【インタビュー】スーサイド・サイレンス、「ミッチの死後、俺たちは常に不条理を感じてきた」

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エクストリームなデス・メタルとハードコアを融合させたサウンドで、“デスコア”最前線に躍り出たスーサイド・サイレンスだが、2012年11月1日、ヴォーカリストのミッチ・ラッカーがバイク事故で亡くなるという悲劇が彼らを襲う。

◆スーサイド・サイレンス画像

一時はバンドの存続も危ぶまれたが、彼らは再び立ち上がった。2012年12月21日、カリフォルニア州ポモナのフォックス・シアターで行われたトリビュート・ライブを行い、『エンディング・イズ・ザ・ビギニング/ザ・ミッチ・ラッカー・メモリアル・ショウ』としてCD+DVDリリース。さらにニュー・アルバム『ユー・キャント・ストップ・ミー』を引っ提げて我々の前に還ってきた。

新ヴォーカリストにエディ・ヘルミダ(元オール・シャル・ペリッシュ)を迎えて蘇ったスーサイド・サイレンスのギタリスト、マーク・ヘイルマンに訊いた。

──ミッチのメモリアル・ショーが実現した経緯について教えて下さい。

マーク・ヘイルマン:ミッチが亡くなったと知って、メンバー全員で集まった。そして彼の人生をセレブレーションするために何かをしようと話したんだ。生前のミッチがやっていたことを続けたかった。彼は音楽を愛していたし、家族を愛していた。だから俺たちが彼と作った音楽をプレイして、彼の家族にその収益を渡したかったんだ。元々12月にクリスマス・ライブをフォックス・シアターでやる予定だったし、友達を何人か呼んでメモリアル・ショーを行うことにした。そうしたら大勢の人が「参加したい」と名乗りを上げてくれて、大きなプロジェクトになっていったんだ。

──メモリアル・ショーには数々のゲストが参加していますが、誰に最初に声をかけたのですか?

マーク・ヘイルマン:最初はエディ・ヘルミダとジョニー・プレイグ(ウィンズ・オブ・プレイグ)、それからリッキー・フーヴァー(元サフォケイト)だった。彼らは南カリフォルニアに住んでいる仲間たちで、俺たちもミッチも友達だったからね。隣のアリゾナ州に住んでいるジョニー・デイヴィ(ジョブ・フォー・ア・カウボーイ)も参加を表明してくれたし、ランディ・ブライズ(ラム・オブ・ゴッド)、ロブ・フリン(マシン・ヘッド)、マックス・カヴァレラ(ソウルフライ/カヴァレラ・コンスピラシー)、チャド・グレイ(マッドヴェイン/ヘルイェー)もステージに上がってくれた。一生の思い出に残る経験だったし、エモーショナルなライブだったよ。

──そうしてエディ・ヘルミダがスーサイド・サイレンスの新ヴォーカリストとなったわけですが、このライブの時点で彼は候補だったのですか?

マーク・ヘイルマン:いや、メモリアル・ショーが公開オーディションだったとか勘ぐる人もいただろうけど、そんなことはなかった。あの時点で今後のことは何も決まっていなかったんだ。バンドにとってラスト・ライブになる可能性もあった。それからしばらく考えて、2013年の秋になって、エディと手探りで曲を書き始めたんだ。うまく行ったとしても、スーサイド・サイレンス名義で活動するか分からなかった。光が見えてきたのは、2013年9月頃だった。スタジオで新しい曲をプレイしてみて、スーサイド・サイレンスとして活動を続けることができるんじゃないかと思ったんだ。

──スーサイド・サイレンスを続けていくことを決断させたのは何でしょうか?

