【対談】逹瑯(MUCC) × 松岡充(MICHAEL)、異種格闘技対談-Ring 番外編「「Believe」歌いますからね」
■ライヴで「Believe」をやったとき、客席の後ろの方から“やめて~っ!”って声がして
■高校球児が「Believe」を歌うんじゃねぇ!ってことだったんでしょうね──逹瑯
松岡:じゃぁ逹瑯くんはイベントとかはあんまり好きじゃないの?
逹瑯:いや、大好きです。特にアウェイなイベントは大好きですね。自分達が1番盛り上がるイベントより、アウェイな場所で、自分達を誰も知らないような人たちばっかりの場所でやるライヴの方が刺激的だし、そこでどれだけのお客さんの心を掴めるかっていう感覚が楽しくてしかたないんです。またそこはワンマンとは違うところですね。それに、対バンとかでこっちが誘う場合でも、この人たちを呼んで一緒にやったら、自分達のお客さんが全部そっちに流れちゃうんじゃないかっていうくらいの危機感持ってライヴしたいんです。
松岡:逹瑯くん、考え方が素晴しいね。ホント、素敵だと思うよ。すごいな。ホント、素敵だよ。
逹瑯:ライヴが純粋に好きなんだと思います。
松岡:そこもあるだろうけどね。
逹瑯:はい。レコーディング嫌いなんですけどね(笑)。
──あははは。松岡さんは対バンとかイベントに対してどう考えていらっしゃいますか?
松岡:SOPHIAはずっとワンマンしかしてこなかったんですね。でも、都(都啓一)が2010年に病気を患って、2011年になって復活したことで、感覚が少し変わったとこがあったんです。生ていることの奇跡というか、有り難さを心底感じて。そこに出逢いの奇跡みたいなのを感じるようになったというかね。そこでこそ生まれる奇跡もあるのかもしれないって思うようになって。それで、フェスやイベントにも出るようになったんです。そこから1年くらいして活動休止しちゃったんで、そんなにたくさんは経験ないんですけどね。
──MICHAELでは?
松岡:MICHAELは僕の中で、名前こそ違うけどSOPHIAだと思っているんです。今、ギターのジルとドラムの赤松と一緒にやってるけど、2人もいろいろと他の活動もしていくだろうし、そこでいろんな出逢いも経験するだろうし、黒ちゃんも都も今は別々にやってるけど、またいつでも5人で出来るタイミングが出来ればSOPHIAとしてやればいいと思ってるし。俺としては、ずっとSOPHIAと共に生きてきてくれたファンのみんなの心の中に、活動休止をしたことで、ポッカリと穴を開けてしまうのはすごく僕らの都合、一方的なことだなって思ったんですよ。だから、せめて、今、一緒にやれるメンバーだけでも集まって、SOPHIAの代わりになれなくとも、せめて、SOPHIAの魂を引き継いだものは創ってあげられたらなっていうところだったんです。
──なるほど、そうでしたか。
松岡:うん。だから、いろんな出逢いの奇跡は引き続き求め続けていけたらいいなって思ってて。そんなときにMUCCから対バンのお誘いを受けたので、すごくいいタイミングだったなって。
逹瑯:ありがとうございます! ただただ純粋に嬉しいです!
──すごく嬉しいことだよね、MUCCにとっても。YUKKEなんて、MICHAELとの対バンが決まったとき、本当に喜んでましたからね。
松岡:嬉しいよね。YUKKEくんの話もすごくいろんな人から聞くんだけど、ちゃんと会ったことなくてね。会えるのすごく楽しみにしてるんだよ。
逹瑯:YUKKEは、是非シラフのときに会うことをオススメします(笑)。バンドの中で1番可愛いルックスなんですけど、お酒飲むと、古き良き時代のロックミュージシャンみたいなことになっちゃうんで(笑)。
松岡:あはははは。そうなの!? でも、大丈夫だよ、俺もその時代を生きて来た人間だから、慣れてるし免疫はあるから(笑)。
逹瑯:あとあと、俺、ずっとリベンジしたいことがあって。
松岡:なに?
