【ライブレポート】HERO、初の野音で一糸乱れぬ統率力見せる「ありがとう日比谷!全力でついてくるんだよ!」

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8月23日、HEROが初の日比谷野外大音楽堂でのワンマンライブ<HERO ONEMAN TOUR 2014 FINAL 「See you again」“また会いましょう”>を開催した。

◆HERO <HERO ONEMAN TOUR 2014 FINAL 「See you again」“また会いましょう”> 画像

2014年5月5日の大阪AKASOから始まったワンマンツアーのファイナル公演であるとともにHEROにとって初の野音ワンマンでもあるこの日。さまざまなシーンを想定せざるを得ない野外ライブだが、この日の東京は突発的な雷雨が予想されるとのことで、雨具を持参して準備万端なファンの姿も見受けられた。

開演前のBGM「ミッション:インポッシブル」のテーマの音量が徐々に上がり、オーディエンスの緊張感を高めるとステージのライトが点滅。Yusuke(Dr)、yu-ta(B)、SARSHI(G)の順にメンバーがステージへ上がるたびにスモークが噴射され、盛り上がりを見せる。そして最後に登場したJIN(Vo)が「ついにこの日が来たな!楽しめそうか!?お前らいけるか!?」と第一声を放ち、「オープニングはまさかのこの曲行くぜ!」と普段はアンコールなど後半で披露される「超過激愛歌~Super Ultra Lovesong~」からライブはスタート。いっせいに左右に動き出す観客たち。初っ端から知らぬ者同士が肩を組み合ってのヘッドバンキングが炸裂した。

「今日はこの調子だと俺たち脱いじゃうかもしれない。下にビキニ着てるから」。まんざら冗談にも聞こえないJINの言葉とともに始まったのは「STEP BY STEP」。SARSHIのテレキャスから繰り出されるギターリフがさらに客席を煽る。「お前ら今日いい声してんな!?」と上機嫌なJIN。バンドの音もタイトで、野音のコンクリートに良く響く硬質なサウンドだ。「相対性理論」では「声出してない奴!?後ろの方も見えてるからな!?」とJINが観客を見渡す。そんな言葉に初めてHEROのライブを観ているらしき観客は、戸惑いながらも楽しんでいる様子だった。それにしてもここまで観客が一糸乱れず統率されているライブってすごい。みんな古くからの友達のように肩を組んで踊っている。

「ありがとう日比谷!全力で最後までついてくるんだよ!」と赤い上着を脱いでベスト姿になったJINは、観客と「暑いですね!」「そうですね!」と今や懐かしの『笑っていいとも』風コール&レスポンス。そして「日比谷野音、観てわかるとおり、全然埋まってません(笑)」と自虐的なMCで苦笑いさせた後は“父ちゃんと焼肉を食べに行った”エピソードから今日の衣装である赤いジャケットの良し悪しを観客に尋ねるJIN。「スーツは高いんだけど、俺のシャツ3980円」と正直に値段を報告するとドラムのYusukeは「俺のシャツ22000円!」となぜかシャツの価格競争するなど、ユーモアいっぱいのやりとりを見せた。

「ちゃんと乗って帰るように!汗かいて下着が透けるくらいが良いんだよ」とJINが煽ると「ヒュ~!」と客席からの声に若干照れながら、ライヴが再開。とぼけたMCと硬派な演奏のギャップがHEROの魅力のひとつだと感じさせる一幕だ。

「まだ乗り切れない奴がいるな!?オフィス街の人たちがドン引きするくらい叫べ!」と激しく「罪と罰」へ。このツアーでは初めて披露する「ロン」では間奏でyu-taがセンターに立ち、野太いベースソロを聴かせた。

「翼が折れて迷宮に迷い込んだ漆黒の天使」では「JIN様は?と聞いたら?」→「神様~!」とすっかりこの日のライブに心酔している従順な姿を見せるファンたち。しかし、JINは「親が来た時に“あんたは神様じゃない”と言われた」ことを白状して客席爆笑させる。久々に演奏するという「Ring a Ding a Song」ではSARSHIが疾走感がありながらトリッキーにも聴こえるソロを響かせた。

