【ライブレポート】Crack6、10周年記念ツアーファイナルで「今しかできないことがある」

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Crack6が7月6日、結成10周年記念ツアー<Crack6 10th Anniversary FINAL ワンマンTOUR 2014>の最終公演を渋谷TSUTAYA O-WESTにて開催した。

◆Crack6 拡大画像

「2014年の通常のワンマンライブは、今回のツアーをもって最後」とMSTRがオフィシャルブログで発表していたこともあり、“何が起こるんだろう”と一抹の不安を抱えながら、会場に足を運んだ人も多かったかもしれない。が、結論から言えば彼らは、未来に何が起ころうと、今、この瞬間を楽しむということのみに焦点が当てられた超パワフルで爽快感のあるステージを見せてくれた。

最新アルバム『Crazy Monsters Parade』1曲目のイントロダクションがSEで流れる中、メンバー全員アルバムジャケットの衣装で登場した。オープニングは燃え盛る情念を歌った激しくも切ないナンバー「Violet Eyes」だ。ハンドマイクでパフォーマンスしながら歌うMSTRこと千聖は、間奏になるといきなり超絶な速弾きを披露し、場内のテンションを上げていく。MSTRがヴィヴィッドな存在感を放っているのは言うまでもないが、全員がソングライターでもあるメンバーも実に濃いキャラクターが揃っている。

「オマエら、準備はできてるか!?」とフロアを煽るTENZIXXはベースを弾きながら、ひねりジャンプするアクロバティックなパフォーマンスを披露。自身のバンドではボーカル&ギターを担当するU6はコーラスでもガッツリMSTRをサポート。Crack6始動当初からのオリジナルメンバーであるSHIGE ROCKSは、もはや人間の域を超えたメイクも衝撃的だが、ギターのスキルが天下一品。ここにJIRO 6ことO-JIROのドラムプレイが加わるのだから、どこを見たらいいか迷うぐらい派手なのである。

約半年間で『6elements』『Crazy Monsters Parade』と、2枚のアルバムをリリースするほどエネルギッシュに活動してきたCrack6だけに、セットリストは最近ナンバーが中心になるのかと思いきや、新曲に混ざってCrack6のヒストリーを彩る楽曲が次々に連射されていく。まさに10周年の集大成。MSTRのラップのような早口の歌がフィーチャーされる「HB Is 5416」ではギターソロで銃を使う技を披露し、「Mstr A 2 Z」では拡声器で歌うMSTRと痛快な演奏にコール&レスポンス。シンバルを叩くJIRO 6からも思わず笑みがこぼれる。

「ハイテンションで行きましょう! 今日でそんなにガンガンやることは今年はあまりないと思うから、今のうちに楽しんでおかないと乗り遅れちゃうぞ」

と煽るMSTRにオーディエンスから「えー?」と不安の声が上がるが、「大丈夫。もちろんノリきれなくても俺が全部、受けとめてやるから」と懐の深さで引っぱっていく。

Crack6が得意とするR&Rナンバー「We are Black6」ではTENZIXXが「まだまだアゲていくぞ~!」と叫び、ハンドクラッピングで会場は一体に。ヘヴィメタル、ハードロック、ヒップホップ、パンク、ポップスと様々な音楽の要素が混在して爆発しているCrack6だが、共通項は突き抜けるダイナミズムとエンターテイメント精神に貫かれているということだろう。この日も、ジャムセッションコーナーの終わりでセンターに出たU6が持っていたはずのギターがリラックマになる早変わりで場内を沸かせ、なぜかクマの胸には10周年ではなく“10執念おめでとう”とのメッセージが。MCもなぜかブラジャーの話題になったり、全体的にツアーファイナルのプレッシャーなどまるで感じさせない自由な状態。トークも含め全てが予測不可能だ。

ここから、先ほどまでのMCを塗り替えるような爽やかなメロディとリズムのキレが心地いい最新アルバム収録曲「Jump out!」に突入し、「赤イ月光」へ。TENZIXXとU6のコーラスとMSTRのボーカルの迫力のある絡みもCrack6の武器だ。ライブは後半戦に進むにつれて熱を帯びていき、「今夜の渋谷を熱帯夜にしようぜ!」と煽った「カリソメノセカイ」は新曲とは思えないほどの盛り上がり。童謡「カゴメカゴメ」を速弾きで盛り込んだソロはギターヒーローの本領発揮で、我を忘れさせてくれる演奏とパフォーマンスが繰り広げられた。