逹瑯:昔、まだ水戸に居てコピーバンドやってた頃、やっぱり当たり前のヴィジュアル系になりたくなくて、坊主にしてたことがあったんですよ。
松岡:イエモン(THE YELLOW MONKEY)の吉井さん(吉井和哉)みたいな?
逹瑯:いやいやいや、あんなカッコイイもんじゃないです! 高校球児みたいな坊主です(笑)。で、そのときに、ライヴでSOPHIAの「Believe」をやったんです。そしたら、客席の後ろの方から、“やめて~っ!”っていう悲痛な声がして(笑)。SOPHIAファンの人にとっては、高校球児が「Believe」を歌うんじゃねぇ!ってことだったんでしょうね。
松岡:あははは。SOPHIAファンが言ったの? でも、なんでSOPHIAファンのその子はそんなこと言ったんだろう?
逹瑯:汚されたくなかったんだろうと思います(笑)。その気持ちはすごくわかるんですけど、傷ついたっていう(笑)。今の俺があるのも、それがバネになってるからなのかなと(笑)。
松岡:あはははは(大爆笑)。
逹瑯:ずっとその時から、俺はいつか、“やめて~!”って言われない立場になって、もう一回「Believe」を歌いたい! って思って生きて来ましたから!
松岡:あははは。わかるなぁ、そのこだわり! じゃぁ、今回ぜひ。
逹瑯:いや。まだ心配なんで……(笑)。だってきっと、SOPHIAのファンにとって「Believe」は、すごく大切な曲だと思うから、絶対に触れちゃいけないんじゃないかと。
松岡:でもね、嬉しいと思うよ、本当に好きでやってくれてるのが伝われば。例えば、お笑い芸人の方がふざけて真似をするとかだったら、すごく嫌がると思うけど、ちゃんと逹瑯くんの“好き”は伝わると思うからね。
逹瑯:嬉しいです!
──やっぱり世代を築き上げてきた人たちは寛大だね。
逹瑯:ホントだよね。みんなミュージシャンとしてももちろんだけど、人間としてもすげぇなって思う。
──松岡さんはさらに、小説を書かれたり、舞台に立ったりもしてるからね。さらに視野が広いと思う。
逹瑯:だよね!っていうか、芝居ってどうなんですか?
松岡:最初はね、“は? 芝居!? 何ふざけたこと言ってんの!? 俺らロックミュージシャンは、リアリティを追求して生きてる人種なんだから、そんな正反対なこと出来るわけねぇじゃん! ふざけんな!”って思ってたの。俺、いつもステージの上で倒れてもいいっていう気持ちでライヴしてるから、演技をするなんてことは、なによりもカッコ悪いことだと思ってたからね。だって、決められたことを公演期間中ずっとやり続けるんだよ! 毎日が違うリアルなライヴをしてきたバンドマンが、1番正反対なとこに行くってことでしょ。最初は俺も受け入れられなくてね。でも、“この人が言うなら”って思った人に勧められてやってみたら、すごくバンドと共通する何かがあって。そこからかな。やってみたら、本当に共通点が多くて。すごく学ぶモノも多かった。
──お芝居とかミュージカルってロング公演が多かったりしますよね?
松岡:そうだね。30回公演とか普通にあるからね。ライヴで30daysなんてないでしょ?
逹瑯:死んじゃいますね。
松岡:でしょ。それに、仮に30回ライヴやったとして、毎日同じセットリストってあり得なくない? でも、舞台やミュージカルって、まったく同じことやってんのに、毎日いっぱいお客さんが入るんだよ。それってすごくない?
──昼と夜の2公演あるときもありますからね。
松岡:そうそう。この前俺がやってたミュージカルも、9連ちゃんやって1日休んで9連ちゃんやって1日休んで、全部で30公演っていうスケジュールだったからね。
逹瑯:すげぇ……(茫然)。っていうか、9日ぶりの休みってなにするんですか!? すげぇ楽しみな気がするんですけど。6日目あたりから、もう9日目が楽しみでしかたなくないです?
──もうすぐ休みっ(バンザイ)!ってね。
逹瑯:そうそうそう。
松岡:まぁね(笑)。でも、何するっていうか、とにかく何もしたくないよね、逆に(笑)。やっぱり声帯を休めたい。とにかくそこに限るね。
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