the pillows、結成25周年の対バンツアー終了。「『ROCK AND SYMPATHY』を25年かけて俺達は手に入れた。」
the pillowsの結成25周年を記念してリリースされたトリビュート・アルバム『ROCK AND SYMPATHY』。本作に参加したバンド計13組と全国8カ所を回るツアーが、7月26日の東京・Zepp DiverCity公演で最終日を迎えた。
◆the pillows ツアーファイナル画像
The pillowsとのつきあいも古いという髭のステージで幕を開けたこの日のライヴは、途中ボーカル / ギターの須藤寿の「コーラの缶が当たらないように頑張ります」のMCとともに披露したthe pillowsの名曲「ストレンジ カメレオン」を挟み全9曲。軽妙なMCも相まって、軽快かつ濃厚、そして変幻自在なロックンロール・ショーを展開してみせた。
そして、午後8時をまわってしばらくして、いよいよthe pillowsの登場。ファンならば全部名曲と断言してしまう楽曲を次々と披露していく。途中、トラブルで演奏をやり直す場面もあったが、そんなハプニングすらロックの醍醐味とばかり、ねじ伏せてみせた。
そして最後は今回のツアー初のWアンコール。ファンの笑顔と感動の泣き顔と、そして“ありがとう”の声が飛び交う中、全15曲をやり終えたメンバーはステージを降りた。
今回のツアーで共演したバンドは以下のとおり。
6月25日 東京 TSUTAYA O-EAST(THE BOHEMIANS、カミナリグモ)
6月27日 名古屋 Zepp Nagoya(9mm Parabellum Bullet)
6月29日 福岡 DRUM LOGOS(ふくろうず、UNISON SQUARE GARDEN)
7月11日 大阪 なんばHatch(Base Ball Bear)
7月13日 広島 CLUB QUATTRO(WHITE ASH、シュリスペイロフ)
7月18日 札幌 PENNY LANE24(WEAVER、東京カランコロン)
7月20日 仙台 Rensa(Scars Borough、a flood of circle)
7月26日 東京 Zepp DiverCity(髭)
今回、山中さわおがMCで「若手からチヤホヤされるツアー!」と称するほど、共演バンドとは本番前から本番中、そして終演後(打ち上げ?)と、バンド間の距離がさらに縮まったツアーになったようだが、そんな中、ステージ上で披露された数々のエピソードも、観客には笑いを禁じ得ないものばかり。ツアー4日目のBase Ball Bearの小出祐介からは、「昨夜(ライヴ前日)さわおさんから飲みに誘われたけど、作詞の締め切りを理由に断った。」という事実が発表され、それを受けた山中は、「技術のある後輩に嫌がらせをしようと思ったのに!」「詞なら書いてやったのに!」という笑撃的なMCで返した。5日目のWHITE ASH・のび太からは「さわおさんから、the pillowsに影響を受けていると言う割に音楽性があまりにも違う、と突っ込まれている」と暴露されるなど、どの日も必笑の先輩後輩トークに花が咲いた。
また、共演バンドが語るthe pillowsへのリスペクトもそれぞれが愛情あふれるもので、例えば1996年に「ストレンジ カメレオン」を聴いて以来のthe pillowsファンという、2日目出演の9mm Parabellum Bulletの菅原卓郎は、「the pillowsの事を話しだすと俺はただのファンになるかも。」「the pillowsには“俺だけのバンド”だと思わせる何かがあるんだ。」と語り、観客の共感の拍手を呼び込んだ。
各共演バンドがトリビュート・アルバムに参加した曲を演奏するのも今回のツアーの見所のひとつ。ステージでは、ほぼ必ずその選曲の際のエピソードも披露され、こちらにも観客はおおいに沸いた。初日のTHE BOHEMIANSは、MCで山中からの推薦曲に逆らって自分の思い入れのある曲をセレクトしたというエピソードを披露し、その楽曲「No Substance」と山中リクエスト曲の「I know you」の2曲を披露。ツアー3日目出演のUNISON SQUARE GARDENは、いきなり1曲目にカヴァー「Fool on the planet」を、それも途中までは本家the pillowsのアレンジのまま演奏し、後半独自アレンジに変えるという離れ技を見せた。
そして毎回トリを飾るthe pillowsのステージは、山中が毎回MCで「若いバンドに負けてられない。」と語ったように、共演バンドが演奏したカバーソングの元曲はその日はやらず、ある時には共演バンドからのリクエストを聞いて選曲を変えるなど、全公演毎回必ず変化を加えたものとなっていた。ベテランのひと言では片付けられない、膨大な量の気合いと熱と技でおおいに魅せてくれた。
さらに、MCで山中が「『ROCK AND SYMPATHY』を25年かけて俺達は手に入れた。」と語った通り、the pillowsの音楽が25年かけて、多くのリスナーに、そしてミュージシャン仲間達に浸透してきた歴史が垣間見えるような、今回はそんなツアーだったのではないだろうか。
the pillowsは、9月17日に新曲「About A Rock‘n’Roll Band」をシングルとしてリリース。その後リリース予定のアルバムも完成しているという。
◆BARKSライブレポート
この記事の関連情報
a flood of circle、15周年ツアーのゲストにthe pillows・cinema staff・9mm Parabellum Bullet
【レポート】髭、20周年記念ライブに歴代9名が全員集合「出会いはあったけど別れはなかった」
the pillows、アルバム再現ツアー第4弾が映像化+山中さわお新作からMV公開
豆柴の大群の新アルバムに大森靖子、前山田健一、清 竜人ら6人が楽曲提供
<ARABAKI ROCK FEST.23>にエルレ、ホルモン、SHISHAMO、BAND-MAID、(sic)boyら40組
夜の本気ダンス<KYOTO-O-BAN-DOSS>に水カン、岡崎体育、髭、パノパナ
the pillows、アルバム再現ツアー第4弾&アナログ盤化が決定。キングレコード在籍時代の未配信音源も配信解禁へ
<RISING SUN ROCK FESTIVAL>にナンバガ、BiSH、ずとまよ、羊文学、坂本慎太郎ら20組
山中さわお(the pillows)、全国ツアー開催決定+「その世界はキミのものだ」MV公開