選等の諸問題を抱える中で、組長引退を前に、組織は静かに「組長派」と「反組長派」に分かれていったのであった。組長側近の高井戸「BBQ CHICKENS 健」。跡目最右翼と見られる健は、露骨にその座を狙うが余り、実質「反組長派」になっていた。長崎「ジャッキー9」、大阪・堺「マッキン&来来キョンシーズ」を引き連れつつ、神戸・三宮のマル暴「松原」と裏で手を組む。そして組長引退の絵を描き、跡目のライバル達をハメようと画策する。松原の指揮の元に日本各地で大規模なガサ入れが繰り広げられ、ライバルと目されていた主要幹部達は次々と逮捕されていく。そんな健に腹を立てた義兄弟の札幌「SLANG KO」は次第に彼と対立することになる。さあ、結末やいかに──。
……といったように、横山が愛する任侠映画やマフィアムービーの要素を、無理やり自分の身近なシーンと絡めたストーリーなのだが、これが無駄に完成されていて、随所に挿入されるDJ SABOの狂言回しっぷりもいい具合に狂っている。最初は苦笑しながら聞き流していたはずなのに、いつの間にか引きこまれているこの物語、最後に“ある人物”が最高にクールでおいしいところをかっさらっていくのがパンクス的にはたまらない。
スキット中に交わされる会話や登場人物の相関図は、日本のパンクシーンに精通していない人間にはよく分からない部分が多く、ただの内輪の悪ノリだと言われても否定はできない。しかし、それと同時に、これが今のパンクシーンの(ごくごく一部の)リアルを表現しているのもたしかだ。
さて、このジャパニーズパンク抗争劇の原作・脚本・主演を務め、BBQ CHICKENSの一員として音楽の一部を手掛けるのは横山健。今作で新たに役者という肩書が増えた(?)わけだが、彼のマルチな才能には心底舌を巻く。しかも、全国各地に彼が直接足を運び、スキットパートの録音をしてきたのだから、その気合いのほどが伝わるだろう。
スキットの解説ばかりになってしまったが、28曲に及ぶ90秒以下のショートチューン(1曲を除いて)を提供したバンドの顔ぶれも豪華だ。BBQ CHICKENSを筆頭に、MEANING、SLANG、SAND、locofrankといった現在のパンクシーンを代表するバンドが揃った。その他にも見慣れないバンドの名前がいくつかあるが、これは全て変名バンド。「しけもくロッカーズ」はdustbox、「マッキン&来来キョンシーズ」はGOOD4NOTHING、「ジャッキー9」はSHANKといった具合だ。彼らは皆、昨年開催されたBBQ CHICKENSの<Broken Bubbles Tour>に参加したバンドで、変名の理由は「普通の対バンじゃつまらないから」というもの。ちなみに、ほとんどのパンクリスナーにとって全く馴染みがないであろうDJ SABOも、実は川崎クラブチッタでのツアーファイナルで対バンをしている。つまり、前ツアーで築いた関係性が今作に直結していると言っていい。
今作の首謀者BBQ CHICKENSは5曲を提供。切れ味鋭い楽曲が揃う中、「俺ら東京さ行ぐだ」の節回しを引用した「Pon-Chu Man」の存在が際立つ。しけもくロッカーズら変名バンドも、いつものメロディックパンクではなくハードコアチューンをそれぞれ提供。その他のゲストバンドも、この“任侠パンク”のコンセプトをよく理解した上で参加していることが作品を一聴するとよく分かる。
さあ、果たして今作は本当にただの悪ノリ作品だろうか? いや、決してそうではない。なんせ構想に2年、収録に1年を費やしているのだ。ただの悪ノリにここまで入れ込む馬鹿もそうはいない。この約60分間の茶番劇には、現代日本のリアルなパンクカルチャーが存分に詰め込まれている。2014年6月にPIZZA OF DEATHが主宰した大型パンク/ラウドフェス<SATANIC CARNIVAL>同様、日本のパンクシーンは今、着実に新たな展開を見せている。
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■V.A『Japanese Katana Soundtrack』(ジャパニーズ・カタナ・サウンドトラック)
2014年11月26日発売
PZCA-70 \2,222(税抜)
◆Pizza Of Death Records オフィシャルサイト