【対談】逹瑯(MUCC) × kyo(D'ERLANGER)、異種格闘技対談-Ring 番外編「大人げなさっていくつになっても必要」
■結局は振るいにかけられていくんだよね
■ウチらはブームとかじゃなく、シーンを一緒に築こうとしてた世代──kyo
──フェスでもまた感覚が違うの?
逹瑯:うん。フェスはまた全然違う。
kyo:そうだね、それもお祭り感覚なんだけど、またちょっと違うよね。
逹瑯:そうですね。フェスになると短い時間の中で、自分達をもっとしっかりアピールしようっていう感覚になるというか。
kyo:そうそう。
逹瑯:他に出てるバンドを意識してライヴをするという感覚ではなくて、目の前に居るお客さんに対してアピールするっていう感覚に変わってくるんですよね、俺は。
kyo:うん、そうかもね。俺もそこは同じだな。
逹瑯:ツーマンとかになると、お客さんに楽しんでもらおうとは思うけど、意識は完全に闘いに変わる。“対相手バンド"に意識が変わるというかね。
kyo:そうだね。まったく同じ感覚だな、そこは。あれって不思議な感覚だよね。フェスになると“取ってやろう!"っていう意識に変わるというか。集中の仕方とか方向性が一気に変わるよね。D'ERLANGERは、そんなに多く対バンをするバンドではないんだけど、唯一スタイルを変えていないところといえば、どんな短い持ち時間でも、しっかりとD'ERLANGERをアピールするようにしてるかな。他のバンドとの違いはきっと、いかなるイベントライヴのときも、SEは必ず入れてるってところ。普通、持ち時間が短かったらSE削って1曲増やすと思うんだけど、ウチは1曲削ってでもSEは必ずやるからね。SEから含めD'ERLANGERだったりするから。そこは揺ぎないモノはあるね。
──異種格闘技の方が燃えるのか? 同じジャンル同士での対バンの方が燃えるのか? と言えば?
逹瑯:どっちも燃えるけど、違う燃え方なんじゃない?
kyo:そうね。どっちも燃えるけどね。でも、僕らの時代は、そこまで異種格闘技ってのがなかったからね。ジャパメタと呼ばれていた日本のヘヴィ・メタルシーンを盛り上げよう! って感じの対バンが多かった。唯一異種格闘技だったのは、イカ天(『いかすバンド天国』)のバンドと一緒にライヴするときだったかな。そのときはすごく違和感あったけどね。
──たしかに、そうでしょうね。イカ天はジャンルレスでしたからね。
kyo:あの時代ってテレビから火が点く感じだったから、デビューライヴが武道館だったりした訳よ。
逹瑯:へえー。
kyo:だから、ライヴハウスでずっと育って来て、だんだんハコが大きくなっていったバンドからしたら、そこに価値観の違いをどうしても感じてしまっていたのもあって。
逹瑯:たしかに、それは感じちゃいますよね。
kyo:そう。けど、今の時代はそういうのもないしね。だからそういうのがない分、しっかりと向き合えるんじゃないかなって気はするけどね。ホント、あの頃はおかしな時代だったなって思うよ。
逹瑯:ウチらはそういう経験がないから実際にはその感覚がよくわらないですけど、今のkyoさんの話を聞いてると、ちょっと前のお笑いシーンと重なる気がしますね。ずっと地道に下積みをしてきた人達もいるけど、ブームになるのは、テレビで話題になったお笑いコンビで。でも、その一時的なブームが去ってしまったら、あまり見かけなくなってしまうという。
kyo:あぁ、なるほどね。でも、その感覚に近いのかもしれないね。結局は振るいにかけられていくんだよね。
──メッキはいつか剥がれる。そういうことなのかなと。
kyo:たしかにそうかもね。それに、ウチらはブームとかじゃなく、シーンを一緒に築いていこうとしてた世代だったからね。
逹瑯:すごいなって思います。あらかじめあったシーンのブームに乗っかったっていうんじゃなく、新たなシーンを構築してった世代ですもんね。すごいなって思います。俺、思うんですけど、世の中って、なんでもそうだと思うんですけど、構築する期間があって、飽和状態になって、それをぶっ壊す時期が来て、また構築する時期が来て……っていう、その繰り返しなのかなって。
kyo:そうだね。その時代時代であるかもしれないよね。誰もやってない音楽を作ろう!っていう時代があって、それがだんだんスポットを浴びてくると、“ああいう音楽をやろう!"っていう人達が出て来て、次には“あれとあれとこれをやったらいいんじゃない?"っていう人達が出て来て、そこから飽和して、淘汰されて、また戻って、っていう感じはするよね。
逹瑯:でも、最初にシーンを築き上げた人達って本当にすごいなって思う。
──最初の話しでも出て来ていたけど、kyoさんたち世代はまだロックスターがロックスターらしかった時代というか。
逹瑯:うんうん、わかるわかる。
──今はツイッターやSNSが広まったから、ロックスターが昔よりも身近になったというか。逹瑯も……。
逹瑯:え!? 俺!? 俺はもともとがロックスターって感じじゃないから(笑)。
kyo:そうかなぁ? 逹瑯のこの独特のふてぶてしさとか、いかなるときも、どこに行っても、この逹瑯っていう存在感を放っているから、すごいと思うし、ある意味ロックスターだと思うよ。
──たしかに、ステージに上がっているときは、すごい存在感を持ったロックスターだなぁって思いますね。本当にカッコいいボーカリストだと思いますからね。たまに、ずっとそのままステージから降りて来なければいいのに……って思いますもん。
逹瑯:あははは(大爆笑)。
kyo:あはははは。その感覚はわからんでもない(笑)。ステージから降りると一気にデタラメな感じになるからね、逹瑯(笑)。
──そうですよそうですよ(共感)!
kyo:あははは。そういうギャップも含めロックスターなんじゃないかな、逹瑯は。
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