ライブ終盤。すっかり暮れた野音は熱狂が続く。 “めっちゃ久しぶりの曲”という「Cracker」で軽快なポップロックを響かせた後は、「最後に感謝を込めて、おまえらに送ります」と本編ラストに「さよならの仕方」を披露した。

アンコールではJINが「楽しかったか?俺めっちゃ楽しいな今日」と充実した表情を浮かべる。結成当初のエピソードを披露しながら、ここまで来れたことをファンに感謝した後は、4人で楽器を置き手を繋いで、「巡り行く時の中で…」の“乗り方”を実践して見せた。そして改めて「巡り行く時の中で…」を演奏するとサビではオーディエンスが飛び跳ね、野音の客席が波打つように揺れる。

曲が終わり、再びステージを去ったメンバーの代わりにスタッフがステージ上から「ラストだ~!せ~の!」と叫ぶと観客が「でてこいや!」コールでメンバーを呼び、再度アンコールへ。オープニングに着ていた赤いジャケットを再び着込んだメンバーたち。「今日来てくれたお客さんを楽しませた自信はあるけど、どうだ!?」の声に、オーディエンスが大きな拍手で応えた。そして「ちゃんと覚えてきたか!?」と歌い出した「星に願いを…」では客席のあちこちで黄色いサイリウムが振られ、合唱が起こる。気がつけば、心配された雨は終演まで全く降らず、曲を盛りたてるように晴天の夜空に星がちらほらと。歌い終わったJINは、「いつかまたこの場所でやれたら、その時はまたこの曲をやろう。今日は会場が埋まらなかったけど、今度は絶対埋めるから!」とオーディエンスに宣言した。

「2時間、世界で1番愛してくれたかい!?最後にこの曲を歌おう!」とラストナンバー「ソプラノ」へ。「お前らと出会えて本当に良かった。また会いましょう!」とJINの言葉で初の日比谷野音ワンマンライヴを締めた。バンドが去った後のステージにはスクリーンが置かれ、10月22日にリリースされるメジャー3rdシングル「ゼロ」のミュージックビデオが流され、席を立つことなくじっとその場で見入っていた観客から、映像が終わると大きな拍手が贈られた。

ドSなMCで観客を統率しつつも存分に楽しませたHERO。正統派の実力を感じさせる各プレイヤーの演奏と、JINの、パフォーマンスだけではない確かな歌唱力に裏付けられたバンドだけに、男性ファンにもそのロッキンなバンドサウンドの魅力をどんどんアピールしていってほしいと強く感じたワンマンライブだった。

取材&文◎岡本貴之


<HERO ONEMAN TOUR 2014 FINAL 「See you again」"また会いましょう">
2014年8月23日(土) 日比谷野外音楽堂
セットリスト
1.超過激愛歌~Super Ultra Lovesong~
2.STEP BY STEP
3.「相対性理論」
4.Feeling
5.自分応援歌
6.罪と罰
7.ロン
8.翼が折れて迷宮に迷い込んだ漆黒の天使
9.Days.
10. Ring a Ding a Song
11.「テノヒラ」
12.歌詞ができねぇ2014
13.Cracker
14.カゾエウタ。
15.「さよならの仕方」
EN1
16.「巡り行く時の中で…」
17.人間定義
EN2
18.星に願いを…
19.「ソプラノ」

New Single
「ゼロ」
2014年10月22日発売
[Type-A]CDMS+DVD
CRCP-10329 ¥1,800+税
1.「ゼロ」
2.カップリング(1)
DVD
「ゼロ」Music Video
「ゼロ」Music Video Making Movie
[Type-B]CDMS+DVD
CRCP-10330 ¥1,800+税
1.「ゼロ」
2.カップリング(2)
DVD
「ゼロ」Music Video Member Personal Version ×4Type
[Type-C]CDMS
CRCP-10331 ¥1,200+税
1.「ゼロ」
2.カップリング(2)
3.カップリング(3)

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