【ライブレポート】R指定&BORN、2時間半の激突「またやりたいね」
R指定とBORNが初の2マンライブを8月14日に高田馬場AREAで行った。豪傑同士の戦い。それはまさに竜攘虎搏。激しくぶつかり合う両雄は一歩も引かず、集まった500人を熱く揺らした。
◆R指定、BORN画像
▲R指定 |
中盤には「波瀾万丈、椿唄」を、BORNの「RADICAL HYSTERIA」に繋げる遊び心も。「波瀾万丈、椿唄」では扇子を振って応えていた指定女子たちも、2マンならではの試みに、BORNファンとともに「サバに乗って!」と叫び一体になっていた。マモは「サバになった瞬間のBORNファンの顔の変わりようがすごかった。怖いなバンギャ」とおののきながらも、「この空間で全員が楽しめたらいい」と笑顔に。10月から全国5カ所で決まったZeppツアーの告知では拍手を受けたが、「札幌に来てくれる、BORNファンはいますか?」の呼びかけると、まさかの無反応で、「はい、ゼロ!」と苦笑い。「そんなにオレらが嫌いですか…。ウソでもいいんですよ」とすねていた。
終盤にはマモもギターをかき鳴らしながら、新曲の「病ンデル彼女」を熱唱。黄色いコンタクトを入れ周りを黒く染めた右目、左の瞳には青いコンタクトを忍ばせたアシンメトリーなメークは、表と裏がある人の心を表現しているようで、心に潜んだ闇を見透かし、あざ笑うかのような、狂気を感じさせた。
◆ ◆ ◆
熱に満ちたAREA。水色のライトが点滅する中、ギターのKを筆頭に姿を現したBORNは、ボーカルの猟牙が伸びやかに声を響かせる「COBRA」で攻撃を開始。2曲目にはR指定がカバーした「RADICAL HYSTERIA」を披露し、観客は大揺れに。一気に爆発した熱気で、会場が白く煙るほどだった。
タオルを振り回し歌った「乱刺℃」、地鳴りのような音が印象的な「RED DESIRE」と反撃の手は緩まない。エネルギーあふれるステージに向けて、フロアからたくさんの手が伸びていた。歌い終えた猟牙は、お立ち台に崩れ落ちた。メンバーも、額に光る汗をぬぐい、水をごくんと口に含んでいる。ようやく立ち上がった猟牙は、R指定が主催する対バンツアー<八幡の藪知らず>に出演したことがきっかけで、2マンを行うことになったと経緯を説明。「熱がこもっていて、これぞライブハウスという感じです」と手応えを感じた様子で、「オレたちにとって大切な曲。きっと届くと信じています」と語ると、そっと目を閉じた。奏でられたのは「凍結」。<きみが与えてくれたこの命 僕はずっと大切にするから>という言葉は、猟牙が2009年に亡くした実母への思いを込めたもの。空に届けと言わんばかりに左手をスッとのばした猟牙に、大きな拍手がわき起こっていた。
「I am STALIN!」と叫んで始まった終盤戦。「THE STALIN」では男たちが叫び、フロアと互いの熱をぶつけ合う。Kが冒頭で歌い踊る「SKIN」、「一緒に心中しようぜ!」と呼びかけ始まった「ケミカルロマンス」ではメンバーも歌いながら演奏をするなどし、会場中にやわらかな空気が広がっていた。
2バンドが激突したステージには、すぐさまアンコールの声が届けられた。BORNが先に登場し、猟牙が「最後盛り上がって、みんな笑って帰れたらいい」と告げると、七星を先頭にR指定のメンバーも再登場。猟牙が「アンコールはBORNの曲で思いっきり暴れてくれるか! マモにも歌ってもらいましょう」とふたりでお立ち台に並んで「SUICIDE」を歌い始める。Zはフロアに降りて、Kに声援を送るなどそれぞれが自由に、いまを楽しんでいる。長く同志として戦ってきた両者だからこそ、生み出すことができる瞬間がここにあった。
一度幕が下りても止まないアンコールに、再び幕が開けられた。予定になかったダブルアンコール。ギターのZとKがふたり手を繋ぎ、舞台に戻ってきた。マモは「やんの?今日初めてダブルアンコールだよ」と猟牙を見つめると、「オレ、煙草吸おうとしていたんだけど」と右手には煙草が。マモの「じゃあいくぜ!」の声で始まったのはR指定の「修羅場」。10人の男たちがずらりと並び、音楽に興じる様子は圧巻だった。
演奏が終わり、それぞれが充実した表情で駆け抜けた時間を共にしたフロアを見つめている。猟牙とマモが並んでドラムを振り返ると、ふたつの大きな背中に大きな拍手が送られた。約2時間半の戦いを終えた両者の背中はステージ開始時よりも、ひと回りもふた回りも大きく感じられた。
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▲BORN |
マモ:またやりたいね。
猟牙:うん。初の2マンとは思えない自由さだったね。最後、ぐしゃぐしゃになって楽しかったよ。お互いのファンの子も、オレらが付き合いが長くてメンバー同士仲がいいのを知っているから、受け入れてもらえて良かったと思っている。
マモ:オレはBORNのライブをそでから半分くらい見ていたんだけど、ライブの盛り上がりは勝てないって思った。オレたちのマックスは、「サバ(RADICAL HYSTERIA)」をやったとき。そこが頂点だったよ。
猟牙:本当に? オレは「病ンデル彼女」いい曲だなって思ったよ。オレはね、R指定ってキラキラ系のバンドだと思っているんだけど、バンドを始めたころはダークなイメージだったし、いまも結構エグいことを歌っているから、なんか一筋縄じゃいかないバンドって感じがするんだよね。
マモ:キラキラ系じゃないけど、そう見えるのかな。
猟牙:うん。「呼べー」って叫んだりとかさ。オレらにはないから。むかし、ファンの子に「手扇子とか咲くのは嫌だ」って言ったから、もういまは拳かヘドバンしかないもん。ところでさ、病むと言えば、マモは病んでるの?