本編ラストは最新アルバムのラストを飾るMSTRからの温かく力強いメッセージが込められた「the Rainsong」。楽しませ、暴れ倒したあとに、人生の涙を包みこむようなスケール感のあるバラードで締めるのも心ニクかった。

そして、アンコールではサプライズゲストが。前日の7月5日には新宿BLAZEで恒例のCrack6主宰イベント<Crazy Monsters>が行なわれたのだが、「約1名、出演者代表として全てを背負って、あの白い妖精! あの宇宙人がやってきました!」という呼び込みで、MICRO HEAD 4N’SのボーカリストRickyが真っ白な衣装で登場。大歓声の中、音源でも競演した「Crazy Monsters」をMSTRとのツインボーカルで披露した。

続いて、Crack6バージョンの「KICK!」を演奏し、ライブに華を添えてRickyは去る予定だったのだが、ここからはメンバーもビックリのサプライズ。卵の黄身とキミをかけた炸裂爆笑スピードチューン「キミが好き」の途中でゆるキャラもビックリのおにぎりのかぶりものをし、白鳥の首を股間につけたRickyがステージに再び現れた。メンバーに無理矢理ゆで卵を食べさせようとするわ、演歌調でコーラスするわの文字通りの乱入状態となったのだ。これにはさすがのMSTRも思わず爆笑。

「ライヴをやるとパワーがもらえるんですよね。今しかできないことがたくさんある。そう思いながらツアーを廻ってきました。まだまだ、やりますから」

ダブルアンコールでは多くの人たちに支えられて11年目を迎えたことへの感謝の想いを伝え、オーディエンスを安心させた。ラストナンバーはCrack6のライヴのキラーチューン「NEO」だ。全員が前に出るパフォーマンスと熱い演奏に場内は大熱狂。2度とは戻らない時間を完全燃焼してアニバーサリーファイナルが幕を閉じた。次回のワンマンの発表はされなかったが、10月26日には新宿BLAZEで<Crazy Monsters~HALLOWEEN PARTY 2014~>の開催が予定されている。まだまだ、Crack6の攻撃は止まらない。

取材・文◎山本弘子 撮影◎小林 裕和

■<Crack6 10th Anniversary FINAL ワンマンTOUR 2014>
7月6日(日) @TSUTAYA O-WESTセットリスト
01.Violet Eyes
02.衝撃~warning666~
03.Loveless
04.HB is 5416
05.Mr. A2Z
06.We are Black6
07.773H
08.Daisies
09.Jump out!
10.Carry on
11.赤イ月光
12.Zion
13.キラ☆キラ
14.カリソメノセカイ
15.Crazy Poker Face
16.Set Me Free
17.the Rainsong
encore1
18.Crazy Monsters Parade ~Crazy All Monsters ver.~ (with Ricky)
19.KICK! (with Ricky)
20.キミが好き
encore2
21.NEO




■ミニアルバム『Crazy Monsters Parade』
2014.6/18(水)リリース
初回限定盤、通常盤、2種同時発売
【初回限定盤 CD&DVD】SRGU-2004 ¥2,800+税
CD:6曲収録
DVD:「Crazy Monsters ~Crazy All Monsters ver.~」ビデオクリップ
ジャケット:オールカラー/16P
【通常盤 CD ONLY】SRGU-2005 ¥2,000+税
CD:7曲収録
ジャケット:オールカラー/16P
M1. Violet Eyes
M2. Crazy Monsters
M3. Jump out!
M4. キミが好き
M5. カリソメノセカイ
M6. the Rainsong
M7. Crazy Monsters ~Crazy All Monsters ver.~(※通常盤ボーナストラック)
限定盤DVD、通常盤ボーナストラック収録「Crazy Monsters ~Crazy All Monsters ver.~」参加アーティスト
Ricky, KOJI(ALvino), 潤(ALvino), SHUN.(THE MICRO HEAD 4N’S)

■<イベントLIVE「Crazy Monsters ~HALLOWEEN PARTY 2014~>
10/26(日) 新宿BLAZE
[出演] Crack6 / THE MICRO HEAD 4N'S / ALvino / C4
[問]DISK GARAGE TEL.050-5533-0888

◆Crack6 オフィシャルサイト
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