【インタビュー】栗コーダーカルテット、笛と運命に翻弄されて20年。「今や家族以上に一緒」

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──このベスト盤、ステレオでちゃんとエアーを通して聴くとすごくライヴ感がありますよね。

栗原:それはマスタリングをお願いした夏秋(文尚)くんの力が大きいと思いますね。普通の国内盤なんかと比べると、僕たちの音楽って迫力がないというか、音が小さく感じることが多いんですけど、そういう感想聞くと嬉しいです。あまり言われないので。

近藤:音圧が控えめなのが功を奏しているというか。音数ももともと少ないですしね。そんなにレベルを大きく入れているわけではないので、ラジオなんかで相対的に他の音楽と混じると不利なんですけど、リヴィングなんかで流すぶんには、その人に合わせてボリュームとかも設定するので、そういう状態においては聞きやすいんじゃないかと思いますね。

関島:CDに音を詰め込める音量の上限って決まってますけど、今の時代、その上限まで音を詰め込んだ上で、聴感上いかに大きく聞かせるかっていう音圧の競争みたいになってるんです。僕らはその競争には乗らずに、無理してない感じが良いのかな。

栗原:ほとんどの音が一回空気を通って録音されているから、そのせいでもあるかもしれないね。年代ごとの機材の差はあれど、入り口から心地よい音になるように工夫はしていますよね。そのあたりみんなかなり細かいので。

■僕たちのことを音としては知ってる方たちに、演奏している姿を初めて見て欲しいという意味合いも強いんですよ。そういう意味での20円でもあるし。

──7月19日には渋谷公会堂でライヴがありますが、20周年だからチケット代が20円なんですよね。

近藤:それ以外に何がありますか(笑)。

──そうですよね(笑)。ミスプリントかと思いました。ゲストには知久さんもいらっしゃいますが、内容的には20年の集大成ですよね。

川口:ではあるんですけど、なるべく普段と変わらないことをやれたらなぁと思ってます。20年を俯瞰したような曲もやっていくけど、醸し出すトーンは普段に近づける。普段やらないことを無理矢理やらない。今回の公演は、僕たちのことを音としては知ってる方たちに、演奏している姿を初めて見て欲しいという意味合いも強いんですよ。そういう意味での20円でもあるし。

関島:普段、あまりコンサートに行かないような人に、こういう時に来てもらって、生演奏を聴くことが面白いってことを知ってもらいたいなぁっていうのはありますね。

──チケットは1時間で完売とのことですが。

関島:まさか1時間で完売するとは思ってもいなかったです。

川口:一人の方に買い占められちゃったらどうしようって思ってましたし。

近藤:なんと4万円で全席買い占められますからね。

川口:あとは料金が安いから、「雨降ったから、チケット代20円だから行かなくてもいいか」って、お客さんが来ないというのが心配のタネです。

関島:だから僕が今やってるのは、「自分がこのコンサートに行けなくなったら、そのチケットを誰かにプレゼントしよう運動」なんですよ。運良くチケットを手に入れることができた方が不慮の事態で当日来られなくなったら、誰かにプレゼントしてもらえたらと。記念にとっておいても、あとでプレミアはつきませんから(笑)。正直、20円という料金を取らずに無料にしてしまったほうが、運営上はずっと簡単になるんですよね。前例の無いことだけに、僕らも準備を進めて行くうちに、「あれはどうしよう?」「これはどうしよう?」っていうのが次々に出てきて、今年入ってから二週間に一回くらいのペースで打ち合わせをずっと続けているんですよ。

──20周年アニバーサリーが終わったあとの予定は?

川口:渋公をピークにということもなく、あとはマイペースに続けて行けたら良いなぁと思いますね。個人的には次はアメリカを攻めるということが出来たら。

──ヨーロッパとアジアはもう行きましたからね。

川口:うん。とりあえずビバリーヒルズでジョン・ウィリアムズ(「スターウォーズ」シリーズや「ジョーズ」等、ハリウッドの映画音楽の第一人者)の大邸宅の高い塀の前で、邸宅の庭を彼がランニングする時間を狙ってゲリラ演奏をしたいですよね。「おや、あの音はなんだ?」みたいな。彼の前でダースベイダー(帝国のマーチ)とか「E・T」をやりたいな。これ、どこかのテレビ局で企画してくれませんかね?

取材・文●大橋美貴子

『20th Anniversary Best 1994-2014 栗コーダーカルテット 20周年ベスト』
初回限定盤:CD2枚組+DVD GNCL-1250 ¥4,000(税抜)
通常盤:CD2枚組 GNCL-1251 ¥3,000(税抜)
6月25日発売
発売元・販売元:NBCユニバーサル・エンターテインメント

Disc1【ORIGINAL SONGS】
01.ピタゴラスイッチ オープニングテーマ
02.キョロちゃんWALK
03.つり球マーチ
04.お気に入りの靴をはいて
05.おじいさんの11ヶ月
06.ベルニナ急行食堂
07.オールドロッキングチェア
08.ピーチウェルパークの長い季節
09.リンゴントウ(Instrumental version)
10.Red Fruits Drunkers
11.勘違い
12.写真の中の君
13.くつやのマルチン
14.けむり
15.空を見上げた夜
16.落穂拾い
17.太陽と麦わら帽子~春~
18.ジャムとアンの友情のテーマ
19.足
20.ワンダフルデイのテーマ

Disc2【COVER SONGS】
01.ウルトラセブンの歌
02.陽気なブースカ
03.アズ・ティアーズ・ゴー・バイ
04.王座の間~エンドタイトル
05.スリラー
06.やさしさに包まれたなら
07.テクノポリス
08.パパの歌
09.帝国のマーチ
10.鉄腕アトム
11.螢のテーマ
12.刑事コロンボ
13.ビッグブリッヂの死闘
14.故郷
15.ショパンのエチュード「蝶々」
(練習曲第21番変ト長調Op.25-9「蝶々」)
16.犬姫
17.ロンドとサルタレッロ
18.Come Again
19.聖地エルサレム
20.グリーンスリーヴス

特典DVD
栗コーダーのクリスマス 2013 at Kichijoji Star Pine's Cafe
1.主エマニュエルは生まれ給う En! natus est Emanuel
2.ヘイ・ラシー  Hei Lassie
3.クリスマスタイム It's Christmas Time
4.薔薇が一輪咲き出でた Es ist ein Roess entsprungen
5.ともに喜びすごせ God rest you merry, gentlemen
6.アデステ・フィデレス Adeste, fideles
7.ベツレヘムの小さな街 O little town of Bethlehem
8.泣くなよスノーマン Tears of Snowman
9.静かな時 Shizuka na toki
10.三日月町のクリスマス X'mas in Crescent City (on the Bayou)
11.ウィンターワンダーランド Winter Wonderland
12.天なる神には It came upon the midnight clear
13.三艘の船を見た I saw three ships
14.三人の博士 We three Kings of Orient are
15.フランスの昔のクリスマス French carol medley
16.リトルドラマーボーイ The little drummer boy

<栗コーダーカルテット 20周年記念コンサート>
7月19日(土)渋谷公会堂
開場15:30 開演16:30(19時45分終演予定)
料金:前売り 全席自由20円(税込・整理番号付き)
出演:栗コーダーカルテット *ゲスト:知久寿焼(歌とギター)

◆栗コーダーカルテット 20周年特設サイト
◆栗コーダーカルテット オフィシャルウェブサイト
◆チケット詳細&購入ページ
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