Berryz工房と℃-ute、“後悔なんてしたくないから”日本武道館で「忘れたくない夏」

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9月10日、℃-uteが<℃-ute(910)の日スペシャルコンサート2014 Thank you ベリキュー!in 日本武道館[前編]>を、そして翌11日はBerryz工房が<Berryz工房デビュー10周年記念スッペシャルコンサート2014 Thank you ベリキュー! in 日本武道館[後編]>を開催した。

◆Thank you ベリキュー! in 日本武道館[前編][後編]画像

■ 9月10日公演

まずは9月10日、℃-uteの日。この日の天候はというと、お昼くらいまで晴れ。今日が、ハロー!プロジェクト最強の雨女・矢島舞美率いる℃-uteの日だというのを忘れてしまうほどに、晴れ間が覗いていた。ところが、である。昼過ぎから雲行きが怪しくなりはじめ、15時半前後には、とうとう雨が降り始める。しかも東京23区などに大雨洪水警報が発表され、秋葉原駅では構内に雨が流れ込み、(Twitter情報によると)“スプラッシュマウンテン状態”。もちろん日本武道館周辺もゲリラ豪雨に襲われ、結果、17時前後のTwitterトレンドに「舞美ちゃん」が急上昇するという事態にも発展。team℃-uteの面々(℃-uteファン)は、「舞美ちゃんのやる気がすごい」「舞美ちゃんが興奮してる」と、この日のライブへの期待感を高めた。

ステージ上の5人と、この日集まった1万人の観客が一斉に「9月10日は℃-uteの日!」と声を合わせたこの日の公演。1曲目の「悲しきヘブン(Single Version)」から、武道館特有の、天井から滝のように落ちてくるような大声援が℃-uteに浴びせられる。昨今では、女の子ファンが急増している彼女たち。その中にはもちろん黄色い声援も混じっている。

最初の挨拶で「本日はお足元の悪い中……」と、陳謝する中島早貴。毎度のことなので会場からは笑い声が漏れる。そして矢島舞美も頭を下げて苦笑している。

この日のセットリストは、昨今の℃-uteの王道ともいえる、後半を中心に℃-uteらしいアップテンポな楽曲を散りばめたもの。王道とはいえ、それはすなわち、今の℃-uteの魅力を存分に放出する構成ということ。ダンスの℃-ute、パフォーマンスの℃-ute、数年前にアイドルイベントに登場し、他との圧倒的な実力差を見せつけた、“ライブの℃-ute”を展開した。

また、当初の予告通り、開演早々からゲストのBerryz工房もステージへと登場して、日本武道館にベリキュー揃い踏み。ここでBerryz工房から℃-uteへ言いたいことを伝える。「みや、いっちゃって!」と、嗣永桃子からの指示で夏焼 雅が一歩前に。℃-uteは「いきなり?」「ボスから!?」と雅ちゃんの登場に戦々恐々だ。

そんな雅ちゃんが℃-uteに言いたいことは、「10年一緒にいるのに℃-uteメンバーの家を知らないし、女子会みたいなこともない。」という、簡潔に言えば「お家に招待してほしい。一緒に遊びたい。」という、なんとも女の子らしいお願い。これに、雅ちゃん推しでおなじみ岡井千聖は「誘える訳ないじゃん……。桃ちゃんなら誘えるよ!」と、返す。雅ちゃんとももち、その違いについて訊ねられると「可愛さが、違う。」と、コーヒーか何かをテイスティングした後の一言のようなコメント。途端に顔の前で手を振って謙遜する雅ちゃんと、嬉しそうに大きなジェスチャーで否定してみせるももちであった。そう、ももちは大きな勘違いをしている……!

ハロプロ研修生が「Crying」を披露した後、ステージ上に登場した3人のシルエットに歓声が巻き起こる。夏焼 雅、鈴木愛理、嗣永桃子のBuono!だ。日本だけでなくフランスでも単独公演を行なうなど、国境を超えて人気のこのユニット。楽曲リリースやライブといった活動からは少し遠ざかっているが、ファンの間では、ライブ活動再開を求める声も強い。そしてファンだけにとどまらず、ダンスアイドルや地下アイドルが集まるイベントに行くと、必ずといっていいほど彼女たちの楽曲のカバーが歌われているなど、同じアイドルたちからも評価され、憧れられる存在でもある。そんなBuono!は、この日、まさに地下アイドルたちがよくカバーする「Kiss!Kiss!Kiss!」を披露して会場の熱気を引き上げた(もっとも、Buono!ファンからすると、武道館で聴きたい別の曲があったのだが、それは翌11日の公演で披露されることになる)。

モーニング娘。'14も登場して、℃-uteとともに「超WONDERFUL!」を歌唱、そしてラストスパートとして、「まっさらブルージーンズ(2012神聖なるVer.)」「Kiss me 愛してる」といった℃-uteテッパンナンバーを並べた本編。その最後を飾ったのは、再びBerryz工房とともに「忘れたくない夏」だった。少しの切なさを含んだこの曲が、最後に選ばれた理由。そしてBerryz工房と一緒に歌った意味。それはアンコールでの鈴木愛理のMCで明らかにされることになる。

「私が今回、すごい気にかけていたのが……こんなこと、すごい悲しくなっちゃうから言いたくないんですけど、あの、Berryz工房と過ごす夏は最後なんだなーって思って、℃-uteでセットリストを考えている時に「忘れたくない夏」を本編のラストで、みんなで歌いたいねーってなって。その願いが叶って。今回、Berryz工房のみんなと、もしかしたら、最初で最後かもしれない「忘れたくない夏」を歌うことができたんですけど。「後悔なんて したくないから」って歌詞のときに、私たちも後悔なんてしたくないから、Berryz工房と一緒にいれる時間も、℃-uteのみんなといれる時間もね、こういうライブの時間とかもひとつひとつ大事にしていこうって歌いながらあらためて思いました。」── 鈴木愛理

途中、感極まりそうになりながら想いを語った鈴木愛理。その瞬間、“来年の春をもって無期限の活動休止となるBerryz工房”という、ある意味、その時までなるべく見ないようにしていた現実にあらためて直面させられてしまったという観客もいたことだろう。そして同時に、この事実と真摯に向き合い、今、自分たちがBerryz工房とともにできること、残された時間で、ライバルであり仲間であるからこそ残せるものをひとつひとつ残していきたいという℃-uteの想いと、ベリキュー12人の絆を感じさせた。そんな彼女からの言葉でもあった。
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