マモ:生まれてからずっと病んでるよ。
猟牙:なにに病むの?
マモ:いまは売れたいってことかな。もっとね。猟牙は?
猟牙:病む。浮き沈み激しいから。みんなと一緒のときは大丈夫だけど、ひとりになるとそれこそ、「音楽を辞めよう」とまで思ったりもする。究極は。足りない自分に腹が立つっていうのかな。(脱退した)KIFUMIのこともあるし、オレら紆余曲折あったから。でも日常で迷うからか、ライブのときのテンションに迷いはないんだけどね。R指定のリハを今日見ていて、若い子がよろこぶツボを知っているなって思った。媚びているのじゃなくて、うまいよね。R指定はさ、頭がおかしいアイドルバンドだって思うよ。
マモ:新しい表現だね。でも、そうだね。
猟牙:ハートを飛ばしたり、咲いたりするけど、イカれた音楽に対してのその反応って、皮肉に思えるんだよね。
マモ:うちの客の頭のおかしさは誰にも負けないと思っているよ。そういえば、今日は「サバ」をやったり、BORNファンに“媚びた”のに、BORNファンに(Zepp公演の)「札幌に来てくれる人?」って聞いたら、ゼロだったよ。あれは軽くへこんだ(笑)。
猟牙:え。そうなの。そうか……。オレはね、同期としてZepp5公演って聞いたときは、思う所があったよ。やっぱり。マモは明日(8月15日、八幡の藪知らずのこと)もライブだよね。またそれぞれの場所に戻るけど、自分たちが求められているところで頑張って、また一緒にやりたいね。
マモ:うん。BORNもツアーがあるよね。頑張ってね。また絶対一緒にやろう!
取材・文:西村綾乃
<BORNライブ>
BORN x Lycaon EU Tour '14 -THE RAMPAGE-
9月15日(月) ロシアより7カ所
MEJIBRAY vs BORN 2MAN TOUR「メジブボーン」
10月1日(水) 高田馬場AREAより全国15カ所
BORNシングル「Son Of A Bitch」
2014年12月3日発売
BORN MINI ALBUM『THE STALIN -666-』
初回限定盤A CD+DVD PSIS-30036 / \3,000(税抜き)
1.THE STALIN
2.SKIN
3.↑HUMAN HOLE↓
4.排梳ノ蝶
5.DIARY
DVD
1.「THE STALIN」MUSIC CLIP
2.「THE STALIN」MUSIC CLIP MAKING
初回限定盤B CD+DVD PSIS-30037 / \3,000(税抜き)
1.THE STALIN
2.SKIN
3.↑HUMAN HOLE↓
4.排梳ノ蝶
5.DIARY
DVD
1.LIVE TOUR 2014 ALL NUDE SATISFACTION DOCUMENT MOVIE
通常盤 CD PSIS-50036 / \2,700(税抜き)
1.THE STALIN
2.SKIN
3.DIARY
4.↑HUMAN HOLE↓
5.排梳ノ蝶
6.磔
7.BREAKTHROUGH
<R指定ライブ>
10月11日(土)Zepp DiverCity
10月24日(金)Zepp NAMBA
10月25日(土)Zepp NAGOYA
11月8日(土)Zepp SAPPORO
11月16日(日)Zepp Fukuoka
R指定シングル「タイトル未定」
2014年10月発売予定
R指定「病ンデル彼女」
初回限定盤 S.D.R-266-A ¥1,800(税抜き)
1.病ンデル彼女
2.アバズレディ
DVD
病ンデル彼女MUSIC CLIP
病ンデル彼女MUSIC CLIPメイキング
通常盤 S.D.R-266-B ¥1,200(税抜き)
1.病ンデル彼女
2.アバズレディ
◆BORNオフィシャルサイト
◆R指定オフィシャルサイト
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