マーク・ヘイルマン:ミッチが亡くなった後、ミッチが書いた「ユー・キャント・ストップ・ミー」の歌詞が発見された。この歌詞は、彼が俺たちのために書いたように思えたし、バンドを続けていく上で、精神的な支えとなった。もうひとつは、ミッチの娘のケナディの存在だよ。ミッチの奥さんが妊娠したとき、俺たちは嬉しかったけど、同時に「ミッチは脱退して、より安定した仕事に就くかも知れない」と心配した。でも彼はさらにバンドに全力投球することになった。俺たちにとっても、ケナディはバンドを照らす光だったんだ。彼女はまだ6歳(2008年6月30日生まれ)だけど、将来の学費のために、“ケナディ・ラッカー教育基金”を設立して、資金をプールしている。彼女が大学に行くまでは、バンドの活動を続けて、彼女を応援したいと考えているんだ。ファンからの寄付も受け付けている(http://www.suicidesilence.net/donate/)から、手伝ってくれたら嬉しい。

──ニュー・アルバム『ユー・キャント・ストップ・ミー』は怒りと憎悪に満ちた作品ですが、その怒りの源は何ですか?

マーク・ヘイルマン:ミッチの死後、俺たちは常に不条理を感じてきた。どうして最高にクールだった親友が若くして死ななければならなかったんだ?俺たちは絶望と悲しみで真っ暗な中を歩いていた。それは決して望んだことではないし、やり場のない怒りを感じていたよ。「シーズ・トゥ・エグジスト」はそんな怒りをぶつけた曲だ。「貴様なんて消えていなくなれ」というメッセージは特定の誰かに向けられたわけでなく、すべてに対して怒りをぶつけたかったんだ。「ファック・エヴリシング」に近いタイプの曲だよ。

──「コントロール」でカンニバル・コープスのコープスグラインダーことジョージ・フィッシャー、「モンスター・ウィズイン」でディリンジャー・エスケイプ・プランのグレッグ・プチアートがゲスト参加していますが、彼らはどのようにして参加することになったのですか?

マーク・ヘイルマン:ミッチがいた頃、カンニバル・コープスと南米ツアーをしたことがあった。そのときエクアドルかどこかでダン(ケニー/ベース)がコープスグラインダーに「次のアルバムで歌って下さい!」って頼んだんだ。俺たちはみんなカニバル・コープスのファンだったし、バンド全員の総意だった。みんな酔っ払っていたけど、彼はちゃんと覚えていてくれて、快く参加してくれた。グレッグに頼んだのは、ずっと後のことだった。アルバムのベーシックなレコーディングが終わって、その時点で「モンスター・ウィズイン」ではエディが一人二役みたいな感じで歌っていたんだ。だったらもう一人ボーカリストがいた方が効果的だと思って、ちょうどディリンジャーとオーストラリアをツアーしていたから、グレッグに頼んだんだ。彼も快諾してくれた。ミッチに教えてやりたいよ。ジョージとグレッグが俺たちのアルバムにゲスト参加してくれたんだぜ!ってね。「俺にも歌わせろよ」って文句を言ってきそうだ(笑)。

Photo:James Kilian
取材・文:山崎 智之


スーサイド・サイレンス
・エディ・ヘルミダ(ヴォーカル)
・クリス・ガーザ(ギター)
・マーク・ヘイルマン(ギター)
・アレックス・ロペス(ドラムス)
・ダン・ケニー(ベース)

スーサイド・サイレンス『ユー・キャント・ストップ・ミー』
通販限定Tシャツ&リストバンド付きCD+DVD \6,000+税
初回限定盤CD+DVD \3,000+税
通常盤CD \2,000+税
1.M.A.L.(インストゥルメンタル)
2.インヘリット・ザ・クラウン
3.シーズ・トゥ・エグジスト
4.セイクレッド・ワーズ
5.コントロール(feat.ジョージ“コープスグラインダー”フィッシャー)
6.ウォーリアー
7.ユー・キャント・ストップ・ミー
8.モンスター・ウィズイン(feat.グレッグ・プチアート)
9.ウィ・ハブ・オール・ハド・イナフ
10.エンディング・イズ・ザ・ビギニング
11.ドント・ダイ
12.ウロボロス
13.ブルー・ヘイズ(初回限定盤CDのみ収録)
14.ラスト・ブレス(初回限定盤CDのみ収録)
DVDボーナス映像
■ツアー・ドキュメンタリー(約82分)
■『ユー・キャント・ストップ・ミー』メイキング映像(約51分)
■フォトギャラリー

◆スーサイド・サイレンス『ユー・キャント・ストップ・ミー』オフィシャルサイト
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