【ライブレポート】スマイレージ、初の日本武道館公演。「スマイレージの現場って、こんな感じなんです。」
中西と田村の「チーム強者」、竹内と勝田の「チーム下克上」、和田と福田の「チーム元祖」が火花を散らすこの映像。“スマイレージに内紛勃発”の信ぴょう性はともかくとして、意外とガチだったりそうではなかったりという他のメンバーへの不満が動画を通してぶちまけられたのち、ハロプロ研修生をセコンドにつけた3チームが、華々しくリングイン。レフェリーはもちろん、さわやか五郎だ。
3組は、マイクパフォーマンスとして「ねぇ 先輩」「大人の途中」「新しい私になれ!」を歌唱。そしていよいよ、時間無制限のバトルロイヤルのゴングが鳴らされる。試合(?)は、冒頭からミル・マスカラスの空中殺法かと見紛うほどの息もつかせぬ展開の連続。一体どのチームが最後まで生き残るのか。誰が王者として、スマイレージの頂点に君臨するのか。誰にも想像もできない壮絶な死闘は、まさかの全員ノックダウンという結末をいつの間にか迎えていた。
「どのチームが最初に立ち上がるのか! 『スマイレージコール』で力を貸してください!」と、さわやか五郎は客席に呼びかける。そして会場に吹き荒れる「スマイレージ!」コールの嵐。その声は、ダウンしていたメンバーの耳元にも届いたのか、6人は体を引きずるようにして、自然とリング中央に。そして聞こえてくる<落ち込んでちゃいられない / 即行 私は立ちあGirl>の歌声。2期メンバーにとって、スマイレージになって初めてリリースされた楽曲(正しくは同シングル時、2期メンバーはサブメンバーという位置づけでの参加)という思い出深い「タチアガール」。当時のことを思い出したのか、不意に涙を見せた勝田の体を和田が支え、福田と竹内がくしゃりと頭を撫でる。そしてファン同士もまた肩を組んで、気持ちを共にする。
ノックダウンからの「タチアガール」なんて、簡単に想像できそうな展開だといえば、まぁ、その通りかもしれない。しかしなから、それでもリング上で倒れたメンバーが支えあいながら立ち上がっていく様子を見ていると、過去のいろいろな出来事がリンクし、思わず目頭が熱くなる。そんな人たちも会場に大勢いたことだろう。
そう、スマイレージはこうやって何度も立ち上がってきたのだ。
後半戦は怒涛の展開が続く。「ヤッタルチャン」からの「ええか!?」、武道館の全員で“チョイカワ”と叫んだ「私、ちょいとカワイイ裏番長」を挟んで「エイティーン エモーション」。そして有頂天に盛り上がる「有頂天LOVE」が、本編ラストを飾ったのだった。
8月20日リリースのシングルから「地球は今日も愛を育む」が初披露されたアンコール。メンバーはひとりずつ今日の感想を述べていく。「こんなに沢山の人がきてくださって、まだ夢を見ているようです。15年間生きてきた中で、今日が一番幸せな日になったんじゃないかなって思います。」と、とびっきりの笑顔で感謝の言葉を述べる田村芽実。勝田里奈は、ファンと作り上げる、ライブという温かい空間をありがたく思うとともに「すごく心に残る素敵なライブだった。」と、コメント。何かひとつでいいから、みなさんの心に残るライブがしたいと思っていたと、元気に話し始めた竹内朱莉だったが、ここで突然の涙を見せて、何より他のメンバーを驚かせる。そして何を言っているか自分でもわからないと話しながらも、「明日から、この6人で新たなスタートが切れるように、みなさんと一緒に歩んでいきたい。」「スマイレージの一員として、誇りを持って、私はステージに立ち続けたい。」と、語った彼女。確かにMCは(いつもどおり)グダグダだったかもしれないが、しかしその想いは、伝えたいことがありすぎて言葉に出来なかったところまで含めて、ちゃんと伝わった。「ひとり、素人からスマイレージになって、迷惑かけたなって思う。」と、中西香菜は話を切り出す。そして、涙ながらに、努力に努力を重ねても求められるパフォーマンスに届かず、苦しみもがいた過去の日々を思い出し、「いまこうやって武道館に立って、少しでも恩返しができたら。」と口にした。
福田花音もまた、過去を振り返る。4人のスマイレージが大好きだったために、2期メンバーが増えた6人体制のスマイレージを自分の中でなかなか受け入れることができなかったこと。初期メンバー4人のうち、ふたりが辞めた時は自分も辞めようと思い、時給のいいアルバイトを実際に探したこと。でも、ファンの温かさに触れて、考えなおしたこと。「いけるところまで、スマイレージの福田花音として頑張りたいし、もっともっと大きな会場にできるようになりたいので、これからも綺麗なサイリウム6色のステージを私たちに見せてください。」 そう言い放った彼女の目に、もう迷いはなかった。
「コンサートの時に、みなさんの楽しんでいる姿を見るのがすっごい好きなんですよ。みなさんが喜んでいる様子だったり、笑っているのを見て、ほんとに楽しいなって思ったし、幸せな気分だったし。ライブハウスで感じた温かい雰囲気が、ここにも包まれていることに、すごいほっとしました。いいでしょ、この雰囲気が。みなさん、スマイレージの現場って、こんな感じなんです。」と、和田彩花。でも、みんな気づいていた。そんな幸せな温もりを感じることができる空間を作り出しているのは、ほかでもない彼女自身であることを。自らも認める、リーダーらしくないリーダー。確かに強力なリーダーシップを発揮して、グループをまとめあげ、メンバーを引っ張っていくタイプではない。でも、だからこそ、モーニング娘。'14やBerryz工房、℃-ute、Juice=Juiceとも違う、笑顔に溢れた今のスマイレージが出来上がった。これは疑いようのない事実だ。
「最後の曲になりますが、この曲でひとつになりましょう!」
ライブを締めくくるラストナンバーは、彼女たちの代表曲「スキちゃん」。照明が客席をも照らし、会場が一体となってこれ以上ない盛り上がりを見せる。「7/15 日本武道館、私達は成功させる!」と、3月29日にパシフィコ横浜のステージ上でキスマークとともに掲げた公約どおり、スマイレージの初日本武道館公演は無事に成功。「ありがとうございました!」「バイバイ、またね!」と、集まった観客ひとりひとりに手を振りながら感謝の言葉を口にするメンバーたち。そして福田花音は最後に、パシフィコ横浜のステージ上で語ったとおり、「最高のシンデレラレボリューション」を6色のサイリウム輝く客席に向けて放ったのだった。
◆ ◆ ◆
これまでの歩みから考えて、今後もスマイレージの道のりは、決して平坦ではないだろう。山あり谷あり、いや、谷ばかりの日々だってあるかもしれない。華々しくはない、むしろ泥臭く映るような活動を行なうこともあるだろう。内紛(?)もまた起こるかもしれない。でも余計な心配は無用だ。たとえそんな毎日が続いたとしても、彼女たちは笑顔を忘れず、周りを笑顔にし続ける。それこそがスマイレージ。現に1万人の笑顔を集めてメジャーデビューした彼女たちは、この日も一度に8000人もの笑顔を日本武道館に集めてみせたのだから。
しかしながら、幾多の試練や困難にぶつかり、それでも立ち上がってきたスマイレージ。本当にいいグループに成長したなぁ、と、本公演を通して心から思った次第である。
text and photo by ytsuji a.k.a.編集部(つ)
◆BARKS Kawaii
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