【インタビュー】結城アイラ feat. TECHNOBOYS PULCRAFT GREEN-FUND、アニメシーンとの関わりや未来像を赤裸々に語る

ポスト

■80年代、90年代っていうテキストの上で音楽をやっているんで
■新しいモノを作ろうとするとアバンギャルドなものになってしまう


――ところで結城さんの最新シングル「愛しき抗いよ、導け光へ」(2014年5月発売)のカップリング曲「Mind Limit」では、TECHNOBOYSの楽曲に松井さんではなく、結城さんご自身が歌詞を付けるという初の試みもされていますが、作詞はいかがでした?


▲結城アイラ「愛しき抗いよ、導け光へ」
結城:“なんで松井さんが書いてくれないの!?”と思いながら(笑)、じゃあ、今回はTECHNOBOYSさんに挑戦だ! と作詞させていただいたんですが、すごく難しかったです。歌うのも詞を書くのも難しかったし、それこそステージでどう動けば客席が盛り上がってくれるだろう?ってことまで、ホントに想像をフル回転させた結果、新しい1ページが開けた感じがして楽しかったです。

石川:プロデューサーのほうから“ライブで盛り上がる曲にしてほしい”とオーダーされたので、楽曲自体は洋楽っぽくしたんですよ。そうすれば絶対イケるっていう確信があったので。

――<ポタフェス>でもライブの最後に披露されていましたが、TECHNOBOYSのお洒落な特質が上手く表れている曲だなと感じました。

石川:普通の骨組みのコードだと裸にされたみたいな感じになるので、絶対に装飾のコードを入れておくんです。それで他とは違う感触になるんだと思うんですけど……まぁ、お洒落なユニットですから(笑)。

フジムラ:この前、僕らのレコーディングエンジニアさんが言っててピンと来たのが、“ポップは斜に構えないとダメだよ”っていう言葉で。まさに、そこが僕らのやっていきたいスタンスなんです。だから衣装もコレ。ラフで似合うバンドさんもいらっしゃるでしょうけど、僕らは違うかなっていう。

石川:ダラダラした格好は嫌だしね。

松井:そもそもシンセサイザーという楽器自体が高級感あるイメージだし、何よりスーツはラク。今日はどの服にしよう?って考えなくてもいいじゃないですか。

――確かに(笑)。ちなみに、4人のときはどんなお話をされてます?

結城:いつもトヲルさんは美味しいスイーツを教えてくださって、石川さんはお酒の飲み方を教えてくださいます。

松井:ははは!(笑)

結城:松井さんはホントにいろいろ知ってらっしゃるから、幅広くいろんなことを教えてくださいます。例えば昔の歌謡曲のことだったり、私、カラオケ好きの父の影響で、松田聖子さんとかテレサ・テンさん、大橋純子さんとかが大好きなんです。

松井:当時の音楽はホントいいよね。もっとみんなに聴いてほしい! 実は『ウィッチクラフトワークス』キャラクターソングアルバム(7月23日発売)でも、80年代のマイナー系アイドルっぽい曲を書いたりしてるんですよ。例えば……伊藤つかさんとか(笑)。

――時代の最先端を行くお洒落なサウンドと20世紀のベタな部分、その両方がTECHNOBOYSには備わっているんですね。


▲TECHNOBOYS PULCRAFT GREEN-FUND『good night citizen』
松井:やっぱり“キャッチー”っていうのは20世紀で完成しちゃってるから、そのへんのモチーフが出てくるのは仕方ないんですよね。言ってしまえば80年代、90年代っていうテキストの上で音楽をやっているんで、あえて新しいモノを作ろうとすると、どうしてもアバンギャルドなものになってしまう。ま、そういう毒の部分も少しずつ、アイラさんの曲に混ぜていければいいかなと。

結城:そういえば初めてTECHNOBOYSさんのライブを観たとき、“なんだ、これは?”って思ったんですよ。ホントに衝撃的で、でも、だんだんとハマッていくのが怖い(笑)。

――演奏の間中バックスクリーンに流れている映像にしても、不思議な個性を感じました。ある意味シュールというか……。

石川:どこか前衛舞踏みたいな。そういう血が、みんなどこかにあるんですよ。

松井:石川は前衛舞踏のアーティストさんともコラボレーションしてたりするし、活動の中にアバンギャルドな要素は、確かにありますね。プラス、これからハイレゾだとかで音のクオリティがどんどん上がっていくにあたり、もう一つ魅せるものが欲しいなということで、数年前から演奏に映像をシンクロさせているんです。

――実際にハイレゾでの音源リリースも、かなり積極的にされていますよね。先日は世界初となる11.2MHz DSD(DSD256)マルチトラックレコーディングを敢行されたとか。

松井:高音質すぎて、まだ僕ら自身が再生できる機器を持っていないっていう(笑)。でも、聴ける環境を手に入れたら、より音楽の楽しみ方の幅が増えると思うんです。絶対に後悔することはない。

フジムラ:音源は「Net Audio」誌最新号の付録になっていて、そういう形のリリースだとリッピングしてネット上にアップされることも多いんですけど、これはアップされたところでどうにもならないですからね。データが1GBあるんで、アップロードするのも大変!

――当然、ダウンロードも無意味になる。

松井:そうなんですよ。違法ダウンロードが問題になっている現代だからこそ、良い音で良いものを出して、みんなで仲良くしたい。僕らが子供の頃は1枚レコードを買ったとしても、次にレコードプレイヤーを手に入れるというハードルがありましたからね。そんな音楽を楽しむまでのプロセスを、もう一回思い出してみるのもいいんじゃないかと思うんです。

フジムラ:そういった音源でも、またアイラさんともコラボできればいいなと。

結城:ぜひ! またTECHNOBOYSの皆さんと一緒にコラボできればと思います!

――ライブ活動自体は活発にされていますもんね。

結城:詳しくはホームページを見てください。2014年は初めての海外ライブ(7月25日・香港第16回ACG アニメ漫画ゲーム展 2014)も決まって、すごく嬉しかったです。所属するランティスの15周年イベント<ランティス祭り2014>も、初日の三重(7月19日・ナガシマスパーランド)に続いて、東京公演の最終日(9月15日・潮風公園)に出演します。

松井:スパーランドいいな。次、温泉とコラボできないかな?

結城:メッチャ楽しそう! 温泉で斜に構えます?

フジムラ:今、エレクトロニカ業界でよくやってるよ。“湯けむりテクノ”ってやつ。

松井:……でも、あんまり湯けむりの中に楽器は持って行きたくないな(笑)。

取材・文●清水素子


結城アイラ「愛しき抗いよ、導け光へ」
LACM-14232/ \1,200(tax out)
1.愛しき抗いよ、導け光へ
2.Mind Limit
3.愛しき抗いよ、導け光へ(off vocal)
4.Mind Limit(off vocal)

TECHNOBOYS PULCRAFT GREEN-FUND『good night citizen』
HKCR-1001 2,800円(税込)
01.calendar,her
02.A=A+A'
03.ex/cuse_me
04.LOOP LOOP LOOP
05.Anyone wants to go to Paris?
06.face
07.inertia
08.LOST THIRD
09.left light
10.two cities
11.gcm(a,b), lcm(a,b)
12.good night citizen
13.sleep

◆結城アイラ オフィシャルサイト
◆TECHNOBOYS PULCRAFT GREEN-FUND オフィシャルサイト

◆インタビュー(1)へ
この記事をポスト

この記事の関連情報