【対談】逹瑯(MUCC) × 綾小路 翔(氣志團)、異種格闘技対談-Ring 番外編「こんなに盛り上げちゃうんだ!って」
■自分たちにしか出来ないことやって勝つことに
■ズルいもなにもないですよね。それが勝負ってもんだし──逹瑯
逹瑯:その当時からこのスタイルなんですか?
綾小路:そう。その当時からずっとこのスタイル。だからね、ライヴハウスに入るときとかは、わざと普通のカッコしてって、リハとかもそのカッコのままでやって、本番にいきなり衣装着てちゃんとしたスタイルを見せつけるっていう、とにかくサプライズだらけでやってきたところがあったの。とにかく対バン相手に油断しててもらおうっていう。そんなよくわらないとこに一番命をかけてた。本番になって、“え!? あんな奴ら居たっけ!?”って思わせるっていう。いろいろと試行錯誤してきましたよ。今のメンバーになった頃から、やっとやりたいことが出来るようになったんです。最初はメンバーが4人で、僕もギター弾きながら歌ってましたからね。演奏も出来なくて、ヘタクソで。だからお客さん帰っちゃうんですよ。だから、喋るっていう。
逹瑯:あははは。
綾小路:本当にいろいろなこと試したんですよ。友達の対バン観に行って、面白そうなことやってる奴らがいたら、今度自分たちのライヴをそのまんまそれにしてみるとか、そんな小ズルいこともやってきたしね。それに僕、Z級のライヴハウスで働いてたこともあったんで、そこでいろんなバンド見てきたんです。社会人や大学生が、自分の趣味でやってるようなバンドをやるために、土日だけ借りてライヴやるっていうようなライヴハウスだったんですよ。金にならないライヴをやってるような人たちだから、とにかく楽しいことしかやらないんです。とにかく好きなバンドのコピーしかやらないとかね。プロになろうなんて思ってるヤツらは1人も居ないくらいだったんで、その分肩の力が抜けてておもしろいことやるんですよ。金にはならないけど、発想はとことん自由っていう。だからね、そこでいろんなアイディアをもらったんです。“なるほど、こういう魅せ方もあるんだぁ~”って。そういうのをバイトしながらずっとメモってましたね。それを自分たちのバンドに持ち帰って試す。みたいな。でも、そんなことをしながら、一喜一憂しながらバンドが出来てることが楽しかったんですよ。青春でしたね。今思えば、本当に低レベルな闘いを繰り広げていたんだけど。
逹瑯:今、1番仲のいいバンドって誰なんですか?
綾小路:ん~。仲がいいって言っていいのかわらないし、おこがましい気もするんだけど、GLAYかな。中でもTAKUROさんにはデビューの頃から仲良くしていただいて、公私共に色々なことに誘ってくださって。メンバーの方々も、みなさん本当に優しくて。GLAYには心から感謝してます。これからもバンドぐるみでお付き合いさせていただければ幸いです。やっぱ、デビューしてからはワンマンがメインになってきちゃったので、デビュー以降は仲良いバンドっていうのも出来なくなってきちゃったというか。とにかく氣志團はやり方の汚いバンドだったんで。
逹瑯:あはははは(大爆笑)。
綾小路:いやいや、ホントにね(笑)。だから、面白いねって思ってもらって声かけてもらって、対バンやって知ってもらって、それがちょっとだけ話題になって、さらに強い人たちから声をかけてもらえるようになってっていう流れで、徐々にデッカいイベントに出してもらえるようになったんですけどね。カッコよく言えば、対バンキラーなんですけど、自分たち自身はそういう意識がまったくなくて。自分たちは、“最高のオマケ”を目指していたんです。お客さんが、“アイツら出てるなら、まぁ行ってもいっか”って思ってくれる1つのきっかけになれたらいいなって思ってたんです。決してメインじゃないけど、欠かせないみたいな。イベントに自分たちを捧げるのが好きなんです。
逹瑯:対バンって、他の人たちといかに違うことやってその場をかっさらうかっていうのがメインになってきますからね。そこで自分たちにしか出来ないことやって勝っても、ズルいもなにもないですよね。それが勝負ってもんだし。
綾小路:そうだね。けど、氣志團は悪質だったと思うよ。
逹瑯:あはははは(大爆笑)。
綾小路:僕はね、いつも格闘技とかに例えて生きているんです。本当に強い人たちって居るんですよ。でも、僕たちはそれではない。僕たちはワンパン(一回のパンチ)で相手を倒せる様な強さは持ってないですし。だから、使いやすいレスラーになろうと思っていたんです。まず、望まれたことをしっかりやって、ヒールにもちゃんとなるけど、裏では興行主に笑顔で挨拶も出来るっていう。
逹瑯:いやぁ、本当にすごく考えてやってるんだなぁって思いますよ。MC1つにしてもすごく考えられてるし、リハも超入念にやってるし。すごく細かいところまで徹底してますよね。本当にすげぇなって思います。
綾小路:リハで使い果たすパターンですね(笑)。でもね、それも対バンに限ったことなんですよ。作り込んだワンマンのときとかは、リハーサルじゃぁほとんど何もやらないですよ。それまでにキッチリと作り込むから。だから、本場のリハは、喉をならす程度なんです。初めてやる会場とか対バンは、ものすごく怯えて、徹底的にリハーサルを頑張るんです。そういう意味でも対バンは、すごく成長しますね。でも、ずっと長いこと自分たちのスタイルだけを信じて、絶対に傷跡残せてるって思ってやれてたんですけど、ある時期、なんか自分たちのライヴスタイルが、もう誰からも求められてないんじゃないかって思えたときがあったんです。
──それはいつ頃の話です?
綾小路:2010年くらいかな。すごくモヤモヤしてたんです。もう氣志團っていうバンドは要らないんじゃないかってね。でも、最後にもう一回試してみようって思って企画したのが、2011年に始めた<ロックンロール・ハイスクール>だったんです。
逹瑯:なるほど。そうだったんですね。
綾小路:そう。それをやってダメだったら、もうバンド辞めようって思ってた。それくらい背水の陣だったんです。
逹瑯:そうだったんですね。そんな想いが裏にあったとは知りませんでした。そうだったんだぁ……。しかし……強敵ばかりを敢えて選んだ、そんな悲痛な闘いの中、今回の<ロックンロール・ハイスクール第弐章>にNoGoDが居るっていうのが、気に入らないですね(笑)。
──あははは。NoGoDはMUCCにとっても後輩バンドなんでね(笑)。
逹瑯:ホントホント。なんでNoGoDが<ロックンロール・ハイスクール>に呼ばれてるのに、ウチらいつになっても呼んでもらえねぇの?的な。ちょっとヤキモチ焼いてました。
綾小路:いやいやいやいや、すみません(笑)。
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